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亜人と歩む ~瑠璃色王のレクイエム~  作者: 夏カボチャ 悠元
第三部 光の先に見える物
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過去への決別

 コウヤ、そしてロナ。

 互いに絡み合う運命は両者を戦場に再度呼び戻しその拳を、剣を、向かい合わせるように手繰り寄せる。


 顔を向き合わせた二人には、既に笑みは無く、只の敵である事実を再確認するかのようにコウヤが、そしてロナが得物をぶつけ合う。


 1つ違っていたのはロナの手には背中からその手に握られた銀色の大きな槍が輝いている。


 コウヤの刀を受け止めて尚も刃こぼれ1つ傷1つ付かぬ槍。


「フフッ、驚いたでしょ! コウヤ=トーラス……アンタをズタズタにする為に手に入れたの……最強の槍“槍の王ザルガヌ”、アンタを倒す為のロストアーツよ」


「ロストアーツ……それが何だって言うんだ、ロナ……僕が悪夢を終わらせる!」


 激しく剣と槍がぶつかり合い、互いに感情を剥き出しにする。

 感情が表情に現れ、ロナの歪んだ笑みはコウヤに向けてその口を大きく開く。


「アンタに、アンタに私の何がわかるのよッ! 悪夢を終わらせる? なら終わりなさいよ……私の悪夢はお前だァァァッ!」


「ロナァァァッ!」

「コウヤァァァッ!」


 ガギンッ!

 激しい金属音は火花を散らせながら何度も悲しき音色を奏でていく。


 互いに滴り落ちる額の汗。

 どちらかが死ぬまで続くであろう攻防戦は更に激化する。


 そんな最中、ヴァルハーレンとブラッドマンが対戦を再開する。


 そして四将、ボルト、テルガ、ギリオン、ガザが各々の敵を前に戦闘を開始する。


 ボルトの前に立ちはだかったのは女であり、その顔を見た瞬間、ボルトは目を疑った。


 そこには、ボルトの今は亡き姉、チゼル=レンチの姿があったからである。


「な、何で! お前は誰だ、何故その顔をしてる!」


 動揺しながらも剣を抜き目の前の姉と同じ顔の女に剣を向ける。


「酷いわ、私に剣を向けるなんて……優しい貴方らしくないわよ? ボルト」


 声は間違いなくボルトの姉の物であり、手に握られた剣は小刻みに震えている。


「震えるなら、戦いなんて辞めなさいボルト……私の言葉を聞いてボルト」


「その言葉……本当に姉さんなんだね」

「ええ……だからお願い……ボルト」


「死んで……」ボルトは自身の耳を疑った。

 その瞬間、腹部を焼くような痛みが襲い、目を向けた先に赤く染まるチゼルの手に握られたナイフ。

 引き抜こうとするチゼルの手を掴むボルトはその血の気の無い冷たい手を握った瞬間、目の前の姉が姉であって姉でない事実を知る事になる。


 死人……ボルトは泣きながら、2度目の姉の死を目の前にする。

 そして、2度目の姉の死はボルト自身の手で下された。

 もう、この世界に迷わないように完全にチゼルの肉体を灰にしたのである。


 ボルトの心に生まれるアルディオへの憎悪、そして新たに生まれた悲しみ、赤く染まった腕で刺された腹部を押さえながら涙を流した。


 他の面々も同じように自分達の過去と向き合う事になっていた。


 そして、皆が過去を断ち切るように戦う中、地面に膝を付き倒れ込むガザの姿があった。


 ガザの目の前に立つ女、ガザの元副官でありジュレムの戦いで命を落とした存在。

 元仲間をガザは斬れなかったのである。


 

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