カボチャで魔界な昼御飯2
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ミーナはパンプキンに何も感じないのだろうか当たり前のように用意されたちゃぶ台とその為に用意された二枚の畳。洞窟の中に異世界を造り上げたパンプキンのその存在、全てを無視しての食事を続けている。
無言のまま進む食卓。その沈黙を打ち破ったのはミーナだった。パンプキンにある事を訪ねたのだ。
「ねぇカボチャ? 魔界限定の特産品の『醤油』とかないの?」
「失礼ですが私はカボチャじゃなくて! パンプキンですよ。残念ながらあれは簡単に作れないのです。今は魔界でも欠品していて、私も難儀してるんですよ。ヨホホ」
「夢の中なのに何で叶わないのかしら……悲しい、泣きたい気分だわ」
ーー醤油って、なに‼何で普通に魔族と獣人が会話してるの‼
悩んでみたが知らないものをいくら考えても分かる筈がなかった。
「ミーナ、あのさ? 醤油って何」
「醤油は? ええっとね、真っ黒い液体でね、少し使うだけで物の味を塗り替える調味料よ」
其れを聞いて固まった。いや固まったと言うより、想像が出来なかった。
「へー、そんな調味料があるんだね、ははは」
ーーわからない!黒くて全ての味を塗り替える調味料って、それって食材の味とか関係ないじゃないか!
そんな時、パンプキンが助け船を出した。
「醤油とは、大豆と言う豆と麦から造る、調味料の事なんですよ」
パンプキンは、醤油造りの大変さを解りやすく教えてくれたのだ。
醤油を作る際、必要となる麦が不作で、醤油の生産が出来なくなり、魔界でも問題になったそうだ。
その為パンプキンは麦を仕入れようと気候のいい人間界に買い出しに来たのだと言う話をしてくれた。
だが、頼りのデーニは数年前に無くなり、タライムに来たが相手に去れず門前払いをされたらしい。
魔界と人間界の契約により、魔界の者は人間に手出し出来ない。あくまでも魔界の者だけだ。
人間は負け惜しみに互いが交わす契約の書に『此方からは何もしない。魔界の者は手を出せない。』と書いたのだ。
当時の魔王も魔界の民も人間に飽き飽きしていた。その為、それに構わず契約を交わしたのだ。
その結果、魔界の者は人間に手を出せなくなった。手を出せば、その攻撃は自身にも跳ね返ってくるからだ。
「それって……」
「そうです、魔族は……いえ、魔界の民も含めて魔界で生まれた全ての者はこの契約の呪縛を受けます」
パンプキンが語った話は悲しい物だった。人間に手を出せないからこそ、魔族をあえて襲う人間の存在や、見世物にするために捕まえると言う事が未だに世界では起きているのだ。
魔界を離れ幸せに暮らしていた家族がいた。
父親が魔族であり、人間の母親と二人の間に生まれた子供達。
畑を耕し、狩りをして、魚を釣る。当たり前のように平凡に暮らしていた。
その日も何時も通りに畑を耕す父と息子、朝食の仕度をする母と二人の娘達。
そんな家の方から悲鳴が聞こえた。父親が急ぎ家に駆け付けると数人の男達が娘達を押さえ付け、母親は無惨にも血を流し床に倒れていた。
父親が激怒し姿を魔族へと戻そうとした瞬間だった。
後ろから息子が鍬を手に男達に襲いかかったのだ!その一撃は、一人の男の心臓目掛けて突き刺さった。男が絶命した瞬間に息子のシャツが赤く染まったのだ。
子供達は皆、魔界で生まれ其れから人間界に移住していたのだ。
その光景に、二人の姉達は涙した。
そして、父親は凄まじい悲鳴にも似た悲しい雄叫びを上げた。
父親は自身の身体が砕ける寸前まで男達を殺した。自身にも跳ね返る事を忘れ、魔族の回復力が追い付かなくなるまで戦ったのだ。
男達が残り3人になったその時、父親の体が砕け始めた。回復力の限界に達したのだ。
既に血を流しつくし、虚ろな眼で床に横たわる妻と血を流し絶命した息子。そして、此方を見て叫ぶ二人の娘達。
砕ける一瞬、父親が最後に一人の男に魔法を発動した。その一撃は男の頭を撃ち抜いた。
そして笑いながら父親の頭は砂となり砕け散った。
姉は妹を護るために、隙をついて男の脇腹をナイフで突き刺した。その瞬間に自身の脇腹に激痛が走り、その場でしゃがみこんだ。
妹を逃がそうと必死にナイフを手に男達を牽制する姉は直ぐに男に取り押さえられたのだ。
姉はナイフを男の首に突き立てた。そして激痛の中もう一人の男の足目掛けてナイフを突き刺した絶命した。
妹は泣いた、泣くしか出来なかった。
そして雄叫びを聞いた他の魔族達が駆け付けた時、少女と人間の二人しか生きている者はいなかった。魔族の者は少女が経験した惨劇を聞き心を痛めた。
人間の男は直ぐに魔族に捕まり縛り上げられたが、少女が男の前に立ち、心臓目掛けてナイフを何度も突き立てたのだ。
「お前達さえ来なければ!皆の仇だァァァァ」
男は直ぐに息をしなくなった。そして、激痛だった筈の少女は満面の笑みを浮かべながら死んでいった。
パンプキンの話は悲しかった。
「それでも、魔族はその時、人間に報復はしませんでした」
「なんでさ、酷いじゃないか!」
「時が満ちるまで皆、涙を力に変えているのです」
その話を聞いてミーナが静かに泣いていた。
「これはすみません、泣かしてしまいましたね。ぬ! これは?」
パンプキンはミーナを見るなり首を傾げた。
「失礼ですがお嬢さん、服を脱いでくださいますか、急がねば命に関わります!」
パンプキンは急ぎポケットから布団とミーナが使った物と同じ紙を取り出したのだ。
パンプキンが語った悲しい出来事、魔界と人間の埋められない溝。
そして、パンプキンが見つけたミーナを蝕む原因とは!
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