危険な香りの赤き紳士2
ブラッドマンは、その細い腕をガンドラに向けると指を伸ばし指さした。
「いやぁ、実に痛々しいですねぇ、私が救ってあげようじゃないですか」
ブラッドマンが語り終わる前に既に力を使っていたのだ。
「ぐあぁぁぁーーぁぁ……」
ガンドラは突如苦しみの断末魔をあげると体色は次第に白く代わり残った上半身が次第に粉へと変わっていく。
「ガン……ドラ……っ……ガンドラァァァ!」
コウヤの叫び声を聞き頭をあげるブラッドマン。
「おや? 別れを済ます時間は合ったと考えておりましたが、まだでしたか? ですが彼も解放されて幸せでしょう、なんせ随分と放置してましたので」
ブラッドマンの発言はコウヤの理性を暴走させるように頬を引き上げ歯を剥き出しに微笑んで見せたのである。
その瞬間、コウヤの頭の中にエレの森での戦いが甦り、師であり父となったソウマの死を連想させた。
ガンドラと言う友を完全に消滅させられた瞬間にコウヤの中で感情が音を発てて砕け散っていく。
「オマエェェェェッ!」
何処までも沸き上がる底知れぬ怒りと憎悪に駆られ、刀を握り走り出すコウヤを全力で制止するガザ達四将、其れを振りきろうとするコウヤは冷静さは既に無くテレパスすら忘れ目が血走っている。
「離して! アイツは、アイツだけはッ!」
「落ち着きなせい! コウヤさん。誘いにのれば、相手の思うつぼじゃないですかい」
両手をギリオンとボルトが、背中からはテルガが、前方にはガザが、四将が総出でコウヤを何とか押さえる最中、更に1歩を踏み締めて進もうとするコウヤの力は瑠璃色の王が同調しヴァーバリアンと同様の怪力を発揮しており、それに気づいたヴァルハーレンが後ろに引っ張り戻す。
その時、ブラッドマンの手前の土が大きく盛り上がり真っ赤な牙が虎ばさみの如く口を閉じるとコウヤとブラッドマンの間に大きな穴が出来上がっていた。
「おやおや、時間切れで口を閉じてしまいましたか? あと3歩程だったのに大変に残念です」
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ブラッドマン、彼は戦いを娯楽とし相手の苦悩を最高の美徳するサディストであり、強者を求める戦争屋、傭兵である。
コウヤはその存在を知らないがブラッドマンはコウヤをよく知っている。
本来ならば、ナンバーズの代わりにコウヤの暗殺に出向く筈だった男であり、実力だけを語るならばアグラクトの六将を遥かに上回る。
快楽を求めすぎる性格が余りに強すぎなければ将軍にすら成れただろう……
だが、ブラッドマンは戦場の自由を望み、数多の部隊を渡り歩いてきた。
当時の命令は、交戦地での殲滅作戦だったが、全てを破壊し尽くす戦い方……
ブラッドマンは自分以外の全てつまり、敵味方構わず全ての兵士を喰らい尽くしていった。
最終的にアグラクトからの暗殺リストに名を連ねる事となる。
誰もが返り討ちに合い死を与えられる中、賞金が懸けられる事になると更に激しくブラッドマン狩りが続行される。
そんなブラッドマンの前に姿を現したのが、死将アルディオであった。
「退屈な戦場は終わりだよ。ブラッドマンさん、楽しい戦争を一緒にしないかい?」
ブラッドマンは笑いながら答えた。
「用意出来るのですが? 貴方に其ほどまでに極上の御馳走が?」
「もし、用意出来ない時はこの首をあげます。以外に価値がありますから」
ブラッドマンは笑いながら其れを受け入れたのである。
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「実に最高の戦争が出来そうで、いい風を感じます」
ブラッドマンは更にニヤケて微笑んだ。




