魔王?シアン=クラフトロ
本日から第二部に 入ります。
無事に第一部を終わらせられたのも、皆様のお陰です。
ありがとうございます。
全ての終わりを迎えた。禁忌の森に住む種族達は森を捨てることを余儀なくされていた。人間達は禁忌の森に油を撒き火を放ったのだ。
ラシャは最後まで戦うと口にしていたが、コウヤ達の説得に応じた。すぐに全種族がエレに集められ、次々にパンプキンのポケットの中に入っていく。
とても不思議な光景であったが、ラシャが一番最初に中に入ったこともにより、皆は落ち着いてポケットの中へ入ってくれた。
全ての者をポケットに入った事を再度確認するとパンプキンはテレパスを使い、一瞬で魔界へと移動した。
パンプキンがコウヤ達をポケットから出した時、全身を仄かに草の薫りが包み込んだ。
「ようこそ、皆様。此所が魔界に御座います」
コウヤは魔界の凄さを感じていた。
1面に拡がる田畑は綺麗に段になり、水の通り道まで管理されていた。アグラクトの領土であった、カルトネですら此処まで整備された田畑は存在していなかった。
空には、大きな羽を使い空を飛ぶ魔族達の姿があり、コウヤの聞いていた魔界とは全く別の世界がそこには広がっていた。
「これが魔界なの? パンプキン」
「ええ、この緑の世界が魔族の世界。通称、魔界です」
コウヤが学校で聞かされていた魔界とは違い緑に包まれ豊かな水の流れとそれを何処までも伝える水路。
人間の話す魔界とはまるで違う世界が目の前に何処までも広がっていた。魔界には簡単には来られないこともあり、ミーナも少し興奮ぎみであった。
そんな時パンプキンを遠くから呼ぶ声がする。その声に気づき振り向くとパンプキンが歩く頭を下げた。
その声の主は、コウヤ達に近づいてきた。男は楽しそうに笑みを浮かべながらコウヤをじっくりと観察するようにぐるぐると回りながら頷いていた。
「君? 人間、其れとも獣人かな、不思議な魔力だぁねぇ?」
そう口にする男は、長身でひょろっとした優男の雰囲気を醸し出していた。眼は綺麗な紫色、髪は銀髪で頭には角が左右に1本ずつの合わせて2本、コウヤは母親のミカから聞いた “ 鬼 ”と言う生物を思い出していた。
「あなたは誰ですか……? あの……僕はコウヤ。コウヤ=トーラスです……」
男は笑いながらコウヤの頭を掴んだ。
「人間だぁよね名前も? なのに人間にみえないねぇ? 不思議だねえ、実に不思議だぁねぇ?」
「痛い、痛い! 痛いですってば」
コウヤが声をあげるとミーナとラシャが男を止めに掛かる。
「ちょっと! アンタ離しなさいよ」
「そうだぞ! コウヤが痛がっておるだろう! 離さぬか」
いきなりの事にコウヤは焦っている。パンプキンが頭を抱えて溜め息を吐く中、ミーナとラシャが男をコウヤから離そうと必死になっていた。
男は好きなだけ観察すると手を離すとコウヤを抱きしめた。
「実に素晴らしい! まさに獣人と人間の間の存在で有りなぁがら、魔族の魔眼まで有しているなんて、君を歓迎するよ。トーラス君」
男はその手を離し挨拶を始めた。
「いきなりで悪かったぁね。私はシアン=クラフトロ。魔界の王つまり、魔王なんだぁね、宜しくね。トーラス君」
それを聞きミーナとラシャが大人しくなる。しかし、コウヤは魔界の王と言うものを理解していなかった。人間達に話される魔界には、『魔王は勇者に敗北して倒された』としか伝えられていないからだ。
「パンプキン? 魔王ってやっぱり偉いの?」
コウヤが小さな声で尋ねるとパンプキンは微笑んだ。そして小さな声でコウヤに言った。
「コウヤさんが直接、確かめてみてはいかがですか?」
そんな会話を聞いていたシアンは、コウヤとパンプキンに笑いかけた。
「ひそひそ話は良くないなぁ? なんなら久々に手合わせでもするかぁねランタン?」
そう言われパンプキンは笑い返す。
「其れは畏れ多いですね。しかし魔王になってから腕が鈍っているようでは困りますし、仕方ありませんお受け致しましょう」
「ならば今すぐにやるんだぁよ!」
そう言うと二人は闘技場に移動した。
そしてコウヤ達は闘技場の観覧席に通され、上からパンプキンとシアンの試合を観れることになったのだ。
其所にはコウヤが今まで眼にした事の無い戦いが繰り広げられていく。
観客席から送られる期待の視線を感じながら、二人は互いの武器をぶつけ合う度に無言のまま、微笑みを浮かべていた。
次回は魔界を紹介します!たぶん?
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