7話
学校の試験の日がやってまいりました。
というかほとんど入学確定でクラス分けの意味合いが強そうなんだけどね。
ドロシーと一緒に向かいまずは二時間筆記試験
算術とかは正直レベルが低いのでいいんだけど歴史が流石にきつかったね。
ファンタジー世界なのでまさか神話が歴史問題で出るとか思ってなかった。
実物を知っているとどうしても美化された表現に笑ってしまいそうになったよ。
将来教会のお偉いさんになってアルケー像をもっと写実的に作り直してやろうかななんて思ったりしているうちに筆記終了。
続いて午前は魔法試験。午後は武技試験だそうな。
ドロシーを探すと女の子と話をしている。もう友達出来たのかな?お兄さんはうれしいよ。
近寄っていくと驚いたようにこちらを見る。金髪のポニテにそばかすの残る顔。それでも成長すれば美人になると思う。少なくとも胸は現時点で某女神に勝っている素晴らしい発育である。因みに我が妹は女神さまといい勝負中。成長の余地があるのでおそらく勝てると思うのだがそれは誰にも伝えることができない。
「これはラウル。私の双子の兄ね。この子はミュゼちゃん今お友達になったの」
簡単に友達になれるなぁ。その才能だけは素直に称賛する。
どうしても前世があるので少なくとも子供の中に入るのが気後れするからな。まあそろそろ中学校レベルの年齢なら問題ないだろう。そろそろロンリーウルフ卒業だな。
「よろしくお願いします、ラウルさん。ミュウジィ・ラ・オラトリオと申します」
お上品にお辞儀をしてくれる。すばらしいね。なんですか?三節の名前なんて王族っぽいじゃないか・・・・ オラトリオって王家の名前だよ? そういえば第3王女の名前って・・・
「おうじょさま?・・・」
間抜けに指をさしてしまう
指を立ててしぃ~とする
「内緒ですよ?」
いや、じゃあ名乗っちゃダメ?偽名で来て頂戴。なんでここで本名名乗るの?
「いえ、ラウルさんなら信用できるって、ドロシーちゃんが・・」
「駄目駄目こんな子の言うこと聞いてちゃ」
「こんな子とは何よ!」
「ドロシー、今そこが争点じゃないんだよ・・・」
とりあえず宥めるのに10分かかった。
落ち着いて聞いたところによると、側室腹のこの王女はとりあえず侯爵令嬢身分で来るらしい
ミュゼ・リバークレインだそうな。別に身分隠さなくてもと思ったけれどなんか問題があるらしい。
まあ落ち着いて三人そろって魔法試験会場に移動。
魔法試験は適性検査かできるものは実技らしい。
「どっちかで片方受けるだけでいいの?」
ドロシーの問いにミュゼが答えてくれる
「魔法適正は基本的に教会本部に行かなければ見ることができませんからね。貴族でしたらどうせ学院で学べますしわざわざ遠くまで来てという方も多くないのです。でも近い方は先に適正を見て魔法の家庭教師をつけたりとかしているみたいですね」
そういや、我が家も魔法のマの字もなかったよな。アルジェント兄もヒルデ姉も学園で初めて魔法に触れたってことか。
「ミュゼはどっちに行く?」
「私は適性はもう判っていますので実技の方ですね。」
「じゃあみんなで実技だな」
魔法実技の方は順番で的に向かって魔法をぶっ放すらしい。
みんなファイヤーボールとか、ウォーターボールとか打っている。
ふと気づくと二人とも不安な顔をしている。どうしたの?
「ラウル様、どうしましょう?私、聖魔法属性ですのであんな攻撃魔法出来ないのです」
あ、そうか回復系がメインだもんね、あとは防御魔法だからわかりやすくないな。
どうしよう?防御結界とかでもいいか確認しなきゃね。で、ドロシーは?
「ラウル~!私も火も水も使えないよ~!」
あ、そうか。そもそもドロシーは俺がトレーニング中に魔法使ってるの見て自分も使いたいってごねたんだっけ。でアンバーに適正見てもらって、ダーキニーに取り憑かせて魔法訓練したから基本風属性しか使えないのか。
とりあえず確認に行くか、と思って試験官さんのところに
「すいません、ウォーターやファイヤーしか使っちゃダメなんですか?」
怪訝な顔をされたが試験官さんはきちんと答えてくれた。
「いや、別に何でもいいよ、要するにあの的に向かって魔法を当てればいいんだよ、でも初心者なんてファイヤーかウォーターしか使えないだろう?」
「はあ、じゃあとりあえず魔法なら何でもいいんですね?」
「そうだよ、でもロックバレットで小石一つとかは見ても分かりにくいからなるべく見てわかるものでね」
「わかりました。」
そういって戻ってくる
心配そうな二人ににこりとしながら伝える
「大丈夫みたいだよ」
二十分後ミュゼの順番がやってきた
所定の位置について的に向かう
集中し魔力を高め射出体勢に入る
【バレルレイ】
巨大な光弾が的に当たると同時に爆発。粉々になる
聖魔法唯一の上級攻撃魔法 である。
よくもまあそんな上級適正あるもんださすがだね王女様。
とまあのほほんとしてたら的の近辺が阿鼻叫喚になっていた
岩が爆発とかこの世界じゃないのか。火薬作ったらどんな顔されるだろう?
幸いけが人がないので試験続行。
次はドロシー
的岩は三つあるので試験できてよかったねぇ
集中を終えて腕を大きく上に伸ばし振り落とす
【サンダーランス】
轟音と共に落雷が落ち岩を粉々にする
なんかみんな目がテンになっている。試験官さん見ると青い顔になっているんだけど大丈夫かね?
のほほんとしていてもドロシーもまた風の上級適正を持っている。おまけに空狐という上級精霊の持つ魔法を転写しているようなものなので雷まで使えたりするんだよね。
何でそんなに上級の後に試験せにゃいかんのか。しょぼく見えるじゃないか。
あわただしく大人の人たちが右往左往して半時間、ようやく試験再開である。
「ラウルーがんばれー」
「ラウルさーんファイトですー」
おお、声援がうれしいね。チミ達のよりしょぼいんだけど頑張るよ。
試験官さんが睨んでいる。何もしてないよ?まだ
「始めていいですか?」
「的を壊さないのならね」
壊せるわけないじゃん、たかだか初級魔法出すんだし
【ファイヤーボール】
猫型とキツネ型の炎が二つ空間を駆けるように飛び出し的に当たる。
ほら、ちょっとえぐれたけど問題なし壊してないでしょ?
振り向くとなんか物音ひとつしないんだけど、どしたの?
「すごいすごい!あれなんですの?」
すごい勢いでミュゼが来て抱き着かれて聞かれた。
ていうかもはやベアハッグなので力緩めてほしいんだけど。
キラキラした顔を見ながら死を予感した。骨折れるよもうすぐ




