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亜人と歩む ~瑠璃色王のレクイエム~  作者: 夏カボチャ 悠元
第三部 光の先に見える物
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悲しきクレアルバディア共和国2

ーークレアルバディア共和国城内


 慌ただしく過ぎた3日間、コウヤはミカソウマをランタンとヴァルハーレンに任せると魔王軍の半数を連れ帰還させていた。

 キリシマはコウヤの頼みを受け入れた事もあり、クレアルバディア共和国内の治安の安定と整備などに力をいれ始めていた。そんなキリシマの心配はアルタラムの事であった。

 ミーナ達魔王軍の回復魔法と医療魔法で私生活に問題ないまでに回復したが体力は衰えたままであり、暫くの間はリハビリ生活を余儀無くされていたからだ。

 一番心配されたのは視力である。長い暗闇での生活に視力の低下と日射しに対する眼球のダメージを危惧されていたが無事に視力も保ったままであった。


「アルタラム、無理はいけないぞ? まだ病み上がりなんだからな」


「キリシマさん、ありがとうございます。ですが、休んでいては民に要らぬ不安を与えます。僕は2度も同じ過ちを犯すわけにはいかないのです」


 アルタラムはキリシマの率先して行動する行動力と真っ直ぐな性格に心をゆるし、新たな信頼関係が生まれ始めていた。


「僕は未だに不思議でならない。魔王コウヤ=トーラス、あの方は何を考えているのでしょうか。アグラクトを滅ぼした魔王でありながら人の世を正そうとするなんて」


 キリシマに問い掛けられるアルタラム。それを聞き、首を傾げるキリシマ。


「俺にもわかりらんが、コウヤは間違いなく魔王なんだよ、しかも危うい子供なんだ……真っ直ぐに世界を怖そうとしたなら、世界は終わるだろうな」


 冗談めいた口調でそう語るキリシマの目は笑っていなかった。


ーーーーーー

ーーーー


 そんな、コウヤ自身はカラハ大陸に現在も存在する小国やアグラクトの爪痕が刻まれた国々を回り、カラハ大陸の統一を訴えたのである。


 突如現れた魔王軍にどの国も武器を構えたが、争いになれば敗北は火を見るより明らかであり、対話の席を設ける国が殆どであった。


 対話になると各国の王達の反応は様々であり、素直に受け入れる国とコウヤを言葉で欺こうとする国が当然現れる。


 コウヤは対話の際に「この場で嘘を口にすれば、命で国の安全を買うことになります」と先に語っていた。


 賢い王は嘘を述べず、愚かな王はラシャのロストアーツ(心眼)により嘘を暴かれていく。


 勿論、提案を拒む国も現れる。


 提案を拒んだ国に対して「争いを起こせば、魔王軍は全力で力を振りかざします」と釘を刺していった。


 コウヤは僅かな間にカラハ大陸の争いの種になる国を次々に訪問し戦意を砕いていったのである。


 そして、コウヤは砂の都 スラムルダンを訪れていた。


 しかし、既にスラムルダンに人の姿は無く、無惨に積み上げられた屍の山が無数にあるだけでであった。


 同行していたボルトは驚愕する事となる。スラムルダンの至る所に書かれた言葉は“デノモルグルド帝国”で使われるエルフ文字だったからである。


「コウヤ殿……この国を落としたのは、私の知るエルフやも知れません……」とボルトが呟くとコウヤは頷いてみせた。


「ボルト、最悪の場合……」


「分かっています。その時は私自ら動きます」


 そんなコウヤ達は全ての国を回り、クレアルバディア共和国に一旦帰還したの7日後の事であった。


 その間、幾つかの襲われた集落や国を目の当たりにしていた。

 スラムルダンと違い生存者も多く話を聞くことの出来たコウヤは初めてダークエルフとエルフの集団の存在を耳にする事になり、それはボルトの言葉と一致していた。


 生存者が語るのは「偉大なる英雄の邪魔をする王と邪魔する者は全員殺す」と最初に宣言されたと言う事実であった。


 そして、王族と逆らう者は悉く(ことごとく)殺されたと聞かされる。


 カラハ大陸最大の驚異となったダークエルフとエルフの集団、その王であるエデル=ガルデンの存在をコウヤが知った瞬間であった。


 まるで道しるべを残すようにして戻り着いた先こそクレアルバディア共和国であり、コウヤの中で危機感が膨れ上がっていく。


 いつ来るやも知れぬ敵の存在に警戒を強めるコウヤはキリシマにアルタラムの護衛を頼むとコウヤ自ら防衛の指揮を開始する。

 ミーナ達、八嫁が各隊の指揮を取り四将であるボルト、テルガ、ギリオン、ガザがコウヤと共に最前線となったなる正門に陣を構える。


 世界を一度は怨み、全てを破壊しようと考えた魔王。

 その魔王を英雄と憧れ、世界を変えようとする新たなる王。


 互いに目指すのは平和である……純粋な心は純粋に闇に染まる。


 コウヤは自分の過去を目の当たりにするような気持ちを感じながら敵であるエデルの存在を考えていた。


 争いになる覚悟を決めねばならないと……

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