暗闇の中に輝く光
今回は、気合いを入れて頑張って書きました。
熱も下がり完全復活です!
コウヤが魔界に来てから既に3ヶ月が過ぎようとしていた。その日は朝から皆が慌ただしく動き回り屋敷の中を使用人達が走り回っていた。
朝からマトンも大慌てで動き回り、誰一人休憩すらままならない状況であった。
コウヤも慌てて仕事をこなしていくが皆より大分遅れてしまっていた。仕事が遅いのではなく、度々作業を中止していたからだ。
「コウヤ、ごめん! 掛け布団を干すから全部持ってきてくれ!」
「コウヤ! マトンさんが呼んでるから、直ぐにいってくれ」
「此方は大分だからコウヤを呼んで買い出しにいって」
事ある毎にコウヤが指名されコウヤの作業が遅れていた。その分、皆が仕事を手伝い、何とか作業スケジュールを取り戻そうと必死で動き回った。
結果的に定時に仕事が終わるとコウヤはやっと一息つくことが出来た。
コウヤは不慣れな買い出しの手伝いで大分時間を要してしまったがマトンや他の使用人達の計らいでベッドシーツの張り替えなどが終わっていたのが救いであった。
後片付けをしているとマトンに食道に呼ばれた。 慌ててが食堂に向かう。コウヤが食堂に着き、扉を開くと普段空いている筈の窓には雨戸が閉められていた。
真っ暗な食堂。
3歩程中に踏み込んだがコウヤは普段と違う雰囲気に一瞬躊躇い、食堂から1歩後ろに下がろうとした。
「何処に行く? 話はまだ始まってすらいないんだがな」
暗闇の奥からマトンの声が聞こえた。
“ビクッ” とコウヤが体を震わせた途端、食堂の扉が “ バタン ” と音を立てて閉じる。
その瞬間、コウヤは扉の方を振り向くが既に扉は完全に閉まっており、隙間から微かに見える向こう側には二人分の靴が見えた。
少なくともマトンの他に協力者が二人要る事が分かった。
「コウヤ、いきなりで悪いな、だが……こうする他なくてな、コウヤは鼻も耳も人並み以上なのでな」
「マトンさん、よく分からないんですが? 取り合えず僕を此所に呼び出すのが目的だったの」
暗闇の奥でマトンが頷いたように見えた。
「ああ、そうだ。その為に苦労した。コウヤを買い出しに向かわせたり、屋敷の中から外に向かわせたり、色々と大変だった。初めての事で些か上手くいかずに焦らされたがな」
コウヤは、急ぎ体外魔力と魔眼を発動させようとした次の瞬間。
一斉に雨戸が開け放たれ、 “ パンッパンッパンッ ” と激しい音がなり辺りが一瞬で光と火薬の匂いに包まれた。
コウヤは驚き眼を細めた。そしてゆっくりと眼を開くと其処にはミーナとラシャ、マトンやアルカ達の他に使用人仲間達が集まっていた。そして、マトンが優しく微笑んだ。
「ハッピーバースデーィツゥユー。ハッピーバースデーツゥユー。ハッピーバースデーディア “ コウヤ ” ハッピーバースデーツゥユー」
皆が手を叩き、ケーキが運ばれくる。
コウヤは初めて聞く唄と蝋燭の火が灯されたケーキを見てどうしていいか分からないでいた。
「え、え? な、なに? どういう事」
マトンがクスクスと笑っている。
「すまない、初めてだとそうなるな」
マトンに取り合えず火を吹き消すように言われ、コウヤは11本の蝋燭の火を吹き消した。
火が全て消えると再度、拍手が食堂に鳴り響く。
「これは島人が産まれた日を御祝いする唄と儀式なんだ。11才の誕生日おめでとう、コウヤ」
「「「おめでとう」」」
マトンの後に続き皆から祝福の言葉を貰いコウヤは驚いていた。
「コウヤ、黙ってゴメンね。マトンさんにラシャとコウヤの誕生日の事を話したらサプライズをしようって決まったの」
「私は問題ないが、ミーナが喋らぬかハラハラしたがのう、まぁ、ミーナなりに頑張って我慢しておったぞ」
ミーナとラシャがコウヤにプレゼントを渡す。
ミーナからはピアスが贈られ、ラシャからは、葡萄酒のボトルが渡された。
「二人ともありがとう、でも何でラシャは葡萄酒?僕は流石にまだ飲めないよ?」
その問いにラシャが自信満々に答えた。
「何を言うか! エルフの社会では10歳を越えたならば、葡萄酒を祝いに贈るのじゃ! そして、その葡萄酒が年と共に熟成していく、言わばこれから先のコウヤの為のボトルなのじゃぞ」
そして、ミーナもピアスの意味を教えてくれた。
「同族つまり、獣人の11才の誕生日に10の穴に針を通す事で全ての厄に穴を開けて、振り払い再度、栓をする事でこの先の運命の厄落としするの」
そう説明したミーナがコウヤの耳に一瞬でピアスを打ち込んだ。
「いたっ!」
余りにいきなりでビックリした声をあげたコウヤの耳には、綺麗なピアスが光輝いていた。
それから次々にプレゼントを渡されるコウヤ。そして、いつの間にかシアンの姿も紛れ込んでいた。
「コウヤ! おめでとう、私からは此れを君にあげようじゃないかぁね」
シアンは黒いマントをコウヤにプレゼントした。
「シアンさん、いぇ、シアン様、ありがとうございます」
「あと此れはランタンからの預かりものだぁよ、君の祝いに間に合わなければ渡して欲しいと旅立つ日にあずかったんだぁねぇ」
そう言われ渡されたのは長い剣であった。
「其れは刀と言う島人の世界の武器だぁよ。黒刃の物は貴重だが何より驚くのはそれがオリジナルではなく、ランタンの合成魔法により作られたロストアーツと刀の融合武器だと言う事さぁ、あとは試してみなさい!」
それだけ言うとシアンは、食堂をあとにした。
その日、沢山の人に祝われながら幸せな誕生日を迎えることが出来たコウヤは満面の笑みを浮かべていた。
ーーよく考えてみれば、誕生日を祝うなんて何年ぶりだろう? ダルメリアで過ごした数年は精神の状態であり、今から考えたらとても昔の事に感じるなぁ
喜びの涙がこぼれたケーキは少ししょっぱくなってしまっていた。
祝いが終わり、夜の空を見ながらコウヤは柄にもなく、少し黄昏ていた。
明日も頑張ろうと心に誓いながら、自室へと帰っていく。
バレないように、ラシャとミーナはコウヤを見おくる。
「何とか上手くいったわね」
「そうじゃな、まぁ、妾が確りと考えた作戦に抜かりはないわ!」
「ラシャは、マトンさんに頼んだだけでしょうが?」
二人は笑いながらコウヤの誕生日を心から祝っていたのだった。
「「コウヤ。HAPPY BIRTHDAY! 」」
どうでしたか?
楽しんで貰えたでしょうか?
楽しんで貰えたなら幸いです。(о´∀`о)
感想や御指摘ありましたらよろしくお願いいたします。




