カボチャで魔界な晩御飯
全ての誤解は解けた。少しミーナとパンプキンの間に距離を感じるが嫌な距離感ではない。
あの騒動の後、パンプキンは二人の為に食料を調達してくれた。キノコや山菜を探してくれただけで、すごく助かっていた。そしてパンプキンは晩御飯の仕度までしてくれている。
普段ならコウヤが料理までやるのだが、新しく背中に描かれた紋字のせいで身動きが取れなかった。
決定的だったのは、体外魔力が落ち着かず上手く物が見えてい事であった。
ミーナも背中の痣は綺麗になくなったが、その為に強制再生された事から全身が筋肉痛状態になっていた。
此れは奴隷が新しい主人から逃げないように考えられた物であり。初めから術式に組み込まれた魔法だ。簡単に言うならば副作用である。
それを知ったパンプキンは直ぐに行動を開始してくれた。そして今に至る。
「さあ! 皆さん召し上がれ」
パンプキンは米を炊き。それは艶やかで仄かな薫りが甘く鼻から抜ける瞬間には、口の中にまた程よい薫りを残した。付け合わせに簡単なキノコと山菜の炒め物と味噌汁を作ったのだ。
それはコウヤが今まで嗅いだことの無い独特の薫りであり、食欲は激しく掻き立てられた。
「どうですか。よい香りでしょ? 此れは一年味噌を使った味噌汁なんですよ」
「ミソ……何んなのそれ? それがスープの名前なの」
ハンプキンは笑いながら首を横に振った。
「コウヤは何も知らないのね? 味噌は大豆から作られる調味料よ! 魔界では一般的なのよ。獣人の中にもファンが多くてワザワザ魔界に仕入れに行くんだから」
「でも、魔界って、確か立ち入り禁止区域だよね?」
「人間達からしたら確かに立ち入り禁止区域ね?」
ミーナの返しに頭の中が若干混乱したが直ぐにその謎は解決した。
あくまでも、立ち入り禁止区域は人間と相手種族で交わした契約による物であり。獣人と魔族にとって、関係無いのだと言う事実を聞かされた。
コウヤの知る世界の常識……学校で習った歴史……獣人と魔族は今も争っていると聞かされた事さえ偽りだった事実に驚愕した。
コウヤは少しだけ……世界の常識に疑問を覚えた瞬間であった。そんな顔は多分、寂しそうな悲しそうな物だったのだろう。
ミーナとパンプキンが心配して声を掛けてくれた。
「そ、その、言わなかったのはゴメンね、いつかは分かる事だったから」
「ミーナさんが悪いわけではありません。人間の社会において、知られたくない事が世界には溢れすぎているのです」
パンプキンが味噌汁をコウヤに薦めた。
「悩んだり困った時に飲むと心が癒されると魔界では言われております。さあ、暖かいうちに召し上がって下さい、美味しいですよ。」
パンプキンに薦められコウヤは一口味噌汁を啜った。今まで飲んできたスープのどれよりも味が確りとしていて、口の中に独特の薫りと風味が一気に包み込む。コウヤはその味に感動した。
「はぁ、なんかホッとする」
その言葉にパンプキンは嬉しそうに鼻唄を歌っていた。
「コウヤ、なんかジジくさいよ?」
「そうかな?」
ミーナの一言にやっと3人の食卓に笑いが溢れた。パンプキンの言う通り心まで、癒された瞬間であった。
寝る前に三人で次の目的地について話した。
パンプキンの目的は麦を買う事にあるが、デーニ村が駄目だった以上、草原の町ダンジルに向かう他なかった。
コウヤとミーナの目指すカルトネ村は、アグラクトの王都を1度抜けねば成らない。その為カルトネに魔族のパンプキンを入れるのは危険だと言う結論になったからである。どちらにしても3人は『ドグラ砂漠』を目指す事になる。
ドグラ砂漠を真っ直ぐ突っ切れば『王国アグラクト』砂漠のオアシスに向かって進めばその先に『草原の町ダンジル』のある丘に出る。
3人は先ず砂漠のオアシスを目指してからダンジルに向かう事になった。初めての砂漠に少しワクワクしているコウヤ。
その日の晩はぐっすりと寝られた。パンプキンの出した布団はフカフカでとても気持ちよかったのだ。コウヤ達の長い1日が終わりをつげた。
砂漠を知らないコウヤは後悔をする事になる……そしてミーナに新たなピンチが襲いかかる!
次回!本当に砂漠に突入します。
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