時空の先にある世界2
嗅覚の優れたコウヤ、そして獣人達はその場に居るだけで頭痛と吐き気に襲われていた。
「何これ、凄い臭い……こんなに酷い臭いは初めてだよ」
コウヤの言葉に頷くミーナ達、ランタンが一点を指差し皆がその先に注目する。
「あれが原因でしょう」
ランタンの指差した方向には三本の煙突のついた巨大な教会のような建造物があり、黒光りする煙が止めどなく上がっていく。
その下には大量の人の列があり、一人、また一人と教会の中に入っていく。
その殆どが成人から老人であり、不気味な程、静かに歩みをゆっくりと進めていく。
「いったい、あれは……それに子供の姿がないなんて、不気味すぎるよ」
コウヤの何気無い発言、しかし、ランタンはその言葉に反応して口を開いた。
「古い伝説の一説に世界は三回滅び、再度生まれ変わったとあります。最初の世界は汚染の光による呪いだとされ、次の世界は生命の息吹が途絶えたとされてます、そして、三回目は全てが海の底に沈んだとされています」
初めて聞く内容にコウヤは首を傾げた。
「そんな話、聞いた事ないよ? それにそれって凄い昔の話でしょ? 何でパンプキンがそんな事を知ってるの」
「私はロストアーツの収集家ですよ。ロストアーツの中には歴史を画像とその時代の言葉で遺した物が存在します。数あるロストアーツの中でも稀少ですが、翻訳するロストアーツも存在します」
ランタンはコウヤにそう説明すると第2の世界の崩壊を語る。
大気汚染が人体の構造を次第に変化させ、子供の産めない世界が出来上がっていったのである。
そして、世界に不安と混沌が巻き起こると神に人々はすがり、宗教にのめり込んでいく。
世界の歪みは次第に1つの欲望に纏まり、多くの宗教徒は救いと癒しを求め、財産を投げ売り、のめり込む事で全てを忘れようとした。
その結果、ピラミット式の格差社会が出来上がり、世界の頂点に登り詰めた教祖はその精神を狂気に向かわせていく。
財の無い者は命を炎に投げ入れる事で、その身を浄め灰になる。
世界に人の灰が降り注ぎ、新たな環境汚染が始まると新たな試みがスタートしていく。
人の細胞を進化させ、子孫が出来ない状況に対して、人の寿命を伸ばし肉体を強化する事を考えたのである。
それこそが悪魔と呼ばれる存在の始まりとなる。
「つまり、悪魔は人間ってことなの……」
ランタンの語る言葉に衝撃を受けるコウヤ、しかし、更にランタンが語る。
「人間を捨てた欲望に支配された存在であり、その為に多くの命が実験に使われました。大変言いにくいのですが、カカさんの居た“No.”と言う組織も悪魔の遺した遺産を有して人を兵器に変えていたのです」
コウヤの中に怒りが巻き上がり、全ての矛先が教会に向くと攻撃の対象として刀を向ける。
「僕はこの世界の常識は知らないし、知りたくもない。ただ分かるのはあれが悪だと言う事実なんだ。行くよ! 此所に繋がったって事はチェルバランもあそこに居る筈だ」
ランタンのポケットから姿を現したミカソウマの大部隊が一斉に武器を握り、歩みを揃えて進んでいく。




