表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
318/362

瑠璃色の王

 コウヤはただ怒っていた。


 言葉に出せば単純な怒りの表現に他ならない。


 人は誰かを殺める覚悟をどう決めるだろうか、本能のままに人が生きていたならば世界は多くの屍に覆われ人類は絶滅したであろう。


 人類の更なる進化した存在と名のり……人類の粛清と全ての時間を手にしようとする悪魔と呼ばれる新人類を先導するチェルバラン。


 亜人の自由と人間の行いに怒りを覚え戦いに決起した幼き紅い瞳を持った瑠璃色の王に選ばれし魔王コウヤ=トーラス。


 多くの血が流された戦いの因縁、瑠璃色の王と闇の王の時を越えた戦い。


 そして、不敵に笑みを浮かべたチェルバランがコウヤに対して両手を大きく開くと天を見上げて声をあげる。


「やっとだ、やっとこの時が来たんだ……あはは、あははははは……感じる感じるぞ! 怒りが満ちていく、大切な者を失い続けた魔王よ。本能に飲み込まれ獣となるッ! 我はチェルバランッ! 瑠璃色の輝きを闇にて葬る暗黒にして闇の王なりッ!」


 コウヤはただ走り出す、只速く、更に速く、誰の眼にも異常である事は明らかな程に速く。


「それ以上ッ! 喋るなぁッ! チェルバラァァァン!」


 一瞬で目の前に姿を現したコウヤに対して黒い靄を放つチェルバラン。

 靄を避けようとせず、真っ直ぐに黒刀を振り抜くコウヤ。


 コウヤの全身が(ただ)れ、顔面には酷い裂傷が刻まれる。

 しかし、振動した刀は靄を打ち払うようにチェルバランの片腕を下から肩に目掛け切り払う。


「ぐぁぁぁぁっ! な、何故だ、瑠璃色の王……何故朽ち果てぬ……」


 片腕で傷口を押さえるチェルバランは理解出来ないと言う表情を浮かべながら自身の肩に靄をあて傷口を塞ぐ。


 徐にコウヤは自身の爛れた腕をチェルバランに翳すと無言のまま、チェルバランの肩にまとわりつく黒い靄ごと肩を叩き落とした。


「グハッ! ヴギャアァァァッ!」とチェルバランの叫び声がこだまする。


 コウヤの腕から指先まで肉は爛れ、至る箇所の骨が剥き出しになっている、その状況下で握られている刀であるにも関わらず、肩を落とされたチェルバランは何が起きているか理解できないでいた。


「痛いだろ……僕は僕自身の為に今まで多くの犠牲を強いてきた、仲間の為と口にしながら、救えなかった愚王なんだ……皆が幸せに生活できる世界が欲しかった……ただ、家族と笑って食事がしたかった……好きな人と過ごす暖かな日常を望んだ結果なんだ……」


 視点のあわないコウヤの言葉に恐怖を感じるチェルバランは体が小刻みに震える感覚に驚きを隠せずにいた。


「フフフッ、そうか……私は負けるのか……だが、構わぬさ……私が死んでも次のチェルバランと言う存在がお前を殺すのだから、今の勝利を噛み締めよ瑠璃色の王よ」


 チェルバランが会話を辞めた瞬間、コウヤは刀を振り上げるとチェルバランに対して刃を振り下ろす。


 怒りはコウヤの感情と理性を狂わせ、躊躇(ちゅうちょ)と罪悪の念を捩じ伏せる。


 刃がチェルバランに触れる一瞬、コウヤの瑠璃色の石が輝きを放つ。


 チェルバランは笑ったのだ。


「勝った……遊びは此処までだ! 瑠璃色の王よ、所有者を選び間違えたようだな!」


 チェルバランの全身から靄が溢れ出すと同時に自身の体すらも靄へと姿を変えたのである。


 刃がすり抜けると同時にチェルバランはコウヤから距離を取るとコウヤの血液の入った容器を服の中から取り出す。


 容器の中に入っていたコウヤの血液が不思議な輝きを放っている事を確認するチェルバラン。


「長き因縁か……全てを手にする事が叶った今、寂しくすら感じるぞ瑠璃色の王よ、だが、勝者の居ない戦い程、退屈な物はない……瑠璃色の王の力、私が貰いうける」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ