竜と騎士の物語(5)
魔女はずっと昔から生きているとても古い存在です。騎士と竜も伝説でしか知りません。魔女はとても狡猾で、あっという間に竜を罠にはめて捕まえてしまいました。竜は砂で出来た魔女の城に閉じ込められてしまったのです。砂の城の内側は良く見えません。騎士は一生懸命外側から竜に呼びかけますが、返事は帰ってきません。
騎士は砂の城の前で竜が帰って来るまでずっと待つことを決めました。それがどれくらい長くなるかはわかりません。でももう、竜がいない毎日はとてもつまらないものだと騎士は知ってしまっていたのです。
王様の呪いのせいで、竜と心から会話をすることはできないとしても、騎士には竜が必要でした。
一方その頃、砂の城の中で竜は魔女と話をしていました。魔女は、竜と騎士を倒そうとするつもりかと思っていたのですが、竜に魔女は相談事があるのだと言いました。
魔女は可哀そうに、病気になっていました。それを何とか治すのに、竜の鱗が必要だというのです。とても素敵なぴかぴかの鱗。それを一枚くださいとお願いされました。
竜は病気の魔女に鱗を一枚上げました。魔女は鱗に向かって呪文を唱え、お薬を作りました。それを飲むと魔女の病気は奇麗に治ってしまいました。とても喜んだ魔女は、竜にお礼をしたいと言います。実は魔女はとても力のある存在だったのです。




