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ぶつかる思い5

 カプセルから姿を現した少年はエメラルドのような緑の瞳。

 手で銀色の濡れた髪をしきりに触り辺りを見渡すようなしぐさを見せる。


「言葉が通じるか分からないが、アンタは何者?」

 そう尋ねるカカ。


 緑の瞳の少年は理解したように頷くと口を開く。


「言葉は全てわかるよ、チェルバランの姿が無いって事は今回は助からなかったんだね……」

 そう語る緑の瞳の少年は溜息を軽く吐き更に会話を続ける。


「全員じゃないけど君達の事も知ってるよ。No.1、アグラクトの造った殺戮兵器だよね? 多くの国をアグラクトの傘下に従えた際に裏で動いていた暗殺部隊の所属だよね?」


 カカはその発言を否定する。


「随分驚かせてくれるわね? でも私はミカソウマのカカよ! 情報が古すぎるわ」


 悩むように首を傾げる少年。


「ミカソウマなんて言葉を初めて聞いたよ。アグラクトはミカソウマと名乗っているんだね」と、少年が口にした瞬間であった。


「貴様ッ! 我らが愛するミカソウマを……赦せぬ!」


 両手の剣を強く握り、斬り掛かろうとするラシャ。

 しかし、刃は少年の首ギリギリで停止する。


「ラシャ=ノラーム……バルド=ノラームの娘にして、後のエルフの国、“エレ”の女王、別名を“黒き剣”、アグラクト最大の驚異となる存在、何故、No.1と居るんだ?」


 首に刃を当てられたまま、表情を変える事なくそう尋ねる少年に対してディアロッテはラシャに剣を収めるように口にする。


 ラシャはディアロッテの言葉に渋々従い頷いて見せる。

 刃を収めるラシャの姿を見た少年は初めて驚きの表情を浮かべる。


「驚いたよ、ラシャ=ノラームが獣人のしかも、魔界のシアン=クラフトロの部下であるキャスカ=マーブル傘下のディアロッテの指示に従うなんて? この時間軸はいったいどうなっているんだ……」


 事態が理解できないと言う表情を浮かべ目に見えて動揺する少年。


「それは此方のセリフです。何故、私がキャスカ様の部下である事実を貴方が知っているのか、と言うよりも私達の過去の経歴を知っているのかを教えてください」


 ディアロッテの言葉に両手を上にあげる少年。


「状況が分からない、投降するので、魔王シアン=クラフトロの元に案内してほしい。そうすれば全てを話します」


 観念したように力なく少年の口から語られる言葉。


 ディアロッテは魔導銃の先端を少年の額にあてる。


「先に言っておきます、シアン様はアグラクトとの戦闘のおり、戦死致しました。次にシアン様の名を語る際には御注意ください。私以外の誰もが今の言葉を侮辱と取り、冥界へと誘うことでしょう」


 冷たい人形のような表情に相手を凍りつかせる瞳を少年に向けるディアロッテ。


「わかった、いや……わかりました……肝に命じます」


 ディアロッテは背負っていたリュックから予備の服を取りだし少年に手渡す。


「取り敢えず服を着てください! いくら子供でも、裸のまま、連れて行くわけには行きませんので」


 少年は言われるがままにブカブカの予備の服を着ていく。


「ディアロッテってメイド服の予備を持ち歩いてたのね?」


「妾もそれに関しては驚いておる、何とも言いがたいがディアロッテらしいのじゃ」


 カカとラシャの会話に震えるディアロッテ、そんな3人を見つめるアリスとリー。


「これでいい……ですか」


 服を着た少年は、まるで幼いメイドのようであり、もじもじとしきりに体をくねらせる。


「男なら確りしろ、まるで本当の女みたいだな?」


 カカの言葉にうつ向く少年。


「こんな屈辱的な思いをしたのは初めてだ」と口にする少年。


(わたくし)と同じ格好が屈辱的ですか……」


 ディアロッテの言葉に笑いを堪えるラシャの姿はよりディアロッテの怒りに油を注いでいく。


「良いではないか、それより、今更だが名前を聞いてなかったのじゃ、名をなんと言うのじゃ?」


 少年はラシャの問いに答える。


「ゼロ……No.0だよ」


 少年の言葉にカカはその場で足を止めた。


「No.、……どういう事かしら、答えを今すぐに聞かないと私、貴方を殺しちゃうかも?」


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