表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
335/362

夜を照らす輝き3

 大国を消し去り、自身の娘を目の前で失ったのザハールはチェルバランを捜しながら素性を隠し各国を旅していく。


 多くの争いを目の当たりにしながらの旅はザハールの精神を氷が次第に溶けていくように少しづつ失わせていった。


 そして、ザハールはある小国同士の争いの中で、奴隷兵として駆り出される紅眼の部隊を目撃する。


 少年兵達は武器と言える装備は殆んど無く、薄い見かけ倒しの肩当てや木の棒と木製のシールド、腰には小刀(ナイフ)を身に付けていた。


 そして、少年兵達とザハールは出会う事となる。


 ザハールを目の前にした少年兵達は慌てながらも木の棒を向ける。


 棒を確りと握る手は震え、その表情は複雑と言う他ないであろう。


 顔は強ばりながらも、目元には涙が滲み、紅くなる頬と耳、誰の目から見ても興奮状態であり、戦い成れしているようには到底見える物ではなかった。


「何故、私にその矛先を向ける? 戦いたいのか?」


 ザハールの問いに微動だにしない少年兵達、その時、一本の矢が少年兵の一人に射ち放たれる。


 “トス”という鈍い音が鳴り、頭に突き刺さる矢が貫通し、その場で倒れ込む。


 少年兵が痙攣する様子に身を震わせる他の少年兵達。


「う、うわぁぁぁぁ!」


 逃げ惑う少年兵、其れを合図に矢の雨が少年兵達に降り注いでいく。


 ザハールは空から降り注ぐ矢に対して炎の防壁を作り出す。


「死にたくないなら、動くなガキどもッ!」


 ザハールの声に動きを停止する少年兵達、矢の雨が射ち続けられる中、ザハールは矢の一定の方向を把握する。


 その方角に炎の防壁を作り出すと徐々に少年兵を狙っていた敵兵を一ヶ所に集めていく。


 ザハールは矢を射ち尽くしたであろう兵士達に対して口を開く。


「敵であれ、幼き命を手に掛けようとしたんだ。覚悟は出来ているな」


 その言葉に反論する兵士達。


「ふざけるな! 敵に幼いも何も関係ない。敵が前に現れたならば戦うが道理であろう!」


 ザハールはその言葉に頷くと無言で掌を力強く握る。


 瞬時に炎の防壁が縮まり、兵士達を飲み込んでいく。

 燃え上がる炎の中に蠢く兵士達は必死に炎から逃れようとするも、防壁は縮まった事に他ならず、誰一人抜け出すことは出来なかった。


 恐怖を感じる少年兵達に対してザハールは質問を問いかける。


「驚かせた……お前達の主人は何処にいる?」


 ザハールの問いに首を横に振る。


 その態度にザハールは少年兵の一人に手を伸ばす。


 死を覚悟した少年兵は、今にも泣き出しそうな表情を浮かべながらも目の前のザハールの姿に足がすくみ、動けずにいた。


「私の聞き方が悪かった。お前達の国は何処にある。それならば問題はないだろう?」


 ザハールは少年兵達が何らかの魔法により拘束されて要るであろう事実から、キーワードによる支配だと推測した。


 一定のキーワードを口にしたり示したりすれば、発動するタイプの魔法であった。


 多数の種類が存在する拘束魔法の中で一番使われたのが、【魔法玉】である。


 本来は回復魔法を体内にストックする魔法であり、決められた言葉を発した瞬間、中の魔法を発動させるサポート魔法である。


 しかし、奴隷兵等を扱う際の魔法玉には多くの攻撃魔法が封じられ、恐怖による支配が行われていた。


 ザハールは少年兵に一言。


「自由になりたいか?」と尋ねる。



 少年兵は無言で頷くと涙を流し必死なの拳を握る。


「そうか、ならば……生きて待っていろ。それが条件だ」


 この瞬間から紅眼の悪魔と呼ばれる戦いが始まったのである。


 小国であろうが大国であろうが奴隷を有する国を次々と食いつくし、紅眼の民と奴隷兵だった者達は次第にザハールの元へと集い戦力は拡大していく。


 そして、運命の歯車が重なりあう。


 ザハールは辺境の地に人知れず新たな国を建国したのだ。


 紅眼の民の安らぎの地として作られた国、名を【クラシオン】古き癒しを意味する言葉であった。


 しかし、悪魔と称されたザハールの細やかな幸せは長くは続かなかった。


 ザハール討伐の有志を募り、討伐軍が各国から集められた猛者により結成される。


 その中にはザハールの娘の姿があり、不敵に笑みを浮かべるチェルバランの姿もそこにはあったのだ。

 ザハール最後の戦いが始まる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ