掴むべき未來2
光の先に吸い込まれるコウヤ達、次に眼を開くと時空間の外に繋がる出口が姿を現す。
出口の外から微かに流れ来る風に運ばれ香る土と草木の香り、皆の足取りも心なしか軽くなる。
時空間の外に踏み出したコウヤはその眼を疑った。
街はコウヤが今まで見てきた全ての物より光輝き、街中には光が動き回り交差する、遠くからでもわかる程、人々が賑わう世界がそこには広がっていた。
「あれが街なんだよね……なんて巨大で明るいんだ……」
目に光輝く街の景色は光の都が暗闇の中に突然現れたような衝撃をコウヤに与えた。
皆も夜を照らし出す光の都を前に其が街である事実を信じられず動揺した様子を隠せずにいた。
そんな最中、ゼロはコウヤ達を街から離れたら廃墟へと案内する。
「此処なら誰も来ませんので安心してください」
そう語るゼロは廃墟の壁を調べると一角から大量の缶詰を取り出し、コウヤ達に差し出した。
「自分の中に存在する景色と記憶を辿ってみました。賞味期限も大丈夫ですので食べて見てください。“ワニ”と言う生き物の缶詰です。味は鶏肉に似て美味しいんですよ」
ゼロの行動と言葉にコウヤは質問を問い掛ける。
「ゼロ、記憶って言ったね? それは誰の記憶かまで分かるって事なのかな?」
「はい、コウヤ王。この記憶は僕の生みの親であるレナンド=ブラウン博士の物です。レナンド博士はチェルバランの暴走を予想していたのです……僕の最初に与えられた記憶であり、チェルバランにすら変えられないブラックボックスのような存在です」
レナンド=ブラウンはチェルバランに協力をする中でその恐ろしく狂った狂気を危険視していた。
いつか 、世界がその狂気に蝕まれ崩れた時の為にゼロに自身の遺伝子を与え、チェルバランに従うも、チェルバランが永遠に存在出来ないように裏で知恵を巡らせていたのである。
しかし、チェルバランは時間すらも自身の力とするロストアーツを作り上げる知識を手にしてしまったのだ。
ゼロは単なる管理者となり、チェルバランは自身の再生の際にのみ、ゼロの元を訪れるようになっていた。
チェルバランの記憶からゼロは未来の世界を自身の記憶に刻むようになり、その事がチェルバランにさとられ逆鱗に触れる結果となり、ザハールとザリアの存在を知らぬまま、未来のチェルバランが送り込んだ部下により、命を一旦絶たれる事となったのであった。
ザハールとザリアの記憶をレナンド=ブラウンの記憶に重ねられたゼロはその瞬間からチェルバランの抹消を願い生きてきたのであった。
「僕のチェルバランへの怒りは皆の記憶から生まれた言わば、偽りの感情なのかも知れません……ですが、チェルバランを消し去りたいという思いに嘘はありません」
再度、そう語るゼロに皆が頷き、チェルバラン抹殺の計画は確実に動き出していく。
コウヤ達の辿り着いた日時を確認する為、ゼロ、カカ、そして、ロストアーツの指輪で姿を変えたコウヤが街に向かう事となる。
一時間程の調査を終え、戻ったゼロ達はハロウィンの前日に辿り着いていた事実を皆に知らせる。
「これは寧ろ好機だと考えます。僕達は今から目的地であるチェルバランのいる施設の側までに移動します。明日の正午から夜迄の間に勝負をきめましょう」
迷いの無い真剣な表情でそう語るゼロ。
コウヤ達は、深夜を待ち、夜の静まり返る街中を高速で移動する。
暗闇を駆け抜けるコウヤ達の姿を目の当たりにし、腰を抜かす酔っ払い、その姿はハロウィンを前に悪夢から飛び出した怪物にみえたことだろう。
コウヤ達は目的地である廃屋に辿り着くと、朝になるまで見張りを交代しながら、眠りにつくのであった。




