コウヤの一カ月
コウヤの仕事開始です。
コウヤがどんな仕事をするのかと言う話になっています。
朝日が登り。コウヤにとっての人生初の仕事をする朝がやって来た。シアンに言われた時間に屋敷に行くと既に他の使用人達が仕事を開始していた。
そんな中、シアンが屋敷の階段を降りてくるのを確信すると一人の男がベルを軽く鳴らした。
その音を聞いた途端、使用人達は仕事を中断し階段の下に整列する。
ベルを鳴らした男がコウヤを手招きをして、列に加える。
この男は執事の“マトン=ホゲット” 確りとした体つきの30代の男性で髪は短目で眼鏡越しに見える瞳は紅眼であった。
マトンに呼ばれて整列したコウヤの前にシアンが立ち止まる。そしてコウヤを隣に引き寄せると皆の前で紹介を始めた。
「皆、御早う、今日から一緒に働いて貰うコウヤ=トーラス君だぁよ。若いがランタンが認める程の逸材だぁね。よろしく頼むんだぁよ」
シアンが紹介を済ませるとコウヤが一礼する。
「コウヤ=トーラスです。よろしくお願いします」
皆が歓迎の手を叩く。
「さて、挨拶も済んだぁね。コウヤの教育はマトンに任せるよ。いいかぁね?」
マトンはシアンの問に「はい、旦那様。かしこまりました」と頭を下げた。
コウヤも同様に頭を下げる。
マトンと共に屋敷の中をまわる事になった。マトンは必要な説明をする以外は口を開くことは無く、単純に無口なのか、コウヤを嫌っているのかで少しコウヤは悩まされた。
しかし、案内が終わるとマトンに食堂に案内された。食堂に着くとマトンが他の使用人に頼んで紅茶を用意してくれた。其れを受け取り、コウヤの前にそっと置く。
「砂糖は1つでいいか?」
マトンが初めて案内以外でコウヤに話し掛けてくれた言葉である。
「あ、はい!」
「そう堅くなるな、肩の力を抜きなさい、折角の紅茶が味気なくなるぞ?」
そう言うとマトンがコウヤに笑いかけてくれた。
コウヤはマトンを誤解していた。最初の挨拶の際の行動もマトンの優しさであり、本来ならばコウヤは訳も分からずにあたふたしていた事だろう。
その日から、コウヤはマトンのもとで必死に仕事を覚えようと毎日必死に仕事をこなしていく。
最初の頃はベッドメーキングでシーツの敷き方から教わり、何回もやり直しシーツ交換だけで夜まで掛かっていた。
その間マトンは手を出さない。しかし、コウヤが終わるまで休憩をするでもなく、ずっと側に居てアドバイスをしていた。
その日から、使用人用の御風呂を使うようになった。別館の他に使用人用の別館がありコウヤはミーナとラシャの反対を押しきるとシアンに頼み、使用人用の方に住まわせて貰うことになったのだ。
その間、コウヤは馬小屋の世話も担当した、しかし、馬小屋にはワットのみである。
魔族は馬には乗らない魔族は馬の代わりに魔獣に乗るからであった。
パンプキンの扱う熊牛の正式名称は“ベアルモーム”本来は気性が荒く、使い魔や乗魔には向かない魔獣であるとマトンがコウヤに教えた。
因みに、魔族が乗魔として乗るのは“ギルホーン”と言う馬のように巨大な鹿のような魔獣である。
簡単に言えば、自分達の馬の世話は自分達ですると言う事だ。其れに関してはミーナが手伝った。
ミーナは、ギルホーンの世話を使用人と一緒にしながら、“カフェ コバヤシ”でウェイトレスをしている。
ラシャに関してはアルカ達、“カーミ”のメンバーを使い。雑貨屋を始めていた。魔界の物がコウヤ達に珍しかった様に外の世界の物は魔界でも珍しいのだ。
そして、今日もコウヤの仕事が終わる。明日は交代制の休日であり、教育係りのマトンもコウヤと勤務は一緒であった。
「コウヤ、仕事はどうだ?」
「マトンさん、はい。まだまだですが、頑張って覚えていきます」
「そうか、良かったら此れから街に飯を食べに行かないか? 勿論、俺の奢りだ」
ミーナは遅番であり、ラシャは最近は遅くまで店にいる様だったのでコウヤはマトンと夕食を共にする事にした。
コウヤが案内されたのは、小さな食堂であった。
店内に入ると直ぐに“パンッパンッ”と言う音が鳴り、使用人の面々が集まっていた。
「「「一カ月おめでとうーー!」」」
其れはコウヤの歓迎会であった。そして、少し遅れてミーナとラシャ達も店に到着した。
「コウヤ、一カ月、お疲れ様」
「おめでとうコウヤ。しかし、歓迎会とは魔族は本当にアットホームじゃな?」
ミーナとラシャも笑いながら、そう言い席についた。
マトンが乾杯の音頭をとりつつ、コウヤの歓迎会が始まる。
そんな中、店の扉が開くとシアンが姿を現した。
「お前ら…… 私も参加させろ、今日は無礼講だ。私の奢りだから遠慮は無しだ!」
「「「オオオゥゥゥ」」」
シアンのデスクには、マトンからの案内と『無理でなければ、御越しください』と書かれた手紙があったのだ。
そして、コウヤの歓迎会は遅くまで続いた。楽しい時間はあっという間に過ぎていき、気付けばコウヤは眠ってしまっていた。
ミーナ達が騒いでる間、一足早く店を出るシアンとマトンの姿があった。
「シアン様、私がおぶりますよ」
「マトン、今日は無礼講だ、私に遣らせてくれ、其れにあの子には、おんぶすら私はしてやれなかったんだ、頼むぅよ」
「わかりました。シアン様がそう言うなら致し方ありません」
「二人の時は友として、話して欲しいんだがぁね? マトン」
「コウヤがいる手前、其れは出来ませんよ」
マトンはそう言い笑った。ぐっすりと眠るコウヤをベットに寝かすとシアンは、コウヤの顔を寂しそうに見てから部屋を後にするのであった。
次回!ミーナとラシャが!例のあれになります!
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