トンネルの恐怖、ミーナの過去
ミーナは焚き火を見つめながら、虚ろな眼をしていた。その表情は今まで見たことがない程、険しくとても悲しそうな表情であった。
「ミーナ、話したくないなら無理に話すことないよ、僕も無理に聞く気ないよ?」
その言葉にミーナは微笑みを浮かべるが、やはり表情は険しいままだった。
「私……小さい頃ね、勝手に森を抜け出したことがあったの」
ミーナはゆっくりと自身の経験した恐ろしい過去を語った。
まだ幼い頃に1度、森の外に出てみようと思い。森を抜け出した時の話だった。
ーーーー15年前ーーーー
当時7歳のミーナは活発で森の隅から隅まで全て探索を終えて退屈な毎日を送っていた。ミーナの両親は行商人をしており、普段から家を留守にしがちだった。その為、毎日を一人で過ごしていた。
そんなミーナを毎日訪ねていたのがアルタとダンダだった。三人は幼馴染みであり、掛け替えのない親友であった。
毎日のように大人達の入れないような小さな洞窟や林の中を探索していた。三人からすれば小さな冒険だったのだろう。
そして森を調べ尽くした三人は森の外に出てみようと言う事になったのだ。
「ミーナ、やっぱり森の外やめようよ。大人達に叱られるよ?」
「なによ、ダンダ男の子なのにビビってるの? 情けないわね」
「ミーナ言い過ぎよ、ダンダだってそんなつもりで言ったんじゃないのよ?」
「分かってるわよ。でもッ! もし、大人にこの計画を話したら絶交だからね、わかったダンダ?」
「わ、わかったよ」
その次の日、ミーナは計画を実行した。アルタが見張り役になり、森の出入り口の警護の交替するタイミングをミーナに知らせる。そしてミーナが森の外へと出る作戦だった。
そして、交替の後に出入り口の警護再開までの間に足の早いアルタも森に抜けると言うものだった。
第一段階のミーナは無事に出入り口を抜けることに成功した。そして第二段階のアルタが走り出した。が、次の瞬間アルタは後ろから掴まれ、ひょいっと持ち上げられ捕まってしまった。
「なにをしている、アルタじゃないか! お前また懲りずに森の外に行こうとしたんだな! 此方にきなさい」
アルタのお父さんに捕まってしまったのだ。
アルタはミーナに行けと手でサインを送った。ミーナは頷き、そのまま森の外へと駆け抜けたのだ。
ミーナの父親から屋敷の話を聞いていた事もあり、屋敷の塀にヒビ割れが在る事を知っていた。バレないように慎重にヒビ割れを探し出したミーナは、その隙間から塀の外に抜ける。
そして、トンネルへと辿り着いた。ミーナがトンネルの中間を越えようとした頃である。
森と反対の方向に複数の人影が見え、ミーナは急ぎトンネルの間にあるへこみに身を隠しフードを被り身を縮じめた。
その人影はミーナの横をズカズカと通りすぎて行く。だが、ミーナは男達の会話に耳を疑った。
「獣人の男は皆殺しだ! 女も若いのとガキだけでいい」
「ボス? 男のガキはどうします?」
「容姿がいいのは生け捕り、後は始末しろ! 容姿が悪いと売れないからな?」
男達は、獣人狩りに来た奴隷商だった。ダルメリアへの立ち入りは禁止されていた。しかし、この男達は禁を破り、ダルメリアに奴隷狩りにきたのだ。
20人程の武装した男達は楽しそうに話していた。それを聞きミーナは『早く皆に知らせなくちゃ』と直ぐにその場を離れようとするがトンネルの中間では身動きが取れなかったのだ。
ミーナが考えたのはトンネルを外に抜ける事であった。トンネルは歩いて行く為の物と馬車が通るようの二通路が隣り合わせになっている。
ミーナは馬車が通るようのトンネルの開き方を父親から教えて貰っていた。男達が通りすぎた後、一気にトンネルを無我夢中で走り出す。
その時一人の男が足音に気付き振り向いたのだ。男達は、ひた走るミーナの後ろ姿を見て急ぎ追いかけ始めた。
「早く捕まえろ殺しても構わん!」
「「「おおおおぉぉぉッ!!」」」
「待ちやがれ!」
凄い勢いでミーナを捕まえようとする男達の声がトンネル内に響き渡り恐怖から息が切れ始める。それでもひたすらに走り続けるミーナ。
「後少し、後少しで出口だ!」
そんなミーナの希望を打ち砕くように肩に一本の矢が突き刺さった。いきなり肩から全身に伝わる痛みにミーナは倒れ込んだ。
「え、うわぁぁぁぁ! う、いかなくちゃ……早く皆に知らせなくちゃ……」
「はい、捕まえたぁぁ!」
ミーナに男の一人が追い付き腕を掴んだのだった。
「ひぐっ、いや……いやぁ……来ないで!」
「おいおい、手間とらせやがって! ひひひ、だが今からはお楽しみだ」
涙を流すミーナ、男達はゆっくりと近付き不敵な笑みを浮かべる。
ミーナは恐怖した。そして死を間近に感じていた。
ミーナは絶体絶命のピンチに追いやられた。
泣きじゃくるミーナを見て、尚も笑う人間達
ミーナに何をしたのか?
ミーナの口から、その真実が明らかに
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