やっぱりなんか蜂蜜がおいしいんですけど

　セーフゾーンの設置は無事に終わった。具体的な作業を見ることはできなかったけど、これで、地底湖への出入口からスライムが出てくることはない。ただ、このままだとスライムが地底湖に溢れてしまうので、この後は探索者協会の専属探索者が、交代交代でスライムを間引きしていく事になるね。とりあえずは、私達、硝酸チームの目的は達成した。

　そのため今度は、蜂蜜チームがいる元クイーン・ハニー・ビーの住処の奥を目指している。そちらでは当然ながら、蜂蜜チームが仕事をしている。えっと新人の…名前なんだっけ…。そうそう、藤井さんと堺さんだ。確か藤井さんと中川さんが周辺警戒をして、キラー・ハニー・ビーを追い払い、鈴木さんと堺さんが蜂蜜を採取して待っている予定だ。

　道中の風見さんの説明によると、私達が食べ食べと持ち帰った蜂蜜には、やはりHP回復効果とMP回復効果が認められたとのこと。普通の蜂蜜として食べる分にも美味しいし、探索者向けに効能を強化したものなどを、HP・MPの回復薬として売れるかもしれないとのことだった。そのために現在、他にもキラー・ハニー・ビーの巣がないか探すことも検討しているそうだ。

　そして、私への報酬の一つがコレである。『自分で採取した蜂蜜を好きに持ち帰ることができる権利』と、将来的な『蜂蜜採取場への優先入場権』だ。今後、3・4階層のこの崖周辺は、西部支部の直轄管理区域となり、『危険な硝酸を汲み出しする施設』と『キラー・ハニー・ビーの養蜂場』が建設される。その施設には、西部支部が雇い入れた者、あるいは養蜂場への入場権を持つ者のみが、入ることが出来るようになる予定だ。

　そうやって採取された蜂蜜は、3・4階層の施設前と地上に設置される直売所で販売される分以外は、残りは西部支部が流通をコントロールする。これだけだと、かなり西部支部が有利のように思えるが、養蜂場への入場権は、申請をした上で、素行調査等に特に問題がなければ付与される。養蜂場で採取した蜂蜜は最大5割まで持ち帰る事ができ、残りの5割は探索者協会の買取になる。もちろん、希望すれば全部売ることも可能だ。簡単に言えば、ダンジョン内にアルバイトできる施設が出来るのだ。そして、この施設が完成しても、私はこの『本来、西部支部に販売しなければならない5割』を持ち帰ることができる。今はまだ空手形だけど…。

　ちなみに、この蜂蜜は既に蜂蜜を希望する製菓メーカーと、その効果に目をつけた、日本探索者協会のダンジョンアイテムの流通を担当する部署から、内々に打診を受けているそうだ。今はブランド名を考えている最中だって。

　そういえば、この蜂蜜もアイテム識別で反応するかな？もっと詳しい情報が解るかも？うーん。やっぱり、上位探索者の熟練度をあげたいな。一朝一夕には上がらないだろうけど、探索者に関する技能や知識も全然足りてないんだよね。仮免許なんだから当然なんだけど。

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　「やっぱり美味しいー！」

　何事もなく蜂蜜チームと合流できました。始まる時の不穏な感じはどこへやら。着いた先には、沢山の蜂蜜入りのバケツが並んでいました。ちなみに藤井さんと中川さんと対峙していた、キラー・ハニー・ビーは、私(・)を(・)見(・)て(・)どこかへ逃げていったよ。まぁ当然なんだけどね。まぁ見事に、蜂蜜チームの皆さんはびっくりしてるね。

　「は？？？」

　「え、あれ？逃げた？」

　さぁ、なんで蜂さん達は私を見て逃げていったのかなー。ナンデダロウナー。ワタシワカンナイナー。まぁ、本当のことを言う気もないけどね。こ(・)の(・)こ(・)と(・)を今のところ知ってるのは、十文字さん、結城さん、風見さん、佐藤さん、霧島さんだけ。金田さんや加藤さんにも言ってもいいんだけど、今は会えないんだよね。本当に入院してるから。

　というわけで、霧島さんと二人で、役得の採れたて蜂蜜食べ放題が始まってます。流石にまだ蜂蜜チームの皆さんには、私の事を言いたくないし、そもそも、そんな事はどうでもいい。今日、私が参加したのは、この蜂蜜を食べに来る為と言っても過言じゃないからね！！

　ちなみに最初の発言は、私じゃなくて霧島さんです。今日はちゃんと、自分用のでっかい水筒を病院の売店で買ってきてあるのだ。最初はどうしようか困ってたんだけど、偶然にも売店に並んでるのを見つけたから、即買ったよ。

　今はただ、蜂蜜を堪能しよう。…そこの堺と藤井が「これだから女は」みたいな目で見てくるけど、知るか。くれぐれも、蜂蜜を食べる邪魔だけはするなよ！絶対するなよ！