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亜人と歩む ~瑠璃色王のレクイエム~  作者: 夏カボチャ 悠元
第2章 獣人の森 ダルメリア
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絶望のミーナ2

今回は少し残酷?グロテスクな表現があります、苦手な方はすみません。

 ミーナを担ぎ上げ男達が再度ダルメリアに向かい歩みを進めようとした時だった。


「おや? こいつは紛れもなく現行犯だな?」


 出口の方角から声がトンネル内に響き渡る。


 男達がその声に反応し振り返ると出口の先に人影が立っていた。


 ミーナは途切れそうな意識を何とか繋ぎながらその声の方を見つめる。そこには見たことの無い服を着た長身の男が堂々と立っており、ミーナと目があった。


「大丈夫か少女よ。今助けてやるからな! 待ってなさい」


「なんだ、てめぇ? 訳わかんねぇ片言の言葉使う奴だな?」


「こいつ島人だな? 構わねえから始末して獣人ども捕まえにいくぞ!」


 男達は、一斉に男を囲むと直ぐに武器を構えて襲い掛かった。


 島人は素早くトンネルの壁際に移動し、弓矢を涼しい表情で躱わしていく。


「壁際に逃げるとかバカか? 袋のネズミだ!」


 男達が一斉に走り出す中、島人は頷くように首を動かしている。


「へえ~此方にも、そんな言葉があるんだな。だがなッ! 其は俺のセリフ何だよ!」


 島人は身軽なフットワークで次々に剣を躱わしていく。剣先ギリギリを躱わしながら、確実に一人、また一人と一撃で沈めていく。


「お前らの剣は未だ未だだッ!! もっと鍛練を積むべきだったな」


 男達が距離を取り魔法を使って反撃する。

「〔炎よ我が力となれ!〕“フレイム”」

「〔雷よ我が力となれ!〕“サンダー”」


 島人は最初の火の玉を避け、壁にぶつけさせると、その爆風を利用し雷の魔法の上を飛び越えた。


 更に着地したと同時に雷の魔法を使っていた男のあごを振り向き様に蹴り砕いたのだ。


「ふぎゃぁぁぁ! はふが、はふが!」


 顎を砕かれ上手く喋れない男に止めを指すかのように、頭目掛けて脚を天高く振り上げ一気に振り下ろした。


 ドゴッ! と、鈍い音と共に男が動かなくなる。


「悪いが手加減なしだ! 何せ俺は38だからな、手加減してると殺られちまうからな」そう言うと、島人はポケットから手袋を取り出し両手に装着した。


「くそが!〔炎よ我が命令に従い力を解放せよ〕“ハイフレイム”」


 ボスの男が先程とは比べ物に成らない炎の塊を島人に向けて打ち出した。


「避けらんねえだろ! 燃えちまえ! あはは!」


 男は気分よく高笑いをする。だが、周りにいた男達は違っていた。目の前で起きた、ありえない光景に言葉を失い立ち尽くす。


「どうしたお前ら? ……な、有り得ないだろ……」


 島人は、炎の塊を片手で受け止めていたのだ。


「悪いな? いやあ、最初から此の火の玉を使ってたら、お前らの勝ちだったかもしれないのに、残念だったな」


 そう口にすると島人は火の玉を手袋の中に吸い込んだ。


「いいだろ? 最近手に入れたんだがな。襲ってきた野盗が使ってたんだが、逃げる時に落としていってな、1年保管してたんだが取りに来なかったんだ、持ち主が現れなかったんで貰った」


 そして、吸い込んだ方とは違う方の手袋が真っ赤な炎に包まれていく。


「使い方が分かるまで苦労したが、実は片方は魔法を吸い込んで、もう片方はそれを記憶して自在に出せるって凄い品物でな、最初に試した時に盗賊の隠れ家ごと、吹き飛ばしちゃって大変だったんだ」


 笑みを浮かべ、楽しそうに話しながら近づく島人に男達は動けずにいた。


「どうだろうか? 大人しく捕まって裁判を受けないか、自ら投降すれば死罪は免れるはずだ?」


「うるせぇ! それ以上来たら、このガキを殺すぞ止まれ!」


 ミーナを担いでいた男がミーナを下ろし首をナイフの刃を突きつける。だが、島人はその歩みを止める気配は無かった。


「おい……言われた通りにガキを放せ、この島人は普通じゃねえ」


 ボスの男がそう口にする。だが、男がそれを拒んだのだ。


「放したってどうせ殺されるんだ! なら、このガキも道連れだ!」


 男がナイフを振り上げた瞬間だった。


「少女よ! 頭を下げて目を瞑れ! ハアァァァッ!!!」


 ミーナは即座に頭を低くし直ぐに目を瞑った。


 次の瞬間、頭上を熱風が凄い勢いで通り抜けた。

そして、鉄臭い雨がミーナに降り注いだ。


 島人は直ぐに持っていたタオルで、ミーナに目隠しをする。


「そのまま、確り目を閉じてるんだよ」耳元でそう呟いた島人は直ぐに他の男達を始末していったのだ。


「ぎゃあぁぁぁ、まってく……ぐぁ」

「俺は何もしてねぇぇぇ助けてくれ、ぎゃあ」


 次々にトンネル内に悲鳴がこだまする。


 ミーナは必死に目を瞑り、耳を塞いだ。


ーー聞きたくない……聞きたくない……聞きたくない……


 ミーナの耳に悲鳴が聞こえなくなった。


「どう……なったの……誰も居ないの?」ミーナが声を出した瞬間。


「だずげでぐれぇぇぇ、だのむぅ」


 ミーナの足に誰かが掴みかかったのだ。


「ひっ! いや……いや! 放して、放してよぉぉぉぉ!」


「だのむからぁ……だずげでぐ……れ」


 声が止み、ミーナを掴んでいた手が足から離れた。ガタガタと震え精神状態はボロボロだった。


「少女よ待たせたな、ダルメリアまで連れていってやるから安心しろ」その声はあの島人だった。


「立てるか?」


 首を横に振るミーナ。


「なら仕方ないな、抱き抱えるから我慢しろよ!」


 男はミーナを抱き抱えた。


「いやぁぁ! 放して、殺さないで、私いい子にしてるから! お母さんーお父さんーいやぁぁ!」


 男の手の中で暴れ泣きじゃくるミーナに男は子守唄を唄った。


 それは、この世界の子守唄であり、余りに下手くそで、片言の言葉混じりの子守唄だった。男は優しくミーナに唄った。


「俺にも子供が居てな、まぁ、もう随分大きいんだがな、いつもこの歌を聞くと泣き止んでくれたんだ。かみさんからは、何時も『下手くそだね』って笑われてたんだがな」


 男の話し方は優しくミーナを包み込むようで不思議とミーナは泣き止んでいた。


 目隠しにしていたタオルを男が取り目を開けていいと言われ目を開けた。


 そして無事に屋敷の門に到着すると島人は門番に何かを見せて門を開けてもらっているのがわかった。


 ミーナを無事にダルメリアに送り届けた。森の出入口には凄い数の獣人達が集まってきていた。


 皆、外から流れてきた血の匂いに気づき武装しており、門番と共に現れた島人を初め皆が敵を見るような目で見ていた。村長が現れた二人が何かを話していた。


 そして、森の出入口とトンネルに人間避けの結界を張ることになったのだ。


ーーーーーー

ーーーー

ーー


 ミーナの過去の話が終わった。


「私は、何時も荷馬車に乗ってトンネルを往き来してきたの、トンネルが怖くてしかたないの」

 そう語るミーナをコウヤは力強く抱きしめた。


「大丈夫だよ、もし同じような事があれば、僕が絶対に守り抜くから」


「コウヤ、約束だよ」

 二人は、その日の晩手を繋いで眠りについたのだ。ミーナはその手を優しく握りながら目を閉じた。

ミーナの過去は、とても辛く、精神にトラウマを植え付けるものであった。


二人は、山を降りていく、その先には、コウヤの知らない世界が広がるのであった。


読んでいただきありがとうございます。

感想や御指摘、誤字などありましたらお教えいただければ幸いです。

ブックマークなども宜しければお願い致します。

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