なんか全部NDAな話なんですけど。
「日間ローファンタジー1位」ですってよ。
どうしてこうなった??????
ブックマークが800件、累計36万PV。
始めた頃には考えられなかった、多くの誤字脱字報告と感想通知。
一日で数万伸びるPV数。タイトルの横に輝く金色の王冠。
ええんか?本当に夢でもドッキリでもないんか?
本当にありがとうございます。
風見さんが、腰のポーチを開けて宝箱を近づけると、宝箱はそのままシュルンと、まるで液体になったかのようにポーチへと吸い込まれていった。本当にマジックバッグだ。やはりマジックバッグが有るのと無いのとでは大分違うなぁ。宝箱自体はそれほど大きな大きさではないけれども、これを持ち運ぶとなると結構な荷物になる。それが腰のポーチ、たった一つあれば手を塞ぐことなく持ち帰る事ができるのはかなりの利便性だ。
「やっぱりマジックバッグって便利ですね。」
「そうですね。お陰で、硝酸のサンプルを割れることを気にせずに持ち帰れますし、有るのと無いのとでは、効率が断然に違います。普段ならかさばるような道具なんかも、いつでも持ち歩けるので、僕も重宝しています。」
「いいなー。私も欲しいんだけどねー。前は持ってたんだけどー。西園寺ちゃんにあげちゃったしー。」
…マジックバッグってそんな簡単に人にあげていいモノなの?
「霧島さん。それうちで聞いてないんですが。」
「んー、忘れてー?」
「地上に戻ったら申告してくださいね?戦略物資ですよ?勝手に処分されると困るんですよ…。」
「…分かったー。」
「本来罰則ものですからね?」
「はーい…。」
それはそうと、『宝箱の出現率』にまで私の『LUK』が影響しているのならば、宝箱が分かるようになるという『アイテム識別III』は欲しい。今の私は『アイテム識別II』なので、結構分からないアイテムの方が多い。たぶん『上位探索者』の熟練度が上がれば開放されるんだろうけど、一向にこの熟練度が上がる気配がない。…いや、そもそもダンジョンに入ったのが二回目だから、熟練度が上がる訳がなかったや。
これこそ『投資問題』の典型的なパターンなんだよね。早めに『アイテム識別III』をSPで取得できる場合、そこに費やすSPと、発見できる宝箱が、自然にスキルを取得した場合と、どちらがお得か?という問題になる。毎回全部金箱みたいなものが発見できて、中身が『レジェンダリー』のアイテムが出るならば、早めに投資した方がいい。だが問題はそれに留まらない。今度は『そのSPで別のスキルを取得した場合』も勘案しなければならない。
こういうのを『最適投資問題』や『意思決定会計』と言う。ここに『不確実性』が加わると更にややこしくなる。(まさに今の私の状況、そのものではあるが。)これも後で『アイテム識別III』や『地図作成』あたりなんかも合わせて検討しておこう。…検討する項目ばかりが増えるね。
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宝箱も含めて一通りの実地検証が済んだので、いよいよ地底湖の攻略に乗り出す。どうやって攻略するのか聞いてなかったんだけど、そもそも攻略と言っても、スライムを全部倒すとか、地底湖全体を制圧するとかでは無いみたいだ。
「今回はこの地底湖入口に、セーフゾーンを設置します。その後、時間をかけて制圧区域を拡大していく方針です。といっても、次にこの地底湖エリアを制圧する時には、硝酸を汲み出せる施設を建設するために、ある程度の広さのセーフゾーンを設置したいんですよね。」
「まぁそうだよな。その手が一番だろう。だが、かなりの広さのセーフゾーンが必要だぞ?」
「そうですね。」
「また、そうなると物資の方も搬入しなければならない。道中の方はどうなってる?」
「それも計画済みです。今まで3・4階層は手付かずだったので、人工物が殆どありませんでした。しかしながら、今後は、蜂蜜・硝酸の運搬ラインを恒常的に確保しなければなりません。そのため地底湖の制圧に合わせて、1・2階層と同様に、無線設備と通路の敷設を行います。3・4階層に協会直轄の管理エリアを確保して、探索者の定期巡回ルートも作ります。まずは、ここまでの仮設ルートを別働隊が確保予定です。」
「壮大な計画だな。」
「えぇ、そのためにFP支部は解体し西部支部に吸収しました。しかるのち、西部支部の本拠地をフォレストパークに移転します。」
えっ!?
「なるほど、それでこのNDAか。壮大な計画で、しかも行動が早い。何をそんなに急いでいる。」
「機密です。そうとしか答えられません。」
「しかし、そうなると大規模な工事となる。フォレストパークを管理するT市からの許可はでたのか?」
「許可は必要ありません。既にフォレストパークの買収は完了しています。前の所有者であるT市とは取引が成立済みです。全て探索者協会の敷地です。」
「なんだと!?」
なんか、すごい話になってるなぁ。というか、これ私達が聞いて大丈夫なの?…あぁそうか、それでNDA。佐藤さんも言ってたし、なんで気づかなかったかな。
「そこで、この仕事です。この地底湖入口に、セーフゾーンを確保することで、スライムの流出を防ぎます。その後は、交代交代で探索者を常駐させ3・4階層からアシッドスライムを減らしていきます。」
「なるほど、そうすれば、3・4階層は、マッドスライムとキラー・ハニー・ビーに対処するだけでよくなる。ユニークだったクイーン・ハニー・ビーは討伐したし、万が一再発生しても、アシッドスライムやマッドスライムに囲まれてなければ、逃げるだけならどうにでもなる。その上で、通路の敷設もおこなわれるとなれば、Dランクでも単独踏破できるし、Eランクでも問題ない。」
「そういうことです。そのためには、アシッドスライムの湧きポイント、あるいは侵入ポイントがここだけなのかの検証も必要です。ですが、我々はあっても複数箇所だけだと考えています。」
「…まさかそれで黒川さんを?」
「いえ、それは違います。そんな方法では不確実です。あの新人二人が今回のテストで問題なければ、確保したセーフゾーンにて待機してもらう予定です。交代要員がくるまでですけどね。」
「そう、ここに理恵ちゃんを置いていくっていったら、その首、切り落としていたわ。」
「霧島さんが言うと冗談にならないんですよ。」
なんかどんどん、話が大きくなってるなぁ。私、本当にここに居ていいのかなぁ?
佐藤「(T市が取引に応じた…確実に何か知っているな。行政も巻き込んで一体なにをしようとしている?)」
霧島「(うっかり口をすべらせちゃった。西園寺ちゃんごめんねー。)」
霧島「(それはそれとして、探索者協会、なんか知ってるわね。何かしら?)」
黒川「(無事終わりますように。無事終わりますように。無事終わりますように。)」
風見「(黒川さんがいる理由は、僕も知らないんだよな。十文字さんが面子に入れてきたし…。)」
ちょっとだけ修正。会話が不自然だったのを分かりやすくしました。
新作あり〼
触手 in クーラーボックス(仮)
https://book1.adouzi.eu.org/n1200kj/




