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【⭐️5,000ブックマーク】愛用のクッションがどうもなにか変【累計350万PV】  作者: 一級フラグ建築士
第3章 なんかクイーン・ビーを討伐したいんですけど

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なんかスライムが沈んでいるんですけど

 闇に飲まれるように。徐々に冷えていく、穴の奥へ奥へと進んでいく。高橋と山田の追跡は一旦置いておいて、今度は、退路の確保のために逃げたスライムを追っていく。少しずつ少しずつ冷えていくにもかかわらず、足元はずっと泥々と不快な感触を伝えてくる。分かれ道から数分。暗いはずの洞窟の奥に明かりが見え始める。地下に潜っているはずなのに。


 「明かりですね。」

 「気をつけろ。未確認の知性型モンスターかもしれん。」

 「んー、それにしては光源が一定ー。それにその場合、低層のレアモンスターが多すぎるー。せいぜい3階層程度ならー、多くて3種程ー。」

 「アシッド、マッド、キラー・ビー、クイーン・ビーで4種…。これ以上モンスターが出るなら、FPの1・2階層との落差がありすぎます。新種が増えるとは考えづらいです。それに、この先にいるのはスライムのハズです。」


 やがて、私達は光が漏れ出してきている場所が、部屋の入口であることに気がつく。要するにこの先に開けた空間があって、そこには明かりがあるということだ。それなりに広い空間のように見えるが、どうだろうか。…やがて、入口にたどり着いた。


 「思ったより広そうだな。」

 「明かりは…これは苔類か?ん?苔類?水分があるのか?」

 「んー、よく見られるタイプのヒカリゴケとはちょっと違うかもー?」

 「FP独自の新種かもしれません。」


 想定通り中は開けた空間になっていた。だが、想定と違うのは、かなり広大な空間であることと、大きな地下湖が存在していることだった。その湖の周りには、大量の苔が生えていて、それが光を放っている。一方で湖の方はというと、どこまでも透明で透き通っている。


 「綺麗だな。ちょうどいい、少し汲んでみるか?」

 「バカですか金田ー?死にますよー?」

 「は?バカとはなんだバカとは!」

 「いや、霧島の言うとおりだ。バカだろ。」

 「佐藤さんまで!?」


 いや、バカだと思う。だってこれ。


 「独特の刺激臭ー。高い透明度ー。これ全部危険物第6類ー。硝酸ー。」

 「げぇ!?」

 「幸い濃度が低いからー、この辺なら大丈夫ー。…これ以上近づいたら、耐性スキルがないと死ぬよ?」

 「ははは、これ全部硝酸か。たぶん底の方はもっと濃度高いだろ。」

 「そうだねー、あれ見てー、上から水が流れてて、湖に注ぎこまれてるー。あれで希釈されてるねー。で、硝酸はおそらく、なぜか底の方から湧き出てるー。ダンジョンの不思議ー。」

 「これってもしかしなくても、資源の大発見では?」

 「そうだねー、専用設備を持ち込めば汲み放題ー。ただし、スライムの妨害付きー。」

 「…そうだった。」

 「よく見てみてー、あの湖の中ー。両方、透明度が高いから見づらいけどー、スライムー。」

 「逃げたアシッドスライムか?…あー!?あいつら硝酸含んでんのか!?」

 「スライムジェルによって揮発しないから、誰も分からなかったのか…。」


 遠目から見た湖には、よく見ると大量のスライムが沈んでいた。おそらく、ここから湧いてきて、そして私を見て逃げたスライムたちが、湖の中に逃げ込んだものだろう。そんな湖を呆然と見ていると、上から流れる水に混じってスライムが流れてきた。


 「あ、スライムが流れてきて…湖に落ちた!?」


 その光景を見て、加藤さんがある仮説を立てる。


 「これは仮説ですが、これ上の階層から流れてきてませんか?そして流れてきた普通のスライムが、硝酸湖に落ちてアシッドスライムになっているのかもしれません。そして、そのアシッドスライムが這いずり回るうちに、マッドスライムに変化してる説ありません?」

 「…あるな。」「ありえるかもー。」


 佐藤さんと霧島さんもその説に同意する。


 「ただー、たぶん前者だけでー、後者のマッドスライムの方は違いそうかもー。」

 「あぁ、それなら、マッドとアシッドの混成なのも説明がつくな。」

 「おそらくー、本来出現するのはアシッドじゃなくてー、1・2階層と同じスライムでー、フィールド湧きタイプじゃなくてー、特定階層のネスト湧きのタイプなんだろうなー。」

 「上層でネスト湧きしたスライムは、水流を通して、ダンジョン全体に出現するはずだった。が、3・4階層スライムが流れる先が、たまたまこの硝酸湖だったと。」


 ん?と言うことは、つまり?


 「と言うことは、この硝酸湖の管理さえできれば、3階層でアシッドスライムに悩まされることはなくなる?」

 「そうかもー。あくまで仮説だから要検証ー。」


 ダンジョンは不思議だ。

スライムA「やばいやばい逃げろにげろ!」

スライムB「やってられるか!俺は逃げるぞ!」

スライムC「やばいって!皆逃げろー!飛び込めー!」

スライムABC「どや、人間は硝酸の中までははいってこられるんやろ!」


霧島「(んー、今なら氷魔法で湖ごと凍らせれば一網打尽ですねー。やりませんけどー。)」

霧島「(退路の確保だけならー、出入り口だけ封鎖すればいいですしー。目標は達成したも同然ですかねー?しらんけどー。)」


佐藤「霧島。出入り口だけ氷魔法で封鎖できるか?そうすればしばらくはスライムがここからでてこられない。」

霧島「やれますー。(というより提案するつもりでしたー。)」


黒川「(そういえば今さらっと言ってたけど、硝酸って耐性スキルあれば平気っぽい?…覚えておこう。いずれ役立つかもしれない。)」


加藤「それでも水汲みます金田さん?」

金田「汲むわけねぇだろ。死ぬわ。」

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あとがき>スライムABC「どや、人間は硝酸の中までははいってこられるんやろ!」 はいってこられ【へ】んやろ! かな?
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