絶望と力2
居住スペースであった中央のスペースはコウヤの入ってきた外に一番近い第1エリアに向かう者達が集まっていたのだろう事を物語るように鞄や手荷物が散乱しており、人だった者の片腕が荷物を握り締めたまま、無造作に散らばっている。
生存者が居ないかを確かめながら、前に進むコウヤ。
居住スペースの外に居るミーナに念話で中の様子をつたえる。
『生存者は発見できない……中には入らない方がいいよ、酷い状況だから』
居住スペースの端まで行くも崩壊が激しくそれ以上先の扉を目指す事が難しい事から、一旦、スペース内を一周するように駆け抜けるコウヤ、居住スペースに生存者が居ないと判断するとミーナ達の元に合流する。
第1エリアに戻ったコウヤの服と靴に付着した血液、更に全身から漂う死臭と言う名の生臭さが居住スペースの悲惨さを物語ると明日菜とアリスは絶句した。
リーはそんな二人の分まで気持ちを確りと保とうと自身の頬を叩き、第8エリア迄のルートをコウヤに説明する。
居住スペースの崩壊した先に目指して居た第8エリアがあった事もあり、エデンのエリアの位置を再度コウヤに説明していく。
エデンの内部は8エリアと居住スペースがあり、中央を居住スペース、第1エリアのみが外へと続く唯一の出入り口であり、左右に別れた扉から左に進むと第2エリア、右に進むと第3エリアに繋がっている。
並び方。
第1エリア=第8エリア。
第2エリア=第7エリア。
第3エリア=第6エリア
第4エリア=第5エリア
各エリアには地下での生活において必要な物が選ばれている。
そして、リーが選んだルートは第2エリアから第5エリアへ抜け、第6エリアに入り第8エリアを目指すルートである。
コウヤはリーの提案に対して2手に別れる必要が有るのではないかと言う質問と何故、左の第2エリアから向かうのかを尋ねる。
「僕は構わないけど、左右に扉があるなら両方に生存者が居る可能性があるよね? なんで左のルートなの」
リーはその質問に即答した。
「第2エリアから第8エリア迄のルートには第5エリアの警備隊と治安部隊の本部がある。同時に第6エリアには巨大な医療施設が無数に繋がったエリアなんだ、医療品と備蓄だけど、食糧が非常用に完備されてるの、あとはエデンとは別に非常用に自家発電の装備が無数にあるんだ」
「それはわかったよ。でも片方のルートに生存者が居ないとも言い切れないよね?」
「非常時には第7から第3エリアは防災扉が閉まるようになってるの、そして、エデンの住民は第5エリアか第8エリアを目指すように幼い頃から言われている。第8エリアには外の環境と同じように人工の太陽と畑や果実に家畜の管理もしているから、第8エリアには確実に生存者が居るはずなの」
リーからの説明が終わり、第2エリアの扉の前に立つコウヤ達。
強固な扉に刃を振動させ、向けるコウヤは一振りで扉を切断する。
バダンっ!
重圧音が響き渡ると第2エリアの内部が見えてくる。
第2エリア内を蠢く紫の液体、食糧貯蔵庫の中は溶かされた食糧の汁が床に散乱し水溜まりが出来ている。
扉の倒れる音に反応した紫の液体は次第に集まりだし巨大な生物のように一塊になるとコウヤ達を目掛けて突進していく。
そんな紫の液体を真っ直ぐに見つめるコウヤは刀を鞘に収めると僅かな魔力を使い両手に炎を纏わせる。
「1つになったなら好都合だよ。僕も余り時間を使う気はないから」
悩む事なく、突進してきた紫の液体に向かっていくコウヤ。
勢いよく飛び掛かると両手の炎を液体に絡めるように四方八方に飛び回っていく。
高速で移動するコウヤを捉えられない紫の液体が次第に燃え上がると、引火していない部分から分離しようとする液体が現れ出す。
液体の周りを狭い防壁魔法で囲み逃げ道を無くすコウヤ。
紫の巨大な液体は為す術なく塵に変わったのである。




