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悪魔は微笑む3

 海水の中に解き放たれた無数の船が動く事なく海底に沈んでいく。


 アリスとリーも他の船と同様に船のエンジンを動かす事はしない。


 静かに操舵を動かし方向を変えていく。


 ただ沈んで行くように見せかけながら確実に海流の流れに船を乗せる二人。


「アリス、気づかれたら終わるわ、今は動きが見えないから気づかれてないと思うけど、画面をオンにしたら、どうなるかわからないからパソコンの電力を消費させない為にオフにするから……少しの間時間もわからなくなるよ」


 アリスが頷くと二人はただ海流の流れに全てを委ねたのである。


 不安と恐怖でいっぱいになる頭の中を必死に整理するアリス。

 アトランティス内部の人達やシー=ブレンの真相など多くの疑問が駆け巡っていた。


 二人を船内の暗闇と時間の確認出来ない事実が更に不安にさせていく。


 非常灯すら付けられない状況とメインエンジンを始動出来ない状態が続いていく。


 アリスとリーは不安に支配されたまま、数時間を過ごす事になる。

 その間、船は確実に海流の中を進んでいく。


 そして、その時が来たのだ。


 アリスとリーの乗った船が大きく揺さぶられ、激しく震動する。


「来たよ! アリス、直ぐに舵を握って、大海流に辿り着いたわよ!」


 慌てて舵を握るアリス。


 リーはパソコンを即座に起動させると直接繋いだ船のコンピューターにアクセスする。


 船内に一斉に電気が流れ暗闇を光が照らしていく。


 メイン画面がオンになるとアリスとリーの前には真っ赤な(世界)が広がっていた。


「え……リー、何これ? 目の前が……」


 真っ青な表情でリーを見つめるアリス。


 リーは質問に答える事なく、下を向き全身を震わせる。そしてゆっくりと声を出す。


「私達はアトランティスから離れてなかったんだ……画面でわかるのは船がアトランティスと繋がれてる事と何かにアトランティスが襲われてる事実よ……終わりだわ……」


 諦め絶望を口にするリー、しかし、画面を確りと見つめるアリスはある事実に気づく。


「今、画面に映ってたのって、アトランティスの周りにいた悪魔達だよ、誰かがアトランティスじゃなくて、悪魔と戦ってるんだ……」


 苛立ちを隠せないリーは取り乱し涙ながらにアリスに掴み掛かる。


「有り得ないでしょ、コウヤ達はもうアトランティスの側には居ないんだよ……人類もほぼ全滅してるのに、誰があんな化け物達と戦うって言うのよッ!」


 数秒の沈黙、そして頭上から降り注ぐ悪魔だった物が船に当たり船内に微かな音が鳴り響いていく。


 リーを抱きしめるように落ち着かせるアリスはゆっくりとその手をリーの頭に運び、優しく撫でる。


 無言のままにアリスの優しい手がリーを撫でるとリーは歯を食い縛り、声にならない声で涙を更に流した。


「リー、今のままだと何も変わらない……私達はもう逃げられないんだよ。ギャンブルは苦手だけど、賭けに出ましょう、ね?」


 アリスの語る賭け、それは船を浮上させると言う事であった。

 繋がれた船を浮上させる事はアトランティスの直ぐ側に船体を晒す事に繋がる。


 ハイリスクでしかない提案にリーは笑みを浮かべる。


「アリス、あんた本当に……私には考えつかないよ、でも、悪くないよね……このまま死ぬんじゃさ、悲しすぎるもんね。アリス……船を浮上させる! 確り掴まりなさい。頭ぶつけても知らないわよッ!」


 船が角度を変えると前側のバラスト(おもり)を全て船外に射出する。

 船を垂直にするとそのまま海面に向かってメインエンジンを回転させる。


 真っ赤な海中を突き進む船、メイン画面に光が映し出されるとリーとアリスは静かに震えながらも希望を信じて突き進む。

 舵を握るアリスとリー、そして二人は恐怖を振り払うように声をあげる。


「うわぁぁぁぁッ!」

「やあぁぁぁぁッ!」


 海面に頭を出した船体、凄まじい衝撃が船体を襲うとメイン画面に映し出された戦場、そこには人とは異なる二つの力がぶつかり合いその渦中に力強く敵を切り裂くコウヤの姿、二人はその姿に安堵を浮かべる。


 しかし、二人は背後に何者かの気配を感じていた。振り向こうとする二人に対して女の声が向けられる。


「動かないでください! 動けば()()()()


 一瞬の期待と希望を打ち砕くような言葉に涙を流すアリス。


 リーは大声で叫びながら後ろを振り向き走り出す。


「くそぉぉぉッ! そこにコウヤやミーナが居るんだ、私はまだ本気で謝ってすら居ないんだ!」


 次の瞬間、リーの首元に刃が当てられる。声を掛けてきた女の後ろから凄まじい速度で剣を構えた女が走り出し、リーの動きをその刃で封じたのである。


「動くんじゃないよ。三度目はないからね……わかったかい?」


 リーが悔しさを堪えながら頷くと船は一瞬で占拠されたのであった。

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