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亜人と歩む ~瑠璃色王のレクイエム~  作者: 夏カボチャ 悠元
第三部 光の先に見える物
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ミカソウマ……繋がる道2

 コウヤの提案に驚きを露にするランタン、しかし、コウヤはそのまま話を続ける。


「クウヤはロストアーツの力で飛行する悪魔の大部隊を呼び出してたんだ。時空島から直接飛んできた方が早いし一斉に攻撃出来るのにわざわざ島人のロストアーツに頼るなんて変だと僕は感じたんだ。敵のロストアーツ(時の支配者)には限度が有るんだと思う、その為にクウヤのロストアーツの力が必要だったんじゃないかな」


 コウヤの仮設を聞いたランタンは凍った海面を砕く事を皆に伝える。


 クウヤとレイシアが沈んだで有ろう海面には既に新たな氷が厚みを帯びてはっており、其処だけが他の氷とは違い透き通るように円が描かれている。


 コウヤは円を一回り大きく捉えると周りを火炎魔法と風魔法を使う事で炎の渦を作り出し、氷の周りを溶かしながら海底へと溶かし進める。


「やっと見つけたよ……静かに眠ろうとしてたのにごめんね」


 コウヤは海底に沈むクウヤとレイシアを体外魔力で確認すると海底から土石魔法を使い海上に持ち上げていく。

 海面にあがるにつれて余分な氷を削り切るコウヤの目に次第に入ってくる。

 氷の中で傷だけのクウヤを優しく微笑み抱き抱えるレイシアの姿をみた瞬間にコウヤは歯を食い縛り、下を向いた。


「なんで、戦う道を選んだのさ……生きて一緒になれば済んだんじゃないの……」


 コウヤはクウヤとレイシアの包まれた氷を慎重に溶かしクウヤの手の部分だけを溶かす事にした。

 冷たくなったクウヤのロストアーツ(指輪)を優しく取り外したコウヤは再度溶かした部分の氷を修復すると海底へと優しく戻した。


「もう、二人を起こす存在はいないよ……違う形で会えたなら話をしてみたかったよ、クウヤ」


 コウヤは海底に到着した二人を確認するとクウヤのロストアーツを握りしめる。

 氷のように冷たくなっていた指輪は手の温もりで次第に温度をあげる。


 コウヤが指輪を填めた瞬間、指輪からコウヤの頭の中に問い掛けるように声が響く。


『王を従えし者よ、我は主が好かぬ。だが、我が問いに答えれば力を貸してやろう』


 低く冷たいその声は、まるでコウヤを試すように質問を開始する。


『主に問う、平等な世界を作れると思うか?』


 声からの質問にコウヤは悩まずに即答する。


『無理だよ、今の世界に平等なんてないんだ……力を手にすれば人は其れを使わずには要られない』


『ならば……世界を壊し作り替えれば良いと我は思うが、そうなれば主はその世界を平等な物に出来るか?』


 そう声が質問をした時である。


『あれれ、御客さんが居るんだ……僕のコウヤに入れ知恵かい……気に食わないなぁ……しかも、質問がイライラするよ』


 コウヤの中に新たに響いた声は以前聞いたロストアーツ(瑠璃色の王)の物であり、コウヤの幼少時の声で威圧するように声から主導権を奪い去った。


『グダグダ言ってないで力を渡してよ? じゃないと砕いて2度と復元できなくするよ?』


『そんな事をすれば! お前の主は消滅するのを待つだけになるのだぞ! それでも構わないのか』


 コウヤの存在を忘れ語り合う2つの声、しかし、瑠璃色の王は呆れたように溜め息を吐いた。


『ハァ……もういいよ。僕は優しいからチャンスをあげたのにさ……身の程知らずが……僕の気がかわったよ……さよなら“時空王”……』


 瑠璃色の王はそう語るとコウヤの胸が焼けるように熱くなり、指に填められた指輪がコウヤの意思とは関係なく胸へと押し当てられる。

 押し当てられた先はロストアーツ(瑠璃色の石)であり、溶け混ざるように指輪が吸収されていく。


『や、やめよ! 瑠璃色の王! ち、力なら貸す……だからやめてくれ』


『遅いよ……時間を無駄にする余裕は無いし、それに僕は君が嫌いなんだ。おやすみ……時空王、永遠にいい夢を……』


 コウヤの胸に光る時の超越者の混じった瑠璃色の石が形を変えると時空王の指輪が覆い尽くされるように飲み込まれ一体化する。


『コウヤ……僕は君が好きだ。だから、存分に新たな力を使ってくれ、決断を先伸ばしにすると後悔しか残らない。僕は君であり、君が僕であるように世界に代わりは居ないんだ、さぁ暴れよう。コウヤ』


 そう呟かれた瞬間、全ての時が動き出したかのように皆が驚きの表情でコウヤを見つめていた。


 服がはだけ、露になる胸の瑠璃色の石は形を変化させ更なる輝きを放っていたからだ。


「コウヤさん、それはいったい! それにクウヤのロストアーツは何処にいったのです?」


 ランタンの質問に動揺するコウヤは今までの出来事が一瞬の事だった事実に気づかされる。


「瑠璃色の王が力を吸収したんだ。それ以上の説明が出来ないけど、1つ言えるのはクウヤのロストアーツの力は僕の力になったって事は間違いないよ、ランタン」


 コウヤはそう言うと時空島に集まったミカソウマの大部隊を整列させる。


 そこには、多くのコウヤを支えてきた戦士と思いを共にする仲間達の姿があった。


「ミカソウマに牙を向いた悪魔達をそして、過去の多くの悲しみと後悔を今より断ち切る。ミカソウマの戦士達よ! 改めて願う、僕に力を貸してくれッ!」


「「「オォォォォ」」」


 一斉に雄叫びをあげる戦士達、コウヤの戦闘を後押しするように皆が手を掲げる。


 そんな時、時空島の森から姿を現した一人の男、アルディオである。


「お前はッ! アルディオォォォ!」


 姿を目の当たりにしたコウヤはアルディオに向けて掴み掛かり馬乗りになる。

 しかし、アルディオは抵抗はおろか、真っ直ぐにコウヤを見つめて、喋り出した。


「コウヤ=トーラス。私は君に殺されにきた。さぁ……殺ってくれ。せめてもの罪滅ぼしだ」


 血走ったコウヤの目に迷いは無く、片手で刀を抜くとアルディオの首に目掛け刃を降り下ろす。

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