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絶望と力

 エデンとは本来、人類の存亡を担うノアの箱船の役割を果たす為に建造され、幾つもの争いの中で施設を強化し、地下の空間を利用して造られた巨大な研究所である。


 内部は円になるように8エリアに別れている。中央には居住スペースがあり、8エリア全てに繋がる扉が存在し、エデンの住民はカードの内部情報と指紋認識により移動可能なエリアを自由に移動できる仕組みになっている。


 エデンからの救出を目的としたコウヤ達は今、エデンの地下通路の出口にあたる“第1エリア”【認証、事務、登録】と書かれた市役所の役割を担うエリアにいた。


 カード情報を読み取らせ、居住スペースからラボである第8エリアに向かおうと考えていた。

 しかし、電気が途絶えた事により、厚みのある鋼鉄の扉は閉ざされたまま開く気配はない。


「ダメ、カードの読み取りが出来ない……居住スペースを抜けるのが唯一の近道なのに」と明日菜が口にする。


 コウヤは扉を刀で切断しようと考えると、束を握り集中する。


 その時、居住スペースの内側から「ジュゥゥゥ……」と言う音が微かに聞こえてくる。


 1歩後ろに下がり、全員をコウヤの後ろに下がらせる。

 次第に扉から煙が上がり、微かな穴が開く。


 警戒するコウヤ達が身構えると、穴から紫の液状の物体が溢れ出る。

 次第に大きくなる穴から涌き出るように流れ出していく紫の液体。


 明日菜は恐る恐る、コウヤの後ろから紫の液体を覗きこむ。


「なんなの、紫の液体? 扉を溶かして出てきたのに床は溶けないなんて……」


 明日菜の発言にアリスが慌てて口を開き声をあげる。


「そんな事より! 居住スペースからこの液体が出てきたんだよね、皆は無事なの? 居住スペースはどうなってるのよ!」


 動揺するアリスの質問に明日菜は苛立ちを感じていた。


「分かるわけないでしょ! 私だってこの状況に困惑してるのよ」


 明日菜とアリスが大声をあげた瞬間、紫の液体が突如として動きだし、物凄い速さで明日菜とアリスに襲い掛かる。


「「いやぁぁぁッ!」」と響き渡る明日菜とアリスの叫び声、慌ててリーが二人を抱きしめる最中、コウヤは紫の液体を即座に火炎魔法で焼き尽くす。


 目の前で突如、燃え上がる紫の液体に驚きを隠せない明日菜達、しかし、恐怖が先に出ている事もあり、上手く声が出せないでいた。


「全員、僕とミーナから離れないで、あの液体、意思があるみたいだ」


 紫の液体が完全に燃えきると、先程まで流れ出していた液体がピタリと止まり、そこには只の穴が残されていた。


 大人一人がギリギリ通り抜けられる程度のサイズであり、居住スペース内は暗闇に包まれ、中の様子を窺うことは出来ない。


 扉へと近付くコウヤ。


「扉を切断する前に中の様子を確認してくるよ。もしもの時はミーナの指示に絶対に従って、約束だよ」


「待ってコウヤ!」


 ミーナの制止を笑顔を浮かべ躱すとコウヤは一人、暗闇に包まれた居住スペースへと入っていく。


 生肉が中途半端に焼かれたような臭いと血液が蒸発したような香り、コウヤは暗闇の中で眼を凝らす。

 数多の種族と繋がりその中には暗闇の中でも視界を保つ夜目のきく種族が存在する。コウヤの瞳は暗闇の中を鮮明に写し出していく。


 そこには想像を絶する死の世界が広がっていた。

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