涙の再会。アイリとコウヤ1
圧倒的な戦力差を前に城外の戦闘は終了した。
最後まで抵抗していた銀色の騎士達もヴァイキングとバーバリアンの前には無力であり、その体を土に返す事になった。
城内では、王を探すコウヤ達の姿があり、ガザ達が上への階段を登り始めると、コウヤ達は地下に続く階段を下りていた。
地下の階段の鍵は既に壊され、先に無理矢理入った者が要ることを物語っていた。
次第に地下の牢獄が見えて来る、一行が眼にしたのは、無惨に切り裂かれた銀色の騎士の変わり果てた姿であった。
「こいつは……多分だけど、四人とも一斉に切られたんだ」
キャスカの推測は後ろから現れた敵に四人で襲い掛かり返り討ちにあったのであろう、という物であった
更に壁まで難なく斬り掛かれる程の鋭利な刃物を武器としている事も状況から判断できた。
一行は警戒しながらも更に奥にある階段を下へ、最下層まで一気に下っていく。
最下層の入り口に横たわるジュネルバ王は未だ息があり、ディアロッテが拘束する。
コウヤとキャスカは更に先を目指していく、最下層は、牢獄と言うよりも家畜小屋に近い嫌な異臭が漂い、コウヤとキャスカが吐き気を催す程であった。太陽が当たらず、不衛生な環境を目の当たりにした二人は絶句した。
暗い牢獄の中から這いずるような音が聞こえ其れは次第に鉄格子に近付いて来ていた。コウヤは、火炎魔法を使い、地下の蝋燭に火を灯す。
炎に照らし出されたのは年端もいかぬ子供達の姿であった。
子供達の姿にコウヤは絶句し、後退りをしていた。子供達の手足は切断され、辛うじて這いずるの出切る程度の長さが残されていた。
「お願い……もう……イヤなの……」「痛いのイヤなの……」「お願いだから、死なせて……」
子供達の悲痛な叫びにコウヤは恐怖した。意味が分からず目の前の子供達の言葉が頭に入る度に吐き気を催すような感覚に襲われていた。
そんな二人の方に向かって最下層の奥から聞こえてくる足音。
混乱するコウヤを守るようにして前に出るキャスカは両手に剣を構え、近付く足音に備える。
蝋燭の光が照らし出したその顔はランタンであった。
ランタン事態も最下層で会うのは予想外だったのか驚いた様子を見せた。
「一番御逢いしたくない場所で会ってしまいましたね……不覚でした。どちらにしても、私が呼びに行く前に此処に来るのは予想外でした」
「どういう事なんだい? ランタンらしくないねぇ」
キャスカの言葉に下を向くランタン。
「ええ、コウヤさん……大変申し上げにくいのですが……妹君は……その……人としての生活は困難な状態になっています……」
「……何処にいるの……アイリは生きてるんだよね……パンプキン?」
震える声でそう尋ねるコウヤ。
「生きては居ますが……逢われるのは賛成致しかねます……」
「この先にアイリがいるんだね……」
黙ったまま頷くランタン。
ランタンの言葉を聞いて直も止まらぬコウヤをランタンは止めなかった。コウヤが走り出した後、キャスカに一言「側に行ってあげて下さい……コウヤさんが壊れないように」
キャスカが急ぎコウヤの後を追いかけた矢先、「アイリィィィィッ!! うわぁぁぁ!!」最下層にコウヤの断末魔にも声が響き渡った。
キャスカが駆け付けると激しく壊された檻と震えながら丸くなるコウヤの姿があり、その手に抱かれていたのは辛うじて息をする小さな少女の姿であった。
手足は言うまでもなく、背中には酷い火傷、片方の目は既に光を失っていた。人の形を保って要るが無惨な姿と言う他なかった。コウヤは自身の上着をアイリに被せると一旦その場に寝かせた。
「キャスカ……アイリをお願い……一人にしたくないんだ……少しだけ見ててあげて」
コウヤの血走った目からは今にも涙が溢れだしそうになっていた。
そんなコウヤを呼び止めるランタン。
「ケジメを取るのですか?」
「ケジメなんかじゃない……赦せないんだ……ただ赦せないんだ……あの王もこの国も……全部……」
コウヤはジョネルバ王の前に立つと魔導銃を構えた。
ディアロッテが慌ててそれを止めた。
「コウヤさん、落ち着いて下さい……今のコウヤさんは冷静じゃありません!」
「ディア……お願いだから……止めないで」
「止めます……今のコウヤさんにその引き金を引かせる気はありません」
コウヤの目の前に両手を大きく伸ばし立ちはだかるディアロッテの目は本気であった。
「なんで……なんで……そんな奴をかばうんだよ、……ウゥ……そんな奴……居ない方がいいに決まってるのに……」
コウヤは魔導銃が床に落ち。同時にコウヤも膝をついて行き場のなくなった感情が涙に変わっていく。
「よしよし、泣かないの……コウヤさん。いっぱい頑張りすぎです……大丈夫だから」
その時、意識を取り戻したジョネルバ王がコウヤの魔導銃を拾い上げて二人にその銃口を向け引き金を引いた。




