物流都市にて2
今回は、少し最後に辛味が残るかも知れません。
パンプキンに連れられ3人はテーブル席に腰掛けていた。残念ながらワットは入れないので外の馬小屋に繋がれた。
ワットには店の人に頼んで、先にご飯を運んで貰った。今日の朝早くから砂漠を走り、一番頑張ったのはワットだから当然だ。
そして直ぐに3人の頼んだ料理がテーブルに運ばれてくる。
・サボッテンステーキ。
・ラクーダのハンバーガー。
・スッパインジュース。
・ヤルキ梨パイ。
どれも凄く独特な料理だが味は抜群であった。特にコウヤを驚かせたのはサボッテンのステーキであった。
食感は、フワフワのパンのように柔らかく、中からジュワーとしたサボッテンに染み込んだソースが口に広がる。その味はまるで牛肉のようだった。
サボッテンのステーキを作る際には、予め水分を抜き干したサボッテンを煮込んだ牛肉と一緒に一晩寝かせる必要がある。そして、次の日にはスープを吸い込んで元通りの大きさになる。 其れを焼いてソースを上から再度かけるとサボッテンのステーキが完成する。かなり手間の掛かる料理だが一度食べたら普通のステーキは食べれない程、病み付きになる逸品だ。
普段なら昼過ぎには完売している筈だと店の人が言っていたが、店の中は3人の他に2人しかお客の姿は無かった。その為お昼が過ぎたにも関わらずサボッテンステーキを食べる事が出来たのだ。
食事を終え先に外へと出されたコウヤとミーナ。パンプキンが会計を済ませようとすると、店の人が慌てて後ろに走っていった。
そして店の主人であろ男が厨房から慌てて出てき帽子を取りパンプキンに深々と頭を下げた。何事も無かったかの様にパンプキンは店から出てきた。
「ちょっと? なにしたのよ、店の人が凄く慌ててたじゃない」
「うんうん、僕も見てたけど? 凄く慌ててたね、何したの」
「迷惑料を少し渡したんですよ。何せ竜馬がいたら普通の馬は入れませんし? 其れにお昼にお店を暇にしてしまいましたからね。ヨホホホホ」
ワットの事は理解出来たが、もう1つの暇にしたと言う意味が分からなかった。パンプキンが分かりやすく説明してくれた。
お昼前に食料地区に大漁の魚が出回れば商人達は其れを手に入れようと我先に買いしめるか、もしくは物々交換に力を入れる。況してや水槽に入っている以上鮮度は上々であり。砂漠の商人がこんなチャンスを逃すことなど有り得ないからだ。
そして結果はさっきの通り、此処等一帯のレストランには殆んど人が居ない。パンプキンはその迷惑料を支払ったのだ。
「他の店にも払うの?」
「いえいえ、勘違いしないでくださいね。あのお店は15時までなんですよ。そう看板に書いてありました」理由を聞いて笑ってしまった。
「あはは、なんか変だよ。パンプキン変に気にしすぎだよ」
「確かに少し気にしすぎね。でも、パンプキンらしいわね。あはは」
そんなこんなで楽しいお昼が過ぎていった。
今、三人は雑貨地区に足を運んでいた。実はパンプキンはダンジルに来るのは初めてでは無い。
二人も門兵の態度から薄々気がついてはいた。昼食をとった店も含めれば全て計算されていたのではないかと思う程だ。
パンプキンが見に来たのは雑貨地区にあるジャンク品や骨董品が並ぶ一角であった。極稀にロストアーツが紛れ込んでいることが在るそうなのだ。
ロストアーツは一般人では見分けがつかないことが多い。だが、紛れ込んでいたなら簡単に見つける方法がある。
「ロストアーツは、ロストアーツに反応するんですよ。いやあ、昔の人はすごいですよね! ヨホホホホ」
そう言うとパンプキンは、鈴を取り出したのだ。
「此れは、“熊避けの鈴”なんですよ。この音色が熊を嫌がらせて近づけないんです。ロストアーツの中では、ハズレなんですがね」
パンプキンが鈴を鳴らした。何処からか鈴の音が反響してきたのだ。
「おおーー! なんと、ロストアーツがある」
パンプキンは再度鈴を鳴らすと2ヶ所から音が反響した。1ヵ所はジャンクの山の中から、そしてもう1ヵ所はコウヤのリュックの中からだった。
「なんとコウヤさん? 少し荷物を宜しいですか?」
「え、構わないよ?」
パンプキンは直ぐに其れを見つけだした。其れはデーニの村でクラッカから貰った。あの瑠璃色の石だった。
「なんと、コウヤさん此れは、大切にしてください。いつか貴方の力に為るやも知れません」
「これって何なの?」
「今は秘密にしておきましょう。コウヤさんがもし、石の言葉を聞くことがあればその時に分かることですからね」
そして3人はもう1つのロストアーツを発見した。ジャンクの山を二つ崩してやっと見つけたのは、宝石の取れた指輪だった。宝石だけ取りリングを捨てたものがジャンクとしてダンジルに流れ着いたのだろうとパンプキンは言った。
その指輪を購入したパンプキンは早速、其れを試しに使ってみる。そうするとパンプキンの姿がまるで人間の様になったのだ。
その指輪は姿を変える指輪だった。
正式には変えて見せる指輪だ。本人を光の幕で覆い光を屈折させて恰かも別人に見せると言う能力だった。
「此れは使えますね。ですが私には必要ないですね? ヨホホホホ」
そう言うとパンプキンはコウヤに指輪を手渡した。
「いつか必要に為るやも知れません。其れに指輪を着けていれば包帯を認識されなくて済みますからね? 好きな顔にできますよ」
冗談混じりでそう言った。そしてコウヤとミーナに鈴も手渡した。
「私にまでくれるの?」
「その鈴は半径一キロのロストアーツに反応します。そして近ければ近い程音がくっきり聞こえます」
パンプキンから貰った指輪をつけコウヤはその能力試してみる。そして初めて包帯を巻かない姿になれたのだ。
「バッチリね。コウヤ」
「包帯姿もよかったですが、やはり無くても凛々しいですね」
体外魔力と指輪の力でコウヤは普通の外見を手に入れたのだ。其れは同時に母さんに喜んで貰えるとコウヤは思い幸せな気持ちでいっぱいだった。
そしてコウヤは包帯を取ろうと手を包帯にかけるのだった。
コウヤの目の前には、何が広がるのか、楽しかったはずのダンジルの昼下がり、
次回、コウヤの頬に流れる物とは……
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