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真実と現実2

 不思議と吸い寄せられるような声、ザリアはザハールを背負ったまま、洞窟 の奥へとついていく。


 洞窟の奥には、岩と岩が何重にも重なった壁があり、男は壁の横を軽く叩き、小さなスイッチの隠された扉を開く。


 徐にボタンを押す男。


 微かな歯車が回転する“カタカタ”と言う音が洞窟に反響する、岩で作られた壁が動き、通が次第に出来上がる。

 岩と岩とが綺麗に収まると真っ直ぐに伸びる通路にザリアは息を飲んだ。


「な、魔法なのか? こんな巨大な通路を一瞬で」


 驚き声をあげるザリアに対して、男は微かに微笑むと「科学だよ」と一言。


「お嬢さん、その人を救いたいのか?」


 ザリアの背中で眠るように死んでいるザハールを指差し男はそう問い掛けた。


 静かに頷くザリア。


「私の父です……私は取り返しのつかないことをしてしまった……だが、ある最低の男が言ったんだ……「アトランティスの前には死すら、恐れるに足らぬ」って、馬鹿みたいだけど……私は」


「言わなくていい。本気でそう願うならついてきなさい。叶うかはわからないが、()が帰る前に力を貸そう」


 そう口にすると男はただ、ゆっくりと奥に進んでいく。


 無言で後を着いていくザリア。


 男の言う【奴】とはチェルバランを差している事は明白であった。


 不思議な感覚に苛まれるザリアはただ、質問を頭に巡らせるも何を聞けばいいか分からずにいた。


 次第に階段が見えてくる、螺旋状に下に続く階段を気を付けながら降りていく。

 途中で立ち止まると背中に背負われたザハールを紐で自身に結びつけるザリア。


「父さん……私は諦めない」と呟く姿に男は優しく微笑むと再度、階段を降りていく。


 次第に階段の終わりが見えると下が明るくなり、光に照らされた道の先に姿を現す巨大な通路。


「……何この巨大な道?」


 驚きを露にするザリアに男は鉄の箱を指差し「あれで移動する」と伝えると扉を開きザリアとザハールを後部座席に乗せる。


 鉄の箱だとザリアが感じたそれは、移動用のリニアカーであった。


 光のように過ぎ去る外の景色に呆気にとられるザリア、そんな最中、鉄の箱はゆっくりと減速し停止する。


「此処が君の探していたアトランティスだ……もっとも海底から離れ、動けなくなっているがな、アトランティスとは皮肉な名だと思えてならない……」


 意味がわからず、困惑するザリアをアトランティス内部に案内する男、内部は人の気配はなく、散乱した過去の生活を思わせる残害が壁に集められ、道を作るようにわけられている。

 無造作に積み上げられている残害はホコリにまみれ、長い間放置されて要ることが直ぐに理解できる程であった。


 そんな通路を進んだ先に幾つもある巨大な空間、そして、最後の扉の先に姿を現すアトランティスのラボ。


「さあ、その者をカプセルの中へ、可能性はゼロではないが、ゼロになれば全ては無になる」


 ザリアは迷わなかった、一握りの希望にすがる為にこの場所を目指してきたのだと、自身に言い聞かせるとザハールの遺体をカプセルへと入れたのである。


 ザハールの入ったカプセルに液体が注入され、内部から無数の機械がザハールの身体を覆っていく。


 ザリアはザハールの異形な姿に落胆するも、男は嬉しそうにザリアに語りかける。


「ギリギリだが、失われた脳細胞が蘇生され始めたようだな。動けはしないが、会話がそのうち可能になるだろう……良かったな」


 涙を流し座り込むザリア。


「ありがとう……本当にありがとう……」


 男はザリアを見つめ頭を下げる。


「此方こそ、とても素敵な物が見れた、私にも家族が居たからな……本当に役にたてて良かった。しかし、此処にいつか戻ってくる男は危険だ。回復したら、ここから立ち去るがいい」


「ありがとう……あと、今更なんですけど、名前を聞いていいですか?」


 ザリアがそう口にすると男は口を開く。


「私はゼロだ」

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