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竜と騎士の物語(4)

 さてある晩、それはとても月が奇麗な夜でした。白い大きな月と赤い小さな月が、壊れた建物の間で休む騎士と竜を照らします。

 夜が長かったので退屈をまぎらわすため、騎士は竜に、自分の知っている古い物語を話しました。

 戦争が嫌いな騎士は、その時には竜のことがとても好きになっていました。竜の見た目がとびきり奇麗なことは前にお話ししましたが、竜はとても優しくて騎士と仲良くしてくれたからです。

 騎士の話した物語は古い恋物語です。それと同じように君のことが好きなんだと言いましたが、竜にはあまりわかってもらえませんでした。

 実は、竜達には呪いがかけられているのだと、竜は話します。竜はとても強いので、敵になることを恐れた王様が、絶対に自分の言うことを聞く様に、強い呪いをかけているのです。だから王様が認めないことは考えられないので、騎士の竜への気持ちを理解することができません。

 それはとても残念だと騎士はがっかりしましたが、でも竜のことは大好きなままです。竜もまた騎士のことも騎士の話す古い物語も気に入っていました。だから今まで通り、いえいえそれ以上に仲良くしようねとお互いに話しました。



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