やっぱりなんか集団探索なのに別行動なんですけど
高速で移動して、スライムを蹴り飛ばす。スライムは私に気がつくと逃げ出そうとするが、逃げるより先に近づいてそのまま蹴り上げる。
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◯『スライム』を討伐しました。12EXPを獲得しました。
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『べしゃっ』
『べしゃっ』とゼリーが叩きつけられる音がしたら、標的を次のスライムに切り替えて、そのまま蹴り上げる。
『べしゃっ』
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だが、この方法は、効率が悪い気がしてきた。このスポットには、無害なスライムが山のようにいる。文字通り地形の関係で、集まったスライムが溜まって、水溜まりのようになっているのだ。…そう、スライム溜まりだ。普段は足元でうごうごしているので、一匹一匹を叩きつけるなどしなければならないが、これだけ塊ならば、もはやその必要もない事に気がつく。だって、既に飛び散ったスライム片で、余すとこなく、びっちゃびちゃなんだ。今更気にする必要もない。
その塊に加速をつけたまま突っ込む。
ばちゃあん!
言うなればスライム溜まりに、フライングボディプレスをかます要領だ。逃げる前に加速をつけた状態でダイブする。衝撃はスライムの方が吸収してくれる。あとは、無駄に高い自分のステータスならばこれぐらいならたぶん大丈夫だろという、打算である。
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全身がスライムまみれにはなるが、ちまちま加速して近づいて蹴り上げるのとは比較にならない効率の良さだ。少なくとも40体は誤魔化しのために倒さなければならないし…。ただでさえ、逃げ回るスライムのせいで時間が押したのだから、これぐらいの腹いせ…もといやつあたり…でもなくて、その…、これぐらい効率よくやらなければ、時間が足りない。問題があるとすれば、潰れたスライムのスープの回収方法だろう。
スライム溜まりを潰したということは、スライム溜まりが文字通り、スライムの溜まりになってしまうことを意味する。つまり、とろみがついた水溜まりである。ある程度大きな破片であれば、すくい上げれば良いだろうが、細かい破片の回収は確実にめんどくさい。そして、核の方はスープの一番下に沈んでしまっているため、手を深くまで突っ込まないといけない。
あとは仮にも女子高生が、こんなふうにスライムを討伐してどうなんだという、外聞の問題があるが、もうずっと走り回ってるし、もういい。もういいんだ。私はこの方法でいく。
ばちゃあん!
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よし、このまま次に―
「す…すとっぷ!すとっぷ!!」
佐藤さんに止められてしまった。
「確かにこの方法だと効率はいいけど、もうちょっとなんというか、なんというかさぁ…もっとなんか方法があるんじゃいのかなー…って思うんだよね。」
「えっでも、どうせもうびしょぬれですし。」
「それはそうですけど、ドロップ品の回収がそれだと満足にできないので…一応、これ実践訓練なので、ドロップ品の回収のこともぎりぎり考えて、討伐しないと訓練にならないかなーって」
佐藤さんよりNGが出てしまったので、この後は、地道にスライムを蹴り続けた。…それはそれで、ドロップ品がぐちゃぐちゃにはなるのだが。
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●STATUS / NOTICE / QUEST
LV:40
EXP:2265→2745/4000
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合計40体の討伐を完了した。これで討伐数の方は、ノルマ達成だ。…ドロップ品の方は、スライムジェルが(普通に倒すのに比べるとだいたい)1/2ぐらいしか残らなくて、核もどっか飛んでったやつがあったりするので、こちらは2/3ぐらいかな?まぁ査定に出せば分かるでしょ。スライムジェルの方は、40体分も持ち帰れない(というか物理的に無理)し、まぁ問題はないんだけど、核の方は拾えたら拾いたかったな…。
佐藤さんいわく「予定より随分早く終わった」ので、せめてでもということで、今は小川で、べたべたのスライムジェルを流している。
「あんまり、FPダンジョンを汚したくないんだけど、スライムジェル流すだけだから…小川で流して…」「あと、このままじゃ風邪ひいちゃうでしょ。それに、帰りどうするの?」
「…そこまで考えてませんでした、申し訳ありません。」
「もっとさぁ、女子高生なんだからさぁ…もっとなんかさぁ。」
本当に、申し訳ない。
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「小川で流してきたねー。じゃぁ、火魔法で乾かすから…」
「…佐藤さん火魔法使えるんですか?」
「そうだよ、本職の魔法使いや魔術師みたいなのじゃなくて、探索者が覚えられる生活魔法だね。ダンジョン奥に行くと、覚えているとサバイバルで便利だし、生存率が段違いなので、探索者なら覚えるんじゃないかなぁ。」
へぇ、生活魔法、そういうのもあるのか。あ、温かい。確かに体冷えてたんだな…。
「そうなんですね…ということは、やっぱり水魔法や火魔法ってことです?」
「そのとおりだね。お湯を沸かしたり、飲水にしたりできるから、火魔法と水魔法は欠かせないね。あとは、氷魔法と電気魔法が使えると便利かな。ただこっちは、覚えられる人と覚えられない人がいるから全員が持ってるわけじゃない。」
氷魔法と電気魔法か…
「佐藤さんは使えるんですか?」
「私は氷魔法は使える。電気は駄目だった。覚えられれば電気で明かりが取れるし、バッテリーに貯められれば、家電も動かせるんだけどなー。」
「そうそう、スライムの討伐も氷魔法だと、ジェルを丸ごと保存できて便利だよ。」
あー、なるほど。凍らせれば、そのまま持ち帰られるのか。
「ただ、その時は回収できるジェムの量が、スライム丸ごとになるので。持ち帰れても数匹が限度ですね。マジックバッグあたりのアイテムがあれば別だな。」
「なるほど、確かに物理的に持ち帰れませんね。」
へぇ、マジックバッグ…。
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「…こんなもんかな!よし、それじゃぁぼちぼち皆と合流しようか。」
「ありがとうございます。そうですね。そろそろ心配です。」
奏達、大丈夫かなぁ…早く合流したいなぁ。
『ピー、ガー。』
そう思った矢先、佐藤さんの持つ無線機から、ノイズが聞こえ始める。
『鈴木より佐藤へ。応答願うっす。』
「こちら、佐藤。どうした鈴木?」
『山田と高橋が行方不明っす。』
や り や が っ た あ い つ ら !
中川「やりやがったあのバカ!」
鈴木「まずいっす!絶対3Fっす!」
佐藤「現役の探索者を二人も監視つけたのに逃げられたのか?まじかよ!」
中川「本部!応答しろ本部!」
田中「えっバカなの?」
中田「わぁ…。」
青森「「やるとおもった」」
二宮「理恵ちゃん大丈夫かなぁ…」
黒川「奏達大丈夫かなぁ…」
協会職員「中川からもしかすると、3Fに学生が侵入しかかもって」
岬「(頭抱え)」




