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亜人と歩む ~瑠璃色王のレクイエム~  作者: 夏カボチャ 悠元
第3章 外の世界 カボチャな魔族パンプキン
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カボチャで魔界な昼御飯

『ボクセカ』を宜しくお願いします!

 パンプキンはニヤニヤした顔を浮かべながら洞窟の中にゆっくりと歩みを進める。


「いやはや、しかしデーニは数年前でしたか? 立ち入り禁止区域の中の立ち入り禁止区域にってややこしいですね。ヨホホホ」


「僕をどうする気だ!」


 パンプキンは不思議そうな顔で此方を見て、何か悩んでいるようにも感じられた。


「なにもしませんよ。むしろ勘違いですかね」


 そう言うとパンプキンは、ずぶ濡れのマントを外して焚き火を始めた。


「そりゃあ、いきなり魔族でカボチャが来たら驚きますよねぇ。申し訳ないです」


 明らかに敵意の無い物言いにコウヤは、呆気に取られた。更に言えば、いきなり見ず知らずの魔族とは言え、敵扱いをしてしまった。


「えっと、すみませんでした」


「いやいや。お気になさらずに、よく在ることですから。魔族は嫌われ者ですからね」少し寂しそうな物言いでパンプキンは笑った。


「それに、追ってきたと言われても仕方ありませんから。此処等に幾つかある洞窟の中で、あえて此処を選んだのですから」


「理由は?」


「あ、勘違いしないで下さいね。私は紳士的なカボチャですので。追い剥ぎや盗賊まがいな事は致しません」


「わかったから、理由を教えてよ」そう言うとパンプキンはコウヤの鍋を指差したの。


「はい。実は料理の匂いに釣られました。お恥ずかしい話ですが、私ご飯がまだでして、タライムに入ることすら出来なかったのでヨホホホ」パンプキンは、そう言うとポケットから金貨を取り出したのだ。


※金貨1枚5000ロンド。小金貨1枚2000ロンド。


「持ち合わせが金貨しか在りませんが、私も御馳走して貰えないですか?」


 その金貨をパンプキンに返すコウヤ。勿論、料理を渡さないためではない。


 魚も何匹か捕れていてスープも沢山ある。ワットの分を差し引いても一人分は余裕で賄えたからだ。


 金貨を返した時のパンプキンの悲しそうな顔は、まるで昔のコウヤ自身を見るような気持ちにされた。村を引っ越す度に外見から周囲には、『化物』『お化け』と言われ仲間外れにされた記憶が少し甦った。


「勘違いしないで、スープは余裕があるから。お金は要らない。でも味付けは保証しないよ」


 その言葉にパンプキンは嬉しそうに鼻唄を歌いだした。そして、ポケットからティーポットとケトルを取り出したのだ。


「どうやって出したの? それにヤカンにティーポット何て何処に入ってたのさ」


 パンプキンはズボンのポケットを見せてくれた。

そのポケットには、底がなくただ広い空間のようにさえ見えた。コウヤはそのポケットから何でも出てくる事に驚愕した。


「ヨホホホ。ポケットの秘密は特別にお見せしました!」


 パンプキンのズボンは魔界でも珍しい『ロストアーツ』だった。


※ロストアーツ


 喪われた古代文明の遺産。生活用品から、兵器、雑貨、色々な種類の物が存在する。今の世界の技術では、再現不可能な物が殆んどであり。

 数多くの学者達がその仕組みや原理、素材などを研究しているが未だ、その一部分しか解明されていない。


 学者達は古代文明の遺産を見る限り、魔法が存在しない文明。もしくは、魔法を使わなくても困らない程発達した文明だったのではないかと推測している。


「あ、スープも暖めないと!完全に冷めちゃってるよ」


「あー!」


コウヤが鍋の蓋を開けると獣人から貰った小さな種が大きくプニプニに成っていたのだ。


「な、何この……白いプニプニ」


 匂いはほのかに甘めで、指で潰すと柔らかくベタベタしている。


「食べれるのかな? 食べれるはずだけど、最初の硬い種とは違うしな?」


 悩むコウヤに対して二人が口を開いた。

「食べれますよ! 美味しいですよ!」     「食べれるわよ……其れは凄く貴重な種なの」


 パンプキンとミーナがそう言った。


 ミーナは移動中に疲れたのか、パンプキンが洞窟に来た辺りから、少し眠っていた。


「おやおや、お嬢さん初めまして。私はパンプキン。見ての通りのカボチャです」


「私はミーナ、獣人よ。何で魔族がコウヤと仲良くご飯作りしてるの? まだ夢の中なの」


 完全に寝惚けているミーナに毛布を掛け、もう少し寝て貰った。


「まあ、食べれるのはわかったから。取り合えず魚焼くね」


 ミーナが起きるまでに全ての仕度を整える。


 パンプキンは、ポケットから『畳』『ちゃぶ台』を取り出した。


 コウヤは始めてみる畳に目が点になった。そして明らかに小さいテーブル。其れを2枚の畳の上に乗せたパンプキン。その完成度の高さに驚かされた。洞窟の中の筈なのに見たこともない不思議な空間があっという間に出来上がっていく。今まで嗅いだことの無い畳みの薫りは何故か懐かしさを醸し出していた。


「この雰囲気! 魔界を思い出します」


「魔界って、こんな雰囲気なの!」


 パンプキンの話では、過去に魔王を倒しに来た島人と魔王が意気投合したそうだ。

島人の為に住み良い魔界を作ろうとした結果、魔界が島人の故郷のように変わっていった。島人達は今も魔界で生活している。パンプキンが『米』を知っていたのもその為であった。

 島人と流れてきた荷物の中に米の苗が合ったことから、農業が始まったのだと聞かされ、コウヤは魔界が本当に恐ろしい土地なのか分からなくなった。


 少なくとも、魔界には人は立ち入らないように学校で教わる。勇者が魔王を退治して魔界を封印したからだと、立ち入り禁止区域の授業でそう習った。


「あぁ? 勇者ですね。確かに何回か来てますね。その度に返り討ちにしてましたが魔王様が飽きたからと降参しましてね。代わりに島人以外の人間の立ち入りを禁止したんですよ。はい」


 現実は意外にも呆気なかった。魔王は平和を願い争いに終止符を討ったのにも関わらず人間は其れを勝利とした。そして今も語り継いでいたのだ。


 話が一通り終わり。ミーナを起こして3人で畳みの上でご飯を食べる。パンプキンは箸を使い器用にご飯を食べていた。コウヤとミーナはスプーンでご飯を食べる。不思議すぎる朝昼兼用のご飯である。

パンプキンの語る真実に驚きの嵐のコウヤ、そして未だに体調の戻らないミーナ、

そんなミーナをじっと見つめるパンプキン!


次回の『ボクセカ』は少し悲しいかも?


読んでいただきありがとうございます。

感想や御指摘、誤字などありましたらお教えいただければ幸いです。

ブックマークなども宜しければお願い致します。

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