“エレ”禁忌の森の黒いエルフ
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人獣転生★ボクが世界をこわします☆ は、ほのぼのダーク系ファンタジーです。(><)
コウヤが意識を失ってから、三日が過ぎようとしていた。その間も警備隊から連絡を受けたアグラクトの部隊から執拗な追撃は続いていた。
アグラクト兵は確実にコウヤ達をアグラクト王国から遠ざける為にアグラクトと近隣の警備隊が協力をして、禁忌の地へと追いやろうとしていた。
ーー禁忌の森の王国“エレ”ーー
そこは黒きエルフが支配する森であった。
黒きエルフの女王 “ラシャ=ノラーム”黒い剣 と呼ばれるエルフの女王が支配する森である。
しかし、ラシャ=ノラームはダークエルフと言う訳ではなかった。産まれて12歳までは、普通のエルフであった。
エルフの王“バルド=ノラーム”の娘として産まれた。
バルドは、娘であるラシャに、なに不自由無く、ただ幸せにしたいと願い溺愛した。
しかし、其れをラシャの兄達は許せなかったのだ。バルドが余りにラシャを溺愛している姿に兄達は次期国王の座を取られると感じ始めていたのだ。
そして、一番上の兄、ナザム=ノラームは国王バルドが他の種族との会合に向かい王宮を留守にするタイミングでバルドの部屋から『禁忌の箱』と呼ばれる小さな箱を持ち出したのだ。
ナザムは、箱の在処を調べ兵隊が王宮の外に警備を集中させるこの日を選び箱を持ち出した。
その箱をラシャの部屋に隠したのだ。
そして、ナザムが外の兵隊に 恰 も国王の部屋に誰かが入ったかのように報告をしたのだ。しかし、ナザムの予想外の行動を兵達がとったのだ。
ナザムとラシャを含む、王の血を引く3人の王子と姫であるラシャを自室に戻し中と外に警備をつけ、バルドが戻るまでの間、自由を禁止したのだ。
それはバルドの指示に依るものであり、賊が侵入した際にとられる、最優先事項になっていたのだ。
ナザムは生きた心地がしなかった、もし国王バルドが戻れば、その時の状況を聴かれるだろう。
そうなれば、『心眼』と呼ばれる“ロストアーツ”を所持するバルドの前に嘘が露見する事は火を見るより明らかであった。ナザムは見張りの兵にあることを願い出たのだ。
「幼い妹が心配だからどうにか様子を見に行きたい」
本来ならば、そんな事が許される訳がなかったが、賊の姿が確認出来ない事に加えて、この様な事態は初めてであった事もあり、護衛付きでと言う条件のもと、兵士はナザムをラシャの部屋に連れて行ったのだ。
誰もが妹思いの兄であると考えていたが、ナザムはラシャの部屋に入ると、わざとらしくラシャを抱きしめ、見張り達に聞こえないようにラシャに耳打ちした。
「引き出しに父上からの贈り物がある。でも皆には内緒だよ、ラシャにだけ特別に父上が選んだ物だからね」
そして、ラシャを離すとナザムは見張りに聞こえるようにラシャに喋りかけた。
「大丈夫、皆が守ってくれるから、恐くないからね」
そして、ラシャも嬉しそうに頷いた。
ラシャは手を振りナザムと護衛を見送ると見張りにバレないように、ソッと引き出しを開けた。そこには、小さな箱が1つ入っていた。
何も知らないラシャは箱を手にした瞬間、箱から声が聞こえたのだ。
「我を欲するか? 幼き者よ」
「私は幼き者じゃなくてラシャよ? 何で箱なのに喋れるの? アナタも“ロストアーツ”なの?」
ラシャは数多くのバルドが所有する“ロストアーツ”を目の当たりにしてきた。その中には喋るモノもあった為、余り違和感を感じていなかったのだ。
「我は『禁忌の箱』と呼ばれている、我が声を聞ける幼き者よ、ソナタならば、我が名を聞くことが出来るだろう」
「わからない箱ね。私はラシャ!って言ってるじゃないの」
そう言い怒りだしたラシャに見張りが気づき近付いてきたのだ。ラシャは見張りに気づくと直ぐに箱を引き出しに戻したのだ。そして、何事も無かった様に振る舞うと見張りも直ぐに所定の位置に戻って行った。
そしてバルドが知らせを聞き直ぐに会合から戻ると直ぐに無くなったものが無いかを調べ始めたのだ。バルドは直ぐに『禁忌の箱』が無い事に気づいたの。
バルドは直ぐに王宮の中を隈無く探させたが、箱は見つからなかったのだ。
そして夜がやって来た。ベットでスヤスヤと寝息をたてるラシャに箱は話し掛けたのだ。
「…………が我が名だ。我が名を忘れるな幼き者よ、我はソナタを選びソナタの為に存在する、忘れるな我が名を」
ラシャが朝、目覚めると部屋には大勢の兵隊と国王であり、父であるバルドの姿があった。そして、その横に縛られたナザムの姿があった。
「御父様、いったいどうなされたのです?何故、ナザム御兄様が縛られているのですか」
バルドは無言のまま、兵士に合図を送ると兵士達は直ぐにラシャのベットの周りを取り囲んだ。
「御父様……! 説明もなく、この様な振る舞いをされるのがエルフの王であり、“エレ”の国王である御父様の遣り方なのですか!」
ラシャの言葉にバルドは眼を見開き、口を開いた。そしてバルドの口からはラシャが予想だにしない言葉が出てきたのだ。
「我、エレの国王バルドは此れより、ナザム=ノラームとラシャ=ノラームとの血縁を放棄する。そして、この二名を今より永久投獄とする。この決断を変えることはこの先ない、直ぐにラシャを捕らえよ」
そして、箱は直ぐにバルドの手により回収された。ラシャが投獄されてから、5年の時が流れたある日、夢に箱が現れたのだ。
「幼き者よ、明日の晩迄に我が名を呼べねば、ソナタとの繋がりは無くなる……選べ……我が名を呼べ!……忘れるな……後1日だ……」
そして、朝を迎えた……その日、バルドが姿を現したのだ。ラシャはやっと誤解が解けたのだと思い久々に見るバルドに笑顔を向けた。しかしラシャは直ぐに状況を理解した。
バルドの手には幼子が抱かれ、その横には美しいエルフが立っていた。
「久しいな、ラシャよ? まだ生きていたのだな、ナザムの様に自決すると思っていたが違ったようだな」
愛していた者から口にされたその言葉にラシャの心は打ち砕かれたのだ。そして、ラシャはずっと口にしなかった言葉をただ一言、口にした。
「もういいや……疲れたよ、パンドラ……」
そう口にした瞬間、牢の中に箱が忽然と姿を現したのだ。そして、バルド達にも聞こえる声で喋りだした。
「幼き者、ラシャよ……我を欲するか?欲するならば、ソナタに我が力の全てを捧げよう、欲するならば我が名を呼べ!」
直ぐにバルドは攻撃魔法を放つもラシャを守るように箱から靄が立ち込め、魔法を打ち消したのだ。
「私は……頑張ったよ、御父様……私はアナタを欲するわ、パンドラ」
「確かに聞き届けた! ラシャ、我が主よ」
パンドラに包まれていくラシャは涙を流しながらバルドを見ていた。
「やめろおぉぉぉぉ!」
ラシャは一瞬期待した、自分を助けようとしたのではないかと、しかしバルドは魔法を使いラシャ目掛けて攻撃をしてきたのだ。ラシャの最後の望みはアッサリと打ち砕かれたのだ。
そして、ラシャは禁忌の力を手にした瞬間、美しく長い金髪の髪は白く染まり、綺麗な透き通る様な肌を黒く染めた。 その瞬間バルドは幼子とエルフを連れ外に飛び出した。直ぐに兵を集めるとラシャを殺そうとした。
外に出てきたラシャの手には、パンドラが握られ、パンドラからは紫の煙が天高く舞い上がって行った。そして空は紫に染まり、エレの王国と森を覆い尽くした。
「さよなら……バルド御父様……」
次の瞬間、紫の雨が降り、それはエルフ達の皮膚を焼き、全身を爛れさせた。苦悶と激痛の波がエルフ達を襲っていった、そして殆んどのエルフ達が死に絶えたのだ。
生き残ったエルフは幼子ばかりであり、ラシャは幼子達を自分の新たな家族としてパンドラの力を使い急速に成長させていったのだった。
エレの異変に気付いた人間達は直ぐにエレを調べる事となる、そして大量のエルフ達の残骸を見つけた人間達は疫病を怖れ、森への立ち入りを禁止した。
人々は噂したエルフの王バルドが禁忌の箱を開いたのだと……バルドの所有する“禁忌の箱”と呼ばれるロストアーツの存在は人間の間でも噂になっていたからだ。本当の真実を知るものは僅かであった。
そして、パンプキンもまた、数少ない真実を知る一人だったのだ。アグラクト兵からの追撃が激しさを増す最中、パンプキンは溜め息をついた。
そして、あることを口にした。
「仕方ありません、余り気乗りしませんが、禁忌の森“エレ”に向かいます!」
その言葉にミーナとソウマは耳を疑った。しかし、パンプキンは直ぐに馬車を禁忌の森に向け走らせたのであった。
パンプキンと禁忌の森のラシャを繋ぐモノとは?そして、力を解放したコウヤは、いつ目覚めるのか?次回もよけれ読みに来てくださいね。
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