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亜人と歩む ~瑠璃色王のレクイエム~  作者: 夏カボチャ 悠元
第三部 光の先に見える物
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コウヤの戦い

 コウヤとブラッドマンが向かい合う中、動いたのは両者のどちらでもない。


 その巨大な矛を大胆に大振りし、ブラッドマンの胴体を切り裂いたのはヴァルハーレンである。

 ブラッドマンの赤いシルクハットが地面に落ちると同時に2つになったブラッドマンが倒れ込む。


「すまぬな、赤いの! だが、貴様には、戦士としての香りを感じぬのだよ」


 矛を地面に突き立てそう語るヴァルハーレン。


「いやはや、手が早いのは素晴らしい事ですが、些か切り口が荒いようで? 綺麗に切断するには速さだけでなく、切るポイントを確りと意識せねばいけません」


 切られた筈のブラッドマンは何事も無かったかのように立ち上がり、落ちたシルクハットを拾い頭に被る。


「そうそう、ヴァイキングさん? 油断は身を滅ぼしますので御注意ください、ほら?」


「クッ!」


 ブラッドマンの言葉……矛に付着した血液が滴り落ちたヴァルハーレンの拳、その中から拳を貫くように細い血液の針が無数に姿を現し激痛がヴァルハーレンを襲ったのである。


「実に立派ですね。普通ならば私の血に貫かれれば、肉体を中から焼かれるような激痛で悲鳴をあげるのですがね?」


 武器を握ったまま、大きな拳にその威力を刻む無数の穴と歪んだ表情、しかし、矛をそのまま、ブラッドマンに向けるヴァルハーレンは激しく矛を振るい一歩も引こうとしない。


 そんな最中、ブラッドマンの後方から姿を現したアルディオの部下達。


「やあ、指揮官殿、いや、魔王コウヤ=トーラス」


「ディノス=アルディオ!」


 互いに顔を合わせ名を語ると両者は一触即発寸前であり、ヴァルハーレンとブラッドマンも一旦距離をあける。


 小さな島の中心に相対した両者の手勢は島を簡単に消滅させる程の力を有しており、其は言葉にしなくとも両者が推測するに時間など必要としない程の事実であった。


「悲しいなぁ、力ある者同士が戦わねば為らないなんて、争いは強き者が弱気者を導く為の儀式みたいな物だと考えてるんだが?」


 そう語るアルディオの横にはロナの姿があり、静かにアルディオの話を聞きながら頷いている。


「ふざけるな……何が導くだ! ガンドラを殺した殺人鬼が正義だとでも言う気なのか!」


 コウヤの怒りは激しく燃え上がり、今にもアルディオに飛び掛かりそうになっていた。

 握った拳は余りの力に爪が食い込み、血が地面に滴る程であり、ブラッドマンはそんなコウヤを早く狩りたいと身を震わせるように我慢しているのは誰の目にも明らかであった。


 全てを語る必要は無いと前に出るアルディオ側の男が一人。


「早く殺りましょうや、こんな餓鬼が魔王だなんて、俺が八つ裂きにしてやりますよ。アルディオ様」


 しかし、次の瞬間、男はその口を塞ぐ事が出来なくなっていた。


 ブラッドマンが男の顎を力任せにネジ切り、そのまま男を解体したのである。


「アルディオの話を割るなど、どれ程無価値なのですか? 次に生まれ変わる為らば殺されぬように、最後まで我慢する忍耐力を身に付ける事をオススメします」


 アルディオはその光景に頭を抱えながらも話を進める。


「どうだろう? 御互いに今まで多くの犠牲を払ってきたんだ。手を組まないかコウヤ、君となら世界を手に入れられる」


 そう語るアルディオは淀んでいながらも黒い瞳に邪悪な太陽を輝かせるようにそう提案する。


「僕はお前と組む気は無い……ディノス=アルディオ、お前だけは絶対に赦さない! ガンドラの仇は絶対に取る」


 交渉が決裂し、互いに話すことが無くなったと理解すると互いに兵をぶつけ合うコウヤとアルディオ。


 二人の戦いが始まるとそれを合図に両者が全力でぶつかりあっていく。


 激しい切り合いは更に激化し、大地に倒れる両者の戦士達。

 剣が擦れ合い盾に弾かれる金属音、全てが激しさを増す最中にコウヤ自身はアルディオに向かい切り掛かる。


 そんなコウヤの一撃を受け止めた存在、ロナ=アーマイル。


 因縁の戦いが再度ぶつかり合おうとしていた。


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