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【⭐️5,000ブックマーク】愛用のクッションがどうもなにか変【累計350万PV】  作者: 一級フラグ建築士
第3章 なんかクイーン・ビーを討伐したいんですけど

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なんかずっとぬめぬめぬるぬるなんですけど

 巣穴は決して一本道というわけではないが、私達はずっと高橋と山田の足跡を追いかけて進んでいるので、今のところ迷ってはいない。だが、この足跡にも同様のことが言える。まったく迷っていないのだ。ぬかるんで泥々の地面に、これみよがしにくっきりと残る二人組の足跡を追いかけて、どこまでも闇へと潜っていく。


 「大分進んだが、おかしい。もう数百メートルは進んでいるはずだろ…。」

 「あー、気づいてないー?本気ー?」

 「えぇ、わずかだけど角度ついてます。もう大分地下に潜ったはずです。」

 「加藤ー。そのとーりー。金田ー。だからDランクー。もっと精進ー。」

 「…なにも言い返せねぇ。」

 「その証拠に、少しずつ気温が下がってる。地下に潜ることで冷えてるんだ。」

 「そう言われれば、確かにジャングルより過ごしやすい。」


 あぁ、やっぱり、地下に潜っていたんだ。ずーっと、感じていた気味の悪さはそのためかな?でもそれにしては、やっぱりなんか変だな?


 「でもさぁ、佐藤さん。クイーン・ビーって地下に巣なんて作りましたっけ?」

 「作ることは作る。が、確かにここまで広大なのは前例がないな。」

 「あー、たぶん逆ー。かなー。」

 「どういうことだ霧島。」

 「たぶん洞窟が先ー。見てー、この地面ー。ずっとぬかるんでるー。ここまでアシッドスライムが出入りしてる証拠ー。というかー、たぶん奥からアシッドが湧いてるー。アシッドが溶かした洞窟をー。巣として利用してるー。」

 「そういうことか!先に洞窟があって、そこに棲み着いたんですね!確かに、クイーン・ビーは、自分で穴をなかなか掘らないけど、既にある穴に巣を作る事はままある!」

 「加藤ー。その通りー。」


 あー、なるほど、そういえば、ずっと床がどろどろしている。そのお陰で、二人組の足跡がくっきり残っているんだけれども。そういえば、出会ったスライム、皆奥に奥に逃げて行ったな。あれは奥から来てたってことなのか。つまり、この先に大量のスライムが溜まってるかもしれない…?

 

 「でー、その巣が出来たあとでー、クイーン・ビーが生んだ、キラー・ビーが洞窟を拡張ー。通気の穴やらー、追加の部屋やらー作ってー、穴だらけー。」

 「そしてー、このくっきりの足跡から判断するにー。この先にー、アシッドの湧きポイントがあるー。問題はー、なんでそのポイントに真っ直ぐ足跡が向かってるかって事ー。」

 「どう考えても、場所を知ってるからの足跡だな。」

 「そうー。ずーっと誰かに案内されてるねー。…あれ?」


 あ、足跡が消えてる。いや、これは消えているというよりも。


 「分かれ道か。やつら別の道に入ったな。」

 「真っ直ぐ進むと、おそらく想定アシッドの湧きポイントで…あー、進んだと思われる方向からは、羽音がするな。」

 「たぶんー、湧きポイントとー、クイーン・ビーの住処が別ー。」

 「であれば、羽音の方だな。」

 「アシッドの方もちょっと気になるけどー。仕事優先ー。」

 「そうですね。3階層の情報は持ち帰りたいところですが、今は二人組を追いましょう。」


 そう、私達はあの二人組を追いかけてきた。だが、本当にそれでいいのか?私の直感が、アシッドの方に行った方がいいと言っている。だが、私なんかが、現役探索者の判断に異議を唱えていいのか?だが、どうしても、ぬかるみの方に進むべきだと、第六感が警鐘を鳴らす。


 「あっ、あの、ちょっと待ってください。」


 気がつくと、声をあげていた。


 「んー?どうしたのー黒川さんー。」

 「一度、アシッドの方に行った方がいいと思うんです。」

 「…ん?でも二人組を追いかける方が優先でしょー?」

 「分かりません、でも行った方がいいと思うんです。」


 加藤さんと金田さんも反対する。


 「黒川さん。分かりませんでは、どうしようもないですよ。」

 「そうだぞ。何かあるのか?今はどう考えてもそっちは後回しだ。」


 「いや、私は賛成だ。理由もある。」

 「えっ佐藤さん?なんでですか?」


 意外にも佐藤さんが賛成してくれた。


 「まぁ主な理由としては、退路の確保だな。道中、遭遇したスライムを覚えているか?」

 「えぇ、何体も遭遇しましたが、黒川さんを見て逃げ出しましたので、特に問題はなかったですよね?」

 「あぁ、そうだ、黒川さんを見て即逃げ出したな。ありえない速度で。」

 「では、そのスライムが逃げた方向は?」

 「洞窟の奥…あっ!?」 

 「そうだ、我々は入口から奥へと向かって進んできた。このぬかるみの先には、さぞかし大量のスライムが逃げ込んでいることだろうな。」

 「あー、そのスライムがー、一斉にー、入口を目指し始めたらー、退路がなくなるー。」

 「そういうことだ。万が一、敗走することになれば、逃げ道はこの通路ということになる。そして、そこに大量のスライムがいたとしたら?どうやって逃げる?」

 「魔法で蹴散らして倒せばよくねぇか?」

 「で、倒したスライムの残骸が床を埋めつくす訳だが?」

 「…うへぇ。」


 酸性のスライムの粘液とジェルが、洞窟の床に散らばって、その上を逃げなければならない。下手をすれば、飛び散った酸で焼かれるし、揮発した酸は呼吸器を焼く。


 「つまり、スライムに圧倒的優位を取れる今のうちに、奥の方を確認する必要があると思うが。」

 「理解しました。となれば、時間をロスしてでもアシッドの対処を優先すべきですね。」

 「あと付け加えるならば、黒川さんの直感は意外とバカにならない。たぶんスキルか称号かの何からしらの効果だ。未来予測と言ってもいいかもしれない。その辺りも当てにして同行してもらっている。」

 「…自分でもそれ知らなかったんですけど。」

 「推測の域を出ないからな、言ってなかった。」


 いや、それでも教えてほしいかなー?佐藤さーん?

新作始めました。

触手 in クーラーボックス(仮)

https://book1.adouzi.eu.org/n1200kj/

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