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時空の先にある世界5

 チェルバランが地面に倒れ込むとコウヤは勝利を確信する。


 しかし、悪魔達は戦闘を継続し、“時の支配者”を身に付けている者を一斉に襲い出したのである。


 悪魔達はしきりに「ヤバイ! 早く別の時代にいかないと!」と口にする。


 ランタンが一人の悪魔を捕まえ、尋問するとその訳が明らかになる。


「この時代にはチェルバラン様と繋がる爆弾があるんだよ! チェルバラン様が死ねば、爆弾が爆発する、中には細菌封じられてるが、同時に世界へと、ばら蒔かれる……細菌は全ての物を殺し、新たな生命を生み出すように作られてる、この時代は終わるんだよ!」


 其れを聞くと悪魔を切り捨て、コウヤに報告するランタン。


「どうやら、世界の至るところに爆弾があり、悪魔達は別の時代に移動する為に“時の支配者”を奪おうとしているようです、爆弾には細菌が入っており、私達では、破裂したら防ぎようがありません」


 報告を聞いたコウヤは直ぐに悪魔達を葬っていき、同時に“時の支配者”を所持している者からランタンのポケットへと向かわせる。


ロストアーツ(時の支配者)の所有者は皆、居なくなった。お前達に希望はない!」


 コウヤは悪魔達に聞こえるように声をあげると悪魔達は一斉にコウヤに襲い掛かる。


 次から次に襲い掛かる悪魔に対して、ランタン、源朴、マトンの3名が前に出る。

 左右には、キャスカ、ラシャ、シャーデ、ミーナが入り、上空にはベルミとキュエルが、後方にはカカとディアロッテが援護をする。


 コウヤを守るように作られた最強の陣形を前に次々に葬られる悪魔達。


 そして、大きな震動が足元から全身に伝わっていくと地震は大地を割り悪魔達はその光景に慌てて逃げ場のない世界を飛んでいく。


 悪魔達が全て居なくなり、激しく地響きが鳴り止まぬ状況でコウヤが両手を前に出し、巨大な時空の割れ目を開き、その場に居るミカソウマの兵士達を次々に元の時代へと帰還させていく。


 ラシャやキャスカは反対したがコウヤは自身が最後にならねば時空が安定しないと口にして皆を先に向かわせていく。

 コウヤは既に世界に時間が無いこと理解しており、全員を元の時代に戻す事を最優先に考えていた。


 最後にミーナが時空の割れ目に入ろうとした時、コウヤに向かって襲い掛かる一人の男がいた。


 死んだ筈のチェルバランである。


「お前! 生きてたのか」


「いや、死んださ、だが、ロストアーツは死すら復活させる! 惜しかったな……死ね! コウヤ=トーラス!」


 その瞬間、ミーナが時空の割れ目から飛び出し、コウヤに体当たりをしてチェルバランの攻撃を外させる。

 コウヤは即座に体勢を立て直し、刀で再度チェルバランを切り裂く。


 時空の割れ目が閉じて消えた時、チェルバランが笑みを浮かべる。


「お前は“時空王”のタイムラグを知っているか……あれ程の割れ目を作ったなら、10分は力を使えぬだろう……お前達は終わりだ……最後に私のロストアーツをくれてやる……一人が生き残り、一人が苦しみ死ぬ姿を楽しむがいい」


 チェルバランは首飾りを契りコウヤの足元に放り投げるとそのまま息絶えた。


「ミーナ、君がつけて。僕はミーナにいっぱい助けられたから」


 コウヤが笑みを浮かべるとミーナは首飾りを受けるのを拒んだ。


「嫌よ……嫌だよ……最後がこんな終わり方なんて、絶対に何とかなるよ、君が居なくなった世界に私はいたくない……君が生きる世界で一緒に……コウヤ……」


 コウヤは泣きながら喋るミーナを魔法で眠らせると首飾りをミーナに優しくかける。

 ミーナを抱き抱えたコウヤは静かに歩き出す広場にある長椅子(ベンチ)にミーナを寝かす。


 更なる震動が世界を震わせた時、教会から凄まじい爆炎があがり、コウヤは防壁魔法で炎を塞ぎミーナを守りきった。


 世界が死の炎で包まれた瞬間、コウヤはミーナの泣きながら口にされる「コウヤ……好きなんだよ」と言う寝言に笑みを浮かべていた。


 …………ミーナが眼を覚ました時、コウヤ=トーラスは横には居なかった。

 街は吹き飛び、不自然に残されたミーナの寝ていたベンチから見える辺りの光景は何も存在しない0の世界であった。


「コウヤ……何でよ! 君が居ない世界に私は何を信じて生きればいいのよ……コウヤァァァ……」


 ミーナは咄嗟に首飾りを外そう考え、手に触れた瞬間、自身に同化している事実に涙を流した。


「私じゃなくて、コウヤと一体化してよ、私はロストアーツ()の名前すら知らないんだらさ……」


『私はごめんなさいと言うべきなのかしら? 初めまして、私は“息吹の王”よ貴女は随分短い間に甦生と崩壊を繰り返すから、私自身が同化する道を選んだのよ』


 そう語るロストアーツにミーナは泣きながら語りかける。


「大切な人が居なくなったの……私は生きてて欲しかったのに、一人で行ってしまったの」


『確かに一人で行かれたけど、勝手に殺すのはいけないわよ? 気持ちが失われたわけじゃない、繋がれる喜びと繋がっていた温もりは消えない』


「優しいのね、ありがとう。イブキ、貴女がいてくれて良かったと思うべきね」


 そんなミーナに息吹の王は優しく語りかける。


『貴女は一人じゃないわ。大丈夫よ』


 ミーナは頷くとベンチから立ち上がり、空を見上げた。


 何も無い世界に一陣の風が後ろからミーナに吹き付ける、ミーナは風に運ばれて流れてきた香りに自身の嗅覚を疑った。

 そして、後ろから「ミーナ、良かった。でも、まだ寝てて直ぐに魔法で水を出すからさ」と語るコウヤの姿がそこにはあった。


「コ、コウヤァァァ……何で君はいつも私を泣かすのさ、本当に本当にコウヤなんだよね? それとも二人共、死んだのかな……」


 戸惑いながらそう語るミーナに対してコウヤは優しく微笑み、力いっぱいに優しく抱き締めた。


「僕は此処にいるよ。少し辺りを探索してたんだ。この世界は体外魔力が使える程、魔力と言うか木々も大地も生命力が無いんだ。起きた時に側に居られなくてごめんね」


 ミーナはコウヤが何故生きているのかを尋ねる。

 そして、コウヤは口を開き訳を説明し始める。

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