表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
亜人と歩む ~瑠璃色王のレクイエム~  作者: 夏カボチャ 悠元
第三部 光の先に見える物
261/362

調査の先に

 ミカソウマでコウヤ達がミーナの成人姿に驚かされていた頃、アルバーンへと向かっていたランタン達は追い風の助けもあり、順調に船を進めていた。


 アルバーンに近づくに連れて散乱する漂流物を目の前にランタンは不思議そうにそれを見つめていた。


「ランタン様、あの漂流物が気になりますか?」と尋ねるマトン。


「マトン、寂しいじゃないですか? ランタンと呼んでください。他人行儀は些か今は辛くなります」


「部下の手前、辛抱ください。其よりも何故、漂流物を見ていたのですか?」


 マトンの問い掛けに船から海面に向かいその場に浮遊するランタン、海に浮かぶ漂流物を手に取り船に戻るとマトンに対して漂流物を手渡した。


「マトン、わかりますか? アルバーンの民には傷1つ無かったのに対して、アルバーンの建築物は粉々に粉砕されています。幾つか仮説は有りますが敵が本気だったなら、アルバーンと言う種が根絶やしにされていたかもしれません」


 マトンはランタンの語る()()に対して首を傾げていた。

 事実を見れば、アルバーンの民を見逃したのは何時でも勝てるからと言う傲りにしか感じられなかったからである。


 ランタン仮説、アルバーンの民を逃がしたのは戦闘になると数に対して勝てない恐れがあったのではないかと言う物が1つ。

 更に仮説は続く、敵の能力に制限があり、アルバーンの民を殺す事で何らかの支障をきたす力では無いかと言う2つであった。


 普通ならば有り得ない仮説であったが、ボルトとテルガ達の部隊に一人の死者も出ていない事実を踏まえた結論から、この二点の仮説がランタンの脳裏に浮上していた。


 マトンはランタンの話から更に仮説として、本来の目的が島その物であり、何らかの目的の為にアルバーンの民を島から排除したかったのではないかと口にしたのである。


 目的を考えるランタン達は次第に増える漂流物と言う名の残害を風魔法で退かす事で道を作りながら船を進める。


 自然の風と風魔法は船の到着を早める事となり、ランタン達は1日早くアルバーンを目視できる距離まで船を進める事に成功していた。


 船からアルバーンの島国を確認するランタンはある違和感を覚えていた。

 地図を広げ、更に海図を照らし合わせるランタン。


「どうやら、敵の目的はマトンの言う通りだったようです。我らは既にアルバーンの領域にと言うより、島の上に居るようです」


 ランタンの言葉に海図を確認するマトン。


 本来ならば入口となるアルバーンの砦が双子の島にあり、本来の目的地であるアルバーン本国を守るように無数の島には防衛拠点の役割を果たす砦と小城が造られていた。

 しかし、ランタン達が目の当たりにしている島こそがアルバーン本国であり、他の島は姿を消していたのである。


 その場に碇を下ろし、船を固定するように指示を出すランタン。


「いいですね皆さん。もしもの場合は船を捨て、テレパスでミカソウマに、テレパスが使えない者は飛行魔法でなるべく遠くへ逃げてください。我々の目的はあくまでも調査であり戦闘で無いことを忘れないでください!」


 ランタンの指示でアルバーン本国に向かう30人程の第1陣メンバーが船から飛行魔法で移動を開始する。

 更にマトン達の第2陣が到着した第1陣の部隊からのライエス(念話)を待ち、テレパスで移動をする準備を整える。


 島に向かう部隊は2部隊であり、総勢が60名であり、最悪の場合は船に待機した60名の乗組員兼、戦闘兵達が命令1つで第3陣として島に向かえるように準備を整えていた。


 アルバーン本国に足を踏み入れたランタン達は島の至る所に巨大な空洞が人為的に造られている事に気づき、1つ1つを調べるのは困難だと判断していた。


 第2陣のマトン達が第1陣に合流し、島の状態を確認するマトン。


 獣人部隊の数名が空洞の中の臭いを確認しながら、しらみ潰しに空洞を調べていく。

 風魔法を使い、中の微かな臭いを頼りに確認しながら進み作業は日暮れまで続いたが敵の姿は無く目的も解らぬままにその日の調査は打ち切りとなった。


 本来ならば夜目が聞く獣人部隊と調査を続行すると言う決断も出来たが、ランタンは敵の目的が解らない以上、預かった部隊を危険に晒す訳にはいかず、その日の調査を断念する事を決める。


 島が見えなくなる位置まで船を移動させたランタン達は見張りの数を普段の倍にして短いサイクルで交代しながら朝まで船の安全を確保する。


 二日目の朝、ランタンは朝日が登ると同時に船を島に再度向かわせていた。

 そんなランタン達は遠くに姿を現らわした巨大な透き通るゴーレムを遠目で確認する事となる。


 アルバーン本国を軽々と見渡せる程の巨大なゴーレムが一瞬で弾けるとまるで洪水が天から雨に為ったかのようにアルバーン本国に降り注ぎ島を真上から削り取っていく。

 更にゴーレムが3体姿を現し同様に弾けるとアルバーン本国は次第に海水に削られ姿を消していく。


 巨大な津波に姿を変えるゴーレム、しかし、一定のサイクルでゴーレムが再修正し海面は穏やかさを保っている。


「もし、あれがシアン大陸を襲えば、ミカソウマだけでなく、シアン大陸その物が無くなるやも知れません。調査は中止、直ぐにミカソウマへ帰還します!」


 ランタンは海上での戦闘は被害拡大を意味すると即座に判断し船をミカソウマへと向かわせる。幸いだったのは敵にランタン達の船が見つかっていなかった事である。

 しかし、ランタン達が目の当たりにした光景は最悪の場合、ミカソウマその物の存続を揺るがす驚異であり、ランタンは急ぎ対策を考えねば成らぬと頭を悩ませるのであった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ