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アサミ=クレストラ=ランタン2

書いてて泣きました。


作者は多分酷いやつです。

 アサミが16才を迎えた朝にパンプキンは指輪をアサミに渡した。


「アサミ、私はお前と出逢って、弱くなったのかもしれない。今の私はアサミを失うことが一番怖いのです……」


 真剣な顔でそう言うパンプキンにアサミは抱き着いた。


「大丈夫だよ、私はパパといるよ。多分私の方が先に死んじゃうんだよね、だからパパ不安なんだよね。でもね? まだまだ先なんだよ? 今から哀しまないでいっぱい笑えるんだよ。其れに私はパパに見送られたら笑って空に行けるんだよ」


 パンプキンはそんなアサミを見て指輪の事を話すのをやめた。


「そうだな、私が間違ってたよ、指輪をネックレスにしてあげよう。貸してみなさい」


 アサミは其れを嬉しそうに身に付けると毎日大切にしていた。


 其れからもアサミは歳を重ねていく。沢山の別れや笑顔に反抗期とパンプキンの永い人生を色鮮やかに色付けてくれた。


 アサミは24才になった。見た目は16の頃から余りかわらない。時の超越者の効果なのかは、わからないがそんな事を気にする者は魔界には居なかった。


 そんなある日、魔界の外に行き倒れの人間の青年をアサミが見つけた。皆が人間を助けることに反対する中、アサミが口にした言葉は魔界に新しい風を吹き込んだ。


「私も魔族の娘であり人間です。どちらかが歩み寄らねば、何時までも世界は悲しみに満ちたままです!」


 魔族達は直ぐに道を開き、青年を治療し、食料を与えた。青年が回復し、魔界を旅立つ事になるとアサミは笑顔で見送った。


 其れからは魔界に人間が立ち寄る事は無くなったが、その出会いは確実に魔界の考え方を変えていた。


ーー更に36年後。


 あの時の青年も既に50を過ぎようとしていた。

 そんな中、生きている間に魔界にもう一度、行ってみたいと考え足を踏み入れた。魔族達は男をすんなりと魔界に通した。


 そして、男を出迎えたアサミを見て驚愕した。アサミの姿は変わることなく、当時の16才の姿のままだった。


 その時、男はフッと思い出したのだ。


『私も魔族の娘であり人間』とアサミが言っていた事を……


「あの時の姿なのですね、正直驚きました」


 男がそう言うと、アサミはネックレスにした“時の超越者”を男に見せた。


「このロストアーツの力だろうとパパは言っていました。私も驚いているのです。これを着けてから歳を取らなくなり、体も老いを忘れてしまっています」


 其れを聞いた瞬間、男の中で悪魔が囁いた。


『奪ってしまえ、この女だけが歳を取らないなんて! 理不尽だ、次はお前の番だ! 人間の寿命は短い、近くに不老不死の力があるんだ。奪え! 奪 え!』


 次の瞬間、男はアサミのネックレスに掴み掛かると其れを引きちぎった。一瞬の事に驚いているアサミに向かいフレイムを詠唱したのだ。

「〔炎よ我が力となれ!〕“フレイム”」


「イヤァァァァァ!」


 アサミの全身を炎が包み込んだ。

 叫び声を聞いたパンプキンが直ぐに部屋に入ると、アサミが炎に包まれ、男が“時の超越者”を握り締めて逃げようとしている所であった。


「貴様!」


 パンプキンは直ぐに男を捕まえようとしたが、アサミを助ける事を即座に優先した。アサミは全身に酷い火傷を負った。美しかった髪は熱でボロボロになり、全身を焼いた炎は透き通るような肌を赤は黒く焼き付くしていた。


 そして男は“テレパス”を使い遥か彼方に逃げ去っていた。


 パンプキンは変わり果てたアサミを見て泣いた。

アサミの柔らかく暖かい手には包帯が巻かれ、感覚があるのかすら、分からない状態だった。


「パパ…… 私…… 嫌われちゃうね……」


 焼かれた喉で必死に喋るアサミの手を握りパンプキンは首を横に振った。


「アサミ…… 頼むからいかないでくれ、私は、まだアサミといたいんだ、頼む、頼むから、生きてくれ!」


「私…… 幸せ…… パパ…… だいす……」


 アサミの手からは力が抜け、握りしめていた手の感覚が無くなっていく。


「アサミ…… アサミ!」


 パンプキンは泣いた。その場に居た全ての魔族が泣いた。魔界において此処まで愛された人間は他にいないだろう。


 アサミ=クレストラ=ランタンは人間と魔族の架け橋の為に生きた、そして人間の手によりその生涯を閉じた。


 其れからパンプキンは自身の素顔で笑えないように口に傷をつけた。そして、魔界カボチャをくり抜き、顔に自身で深く傷を刻みつけると其れを被り素顔を晒す事を禁じたのだ。


 そして、永い人生を人間への復讐に費やすことを誓った。パンプキンはもう、素顔で笑うことはない。


「アサミいってくるよ、お前はきっと今の私を嫌うだろうな。だが、必ず仇は討つ。そうでなければ、私は全てを壊してしまいそうなんだ」


 こうして、ランタンの悲しい旅とパンプキンとしての運命が始まる。そんなパンプキンを魔族達はただ下を向いて見送った。


 見送る魔族の足元には涙が無数にこぼれ落ちていた。

パンプキンにごめんなさい。


読んでいただきありがとうございます。

感想や御指摘、誤字などありましたらお教えいただければ幸いです。

ブックマークなども宜しければお願い致します。

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