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亜人と歩む ~瑠璃色王のレクイエム~  作者: 夏カボチャ 悠元
第2章 獣人の森 ダルメリア
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暗闇の中の希望

読んで頂きありがとうございます。(〃^ー^〃)皆様にいつも、感謝しています。

ーー今……僕は……いったい此処は何処だろう……


 コウヤの意識は深く真っ黒い世界にあった。


ーー此処には……光がないのか……太陽もない……月もない……星もない……真っ暗だ、折角……俺にも光が、太陽と月が……星の輝きが見えたのに……全てが無くなったんだ……


ーー嫌だよ……こんなの嫌だー! 寂しいよ、一人は寂しいんだよ……怖いよ……誰かぁぁぁ! ……返事してよ……



 そんなコウヤの心の叫びは闇の中に吸い込まれながら、無情に消えていく……


ーー僕は一人でずっといるのかな……


 押し潰すように孤独と恐怖が黒い波となり押し寄せる。

 コウヤはその中で暗闇にゆっくりと、そして確実に浸食されていく。


ーー僕はもう……疲れたよ……静かだなぁ……母さんのシチューが懐かしいや……


「コウヤ、コウヤってば? 早く食べちゃいなさい、片付かないわ」


ーーあれ、母さん?


 コウヤはいつもの自分の席に座っていた。


「どうしたの、コウヤの大好物よ食べないの?」

 目の前の食卓にはシチューと焼きたてのパンが並んでいた。


「ダメだぞコウヤ、ちゃんとミカさんの料理を食べないと強くなれないぞ!」


ーーソウマ?

 言われるがまま、シチューを口にした。


「美味しい!」


「そりゃあね! 母さんのシチューは世界一ですもの」

 そう言いミカは微笑んだ。


「確かにミカさんのシチューは世界一だな! 道場から飯屋に転職したらきっと、繁盛間違いなしだな!」


「もうソウマさんたら、でもありがとう。嬉しいわ」


 不思議な光景だった。先程までの暗闇が突如として消え去り、明るい食卓に溢れる笑顔、何時もと変わらない休日のような光景。


…………「生きて」…………


「え?」


 コウヤの耳に確かに声が聞こえた。


「どうしたの? 何か聞こえたの」


 そう尋ねるミカ。


「俺には何も聞こえないが? コウヤは耳が良いからな?」


ーーソウマと母さんには聞こえなかったんだ?確かに僕には聞こえたんだけどな。


『生きて』と聞こえたのはそれきりだった。


 それから毎日毎日があっという間に過ぎ去っていく。

 どのくらいの時間が過ぎただろうか、いつの間にかこの世界のずれに気付けなくなっていた。


 この世界には朝と夜しか無いことにいつの間にか違和感すら無くなっていく。

 毎日朝が来る。そして朝食が終わり、扉を開け外に出ると夜になり、出た筈の扉から家の中に戻っている。


 外に出て学校に行ったような感覚はあるが一瞬で家に戻っている。


 そして、晩ごはんが始まり、眠りについた次の瞬間に朝が来る。


そして、同じように時間が過ぎていく。


「さあ、コウヤの大好きなシチューよ。沢山食べてね」

「おおお! 今日はシチューですか。ミカさんのシチューは世界一美味いですな」


ーーあれ、ソウマと母さんのこの会話? 確か昨日も聞いたような?


「あら、コウヤ食べないの? コウヤの大好きなシチューよ?」

「ダメだぞコウヤ? ちゃんとミカさんの料理を食べないと強くなれないぞ!」


ーーこの会話、確かに僕は聞いたことがある!


「母さんソウマ! 今日は何日!」


「コウヤ、いきなりどうしたの?」

 二人は言葉を濁し、何も無かったかのように振る舞った。


「僕は何で気づかなかったんだ!」

 コウヤは立ち上がり玄関の前に立つ。


「二人には感謝してるよありがとう、ハアァァァ!!」


 一気に体内の魔力を掌から放出すると扉が壊れ外が見えた。

 真っ暗な暗闇で先が見えない、闇の世界が目の前に広がっていく。


「いくのね、コウヤ……」

「コウヤ迷うなよ、迷えば全てが終わるんだ、自分の信じるままに進むんだ。いいな」


 二人が哀しそうに見つめている。


「僕は大丈夫だよ、行ってきます。あとまた会おうね!」


 暗闇の中に足を踏み出すと、その瞬間、世界に音と香りが満ち草木の香りと木々のなびく音が聞こえた。


 懐かしい香りに包まれながら体外魔力を発動する。

 コウヤの良く知る景色が其所にはあった。


 月の光と星ぼしに照らされ風と共に葉が宙に舞う。

 その光景を目にした瞬間、眼には涙が溢れていた。


 コウヤの目の前に大樹の姿が現れ、木の枝に人影があるのが分かる。


「やっと来てくれたね、コウヤ」

 その声を聞くのはこの世界に来て2回目であった。


 月明かりに照され、風に髪を靡かせたその姿をコウヤは知っていた。


 そんな姿をしているのは一人だけだ。

「待たせてごめん、ミーナ」

 その声にミーナは涙した。


「君はいつも……私に心配を掛けるんだから、本当に悪い子だよ」

 ミーナはそう言い泣きがら笑った。

 コウヤの側に降りてくるとミーナはコウヤを抱きしめた。


「私をこんなに心配させて、本当に心配したんだからね、わかってるのかな」

 ミーナはそう言うと涙を流しながら再度、強くコウヤを抱きしめた。


「本当にごめん、でもミーナの声が聞こえたから、僕は今此処にいるんだよ。ありがとう」


 そう言い微笑むとミーナは笑った、その無邪気な笑顔にドキッとするコウヤ。


「許してあげる、死なないでくれてありがとうコウヤ……お帰りなさい」


「ありがとう、ミーナただいま」


 次の瞬間、世界が光に包まれたのであった。

読んで頂きありがとうございました。

感想や御指摘などありましたら、お願いいたします。


気に入って頂けたなら、ブックマーク等もしていただけたら、幸いです。


読んで頂きありがとうございました。(〃^ー^〃)

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