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世界を壊した魔王……

「コウヤ! 私達、八人からの要求よ。今まで色々頑張ってきたんだから、少し休暇を取りなさい!」


 ミーナからコウヤに渡された紙には【王の休暇】と八人の名前が書かれており、シアン達は其れを聞き、静かに頷いた。


「そうだぁね。コウヤは立派すぎるかぁら、今更だけど? 少しは子供らしくないとねぇ。どうだぁねぇ? 私とランタンに“(まつりごと)”を任せて貰えないかぁな? そうすれば、夫と妻達でのんびり過ごせると思うんだぁが?」


 皆に背中を押されるようになし崩しに休暇が決まる。


 その日、皆がコウヤとの再会を祝い、酒を飲み歌い踊る。


 少し離れた位置に腰掛けるソウマ、その横で微笑むミカの姿があり、その膝にはスヤスヤと眠るアイリの姿もあった。


「本当にコウヤは凄いな。本当に王様になっちまったんだな。自慢の息子だな、ミカさん」


「ええ、私の息子だからね。ふふ、今は貴方の子供でもあるのよ、ソウマさん。本当にあの子は頑張ってきたんだから……」


 そんなミカとソウマの元に姿を現した二人の人物。


「やあ、実にいい夜だねぇ」と言いながら葉巻をくわえた男の獣人とその横に両手を組み、首を左右に振る女の獣人。


「まったく、ベルモ、口に気を付けな。王様の親御様だよ。失礼致しました。私達は“ミーナ”の両親で、私がソルティー、この失礼なのが、夫のベルモです」


 礼儀正しく挨拶をするソルティー、それに合わせて頭を下げるベルモ。


 ソウマとミカが頭を下げると互いに生きて自身の子と再会した喜びを語る両者。


 本来ならば、あり得ない状況でありながら、互いに目の当たりにしている現実に笑みを浮かべ、ベルモが持ってきた酒の小瓶を手に乾杯をする四人。


 月夜に吹き抜ける優しい風と月明かりに照らされた中庭に、話題が途切れる事はなかった。


 皆が酒に酔いながら、生きている実感と喜びを感じながら夜が終わる。


 二日酔いに苦しむ者も少なくない中、コウヤは自室で荷物をまとめる。


「こんな物かな? 後はシアン様とパンプキン達に挨拶を済ませて終わりかな。はぁ、またミカソウマを留守にするのは気が引けるなぁ」


 大きめの鞄を1つ手に持ち、そう呟くと自室を後にする。


 部屋を出ると直ぐにシアンとランタンの元に出向き挨拶を済ませるコウヤ。


「本当に行くのかぁね? 幾らなんでも、急すぎて驚くんだぁよ」


「まさか、一晩で決めるとは驚きました。コウヤさんらしいと言うか何と言うか、実に行動が早いと言いますか」


 シアンとランタンはそう言いながらもコウヤに優しく微笑みを浮かべる。


「ありがとうございます。シアン様、パンプキン。不在の間、ミカソウマを頼みます」


 コウヤは頭を下げるとシアンとランタンの元を後にする。


 エントランスを抜け、階段をゆっくりと降りた先でコウヤを待つマトン。


「行くのですね」


「マトンさん、今日くらいは普通に喋ってくださいよ。寂しいじゃないですか」


「そうか、ならば有り難くそうさせて貰う、コウヤ。本当にシアン様達の未来を変えてくれて感謝する。気を付けて行ってこい」


「行ってきますマトンさん」


 マトンがコウヤに笑みを浮かべると普段の厳しい顔に戻り、見送り様に再度頭を下げる。


 メイド達が外で見送りの用意をする中、巨大な連結型の馬車が用意されており、前方と後方の2台が繋がれた先に竜馬とギルホーンが合わせて8頭繋がれている。その筆頭にワットとクロバの姿があり、コウヤの姿に嬉しそうに声をあげる。


「来たわね。さあ、行きましょう」


「相変わらず、せっかちじゃな? ミーナ」


 ミーナとラシャが馬車の前でコウヤを出迎える、後方の馬車からはコウヤに手を振るシャーデの姿があり、馬車の中からベルミとキュエルが頭を下げる。


 後方の馬車にもたれ掛かるカカがコウヤに近づき状況を説明する。


「御早うコウヤ、くじ引きで後方は、私とシャーデ、ベルミとキュエルが乗ることになったわ」


 ミーナは、くじ引きで初日の馬車を操る事に決まり、ラシャ、キャスカ、ディアロッテがコウヤと共に前方の馬車に同乗する。


 皆を一旦集めるコウヤ。


「皆、遅れてごめん。今からシアン大陸を馬車で横断するよ」


 コウヤの休暇はミーナ達の意見により、シアン大陸を馬車で旅する旅行に決まったのであった。


「さぁ、行こう」とコウヤが声を出すと、ミーナの操る馬車に乗り込み、ミカソウマを後にするコウヤ達一行。


 世界を変えた紅眼の王、コウヤ=トーラス。彼は後に【世界を壊した優しき魔王】と呼ばれ、世界にその名を轟かせる事となる。


 コウヤの存在は世界を旅する冒険者達を多く生み、魔界に足を運ぶ者も増え始めた頃、ミカソウマへと、帰還したコウヤを訪ねて、二人の冒険者が姿を現す。


 コウヤを訪ねた二人の冒険者とはロナとガストンであった。


 ロナ=アーマイルとガストン=ベラムは【優しき魔王】の存在を世界が忘れぬように語りながら旅をする事をコウヤに伝える。


「コウヤ、アンタには、負けたわ。私はガストンと生きることにしたわ。幸せだけは負けないからね」


 少し維持悪く微笑むロナ。


 壊れた世界を壊した魔王は新たな伝説となり、多くの国は争う事を止める細やかな平和が多くの国を包み込んだのだ。


 争いは魔王を呼び込む糧となる、魔王の訪れは国の存在を消し去るだろう……魔王コウヤに仇なすなかれ。


 希望と言う未来を切り開く者がいる限り未来は無限であり、瑠璃色の虹のように輝きを放つのだから……


 

 

 


 ーーENDーー

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