瑠璃色の希望4
コウヤ復活から慌ただしく数日が過ぎ去ろうとしていたある朝、武装を整えるミカソウマの軍勢の姿があった。
先頭にはコウヤの側近となる者達が自身の得物を確りと握り、コウヤを中心に陣を構えている。
ミカソウマの新たな戦い、ゼロの知る限りの過去の変更にあった。
コウヤの側に新たに加わった存在、ゼロは今回の進軍となるミカソウマの動きに反対の意見を強く口にする。
「コウヤ王! どうか、どうかお考えを改めてください!」
死を覚悟した懇願の叫びを口にするゼロ。
しかし、ゼロを誰も責めることはしなかった、ミカソウマの誰もが此度の進軍において不安を感じていたからに他ならない。
戦えば百戦錬磨のミカソウマであったが、此度の進軍先は更に過去となる人間の栄えた時代であり、目的は幼少期のチェルバランの抹殺であった。
本来ならば、全てはチェルバラン打倒にて、終わりを告げる筈であった、しかし、コウヤはチェルバランの存在がもたらす絶望を知りながらに放置する事が出来なかったのだ。
「ゼロ、そして皆、僕は僕にしか出来ない戦いをしようと思うんだ。今の世界で集めた体外魔力を全て使い、チェルバランの生まれた時代まで飛ぶつもりだ」
コウヤの言葉に頷くランタン達、しかし、その後方では、不安を危惧するも声に出せずにいる者も少なくはなかった。
そんな彼等を気遣うようにコウヤは優しく笑みを浮かべると凛とした空気を貫くような声で堂々と自身の考えを口にする。
「無理について来て欲しいとは言わない! 今あるロストアーツを使えば元の時代にも帰れるんだ。此処から先は本当にどう運命が変化するかわからない……自分の意思で選んで欲しい」
言葉でそう語るコウヤは大半の者がミカソウマへの帰還を望むであろうと考えていた。
誰もが故郷と呼ぶべき場所となったミカソウマへの帰還を望まない訳がない、しかし、誰一人として頷く者はいなかった。
「コウヤ様、今更水くさ過ぎますよ!」と兵士の一人が声をあげると皆が同意する。
ランタンはコウヤに微笑みかけると静かに呟く。
「誰もがコウヤさんのいない世界を望んではいません。皆の気持ちをお受けとめください」
静かに頷くコウヤ、皆がそれに対し頷くとコウヤは深く息を吸い込み声を発する。
「全員に告げる! 今よりミカソウマ現戦力の全てをもってチェルバランの存在する時代を全て凪ぎ払い! 悲しみと絶望を消し去り、新たな世界を創り出す。今より死ぬことを禁じる! 全てが終わったら皆でミカソウマに戻るいいね!」
「「「オオォォーーォォオオゥゥゥ」」」
本来ならば、同じ目的を持つ事は無かったであろう、敵対する筈だった数多の種族が同時に声をあげる。
コウヤが我等の王であると言わんばかりに手を天に掲げるその姿にその場にいた全ての者達が再度、思いは1つであると確認する。
そして、ゼロはコウヤにある提案を口にする。
「もし、このメンバーで出向くならば、ハロウィンと言う祭りの夜がいいでしょう。人が獣やモンスターに変装し街を歩く祭りです。獣人や魔族の皆さんを含む多くの亜人の皆様が歩いていても直ぐには騒ぎに成らないでしょうから」
ゼロから情報を聞き、コウヤ達はハロウィンの夜へと進軍を決める。
チェルバランにとって、最悪のハロウィンが幕を開けることとなる。




