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亜人と歩む ~瑠璃色王のレクイエム~  作者: 夏カボチャ 悠元
第二部 魔界偏 新に掴むべきもの
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新たなる大陸その名ジュレム4

「キャスカ様ァァァ! コウヤさん!」


 船にテレパスで現れたディアロッテが船を即座に停止させる。コウヤが訳を話すと二人はその場で正座をさせられた。


「何を考えているのですか!」


 叱られる様子を大人しくビッグシザーの上から眺めるミーナ達はディアロッテの恐ろしさをまじまじと感じるのであった。


「さて、コウヤさん、話はわかりました。ですが、此のまま二人だけで行かせるわけには行きません! 私達も付いていきます」


 その言葉に全員が頷き、にっこりと微笑んだ。


 コウヤの意見はディアロッテに全否定された。

 結果、その場にいる船長以外の七名でセテヤを目指すことになったのだ。


 船の護衛はビッグシザーが行う為、他のモンスターも魔物も船に近づく事は無く、セテヤまでは安全な航海になった。


 セテヤの港街が見えてくると船長が大声をあげた。


「見えてきたぞ! セテヤ大陸最大の入り口、ユウインダルスだ」


ーーユウインダルス


 ヴァイキングの国にして、セテヤ大陸最大の港街のある大国である。

 印象や名前と違い、漁業や漁等を営み、狩りをする事で毛皮などを物々交換の素材等とする。

 ドワーフとは深い信頼関係にある事もあり、ユウインダルスの都には巨大な建造物や城も建造されていた。

 港の先に見える一面の大地には広大な田畑が広がり農業も盛んでいる豊かな大陸である。


ーーーー


 船がセテヤ大陸に近づくとユウインダルスの港から巨大なガレオン船を筆頭にヴァイキング船が次々にコウヤ達目掛けて突っ込んで来た。

 出迎えで無いことは誰の目にも明らかな程に『ウオォォォォ!』と殺気だったヴァイキングの声が海に響き渡る。


 彼等の余りの迫力に船長が船を迂回させようとするも一斉に船に目掛けて投げ放たれたアンカーが凄まじいスピードで船体に突き刺さる。


 船はあっという間に身動きが取れなくなり沈黙した。


「いったいなんなんだ! なんで、僕を攻撃してくるんだよ」


 コウヤの質問に船長が即答する「魔物を連れてるからに決まってるでしょ!」


「「「アアアァァーーァァアアア」」」


 一斉に声をあげるコウヤ達。


 船には既に逃げ場はなく。迫り来るヴァイキング船が次々にアンカーを引っ張り、凄い力で船を引き寄せていく。


 同時に響き渡る荒々しく感情を剥き出しにしたような叫び声。


「聞けいィィ! 不審船に乗りし魔物使いよ! 我等ヴァイキングの国に攻めいった事を今より後悔しながら散るがいい! 我等が力を思い知れ!」


 一斉に射ち放たれる弓矢か船に当たる瞬間、ミーナが仕方無いと言わんばかりに植物魔法(プラント)を船体に発動する。

 船体は一気に草木に覆われ、更にアンカー部分を天高く大樹の如く成長させ、船底は海底に一気に根を張ったのだ。


 船にアンカーを撃ち込んだ船が次々に宙吊りになると振り落とされまいと必死にヴァイキング達が船にしがみついていた。


 その光景にガレオン船に乗っていたヴァイキング達は、海の王が攻めて来たのだと息を呑んだ。


「あの……僕達は敵じゃありません。攻撃を止めてもらえませんかァァァ!」


 コウヤの声にヴァイキング達は動揺するも、天高く伸びた樹木の天辺に居るコウヤ達に届く矢はなく、更に宙吊りにされたヴァイキング達の安否もあり、已む無く停戦を受け入れた。


 そんな時、セテヤ大陸の北側から無数の小型船が加勢に姿を現したのだ。


 コウヤ達の乗る船の周りを無数の船が囲む中、静かにそして、ゆっくりとミーナが魔法を解除していく。

 海にヴァイキング船が着水するとヴァイキング達は約束通りに武器を収めた。


 貨物船を睨み付けながらも約束を無下にしないヴァイキング達を見て、コウヤも胸を撫で下ろした。


 そんなコウヤ達に小型船から驚いた様な声が向けられた。


「コウヤ王じゃないか?」と声を荒げたのは、ドワーフの指揮官のボルドアであった。


「あっ! ボルドアさん。お久し振りです」


 ボルドアに笑いながら手を振る光景にヴァイキング達が唖然とする中、ドワーフリーダーのデトルムがガレオン船に出向き、コウヤ達の素性を伝えると一気に誤解が解け、コウヤ達はユウインダルスの来賓(らいひん)として扱われる事になったのだ。


 ボルドアとデトルムのお陰で事なきを得た一行は、ユウインダルスの王と会うことになる。

 直ぐに迎えの馬車が数台、港に姿を現すとコウヤとボルドア達はユウインダルスの城へと向かうのであった。


ーーヴァイキングの国(ユウインダルス)の王。ヴァルハーレン=ドレイム


 ヴァイキングの王であり、偉大な戦士である。

 敵を豪快に切り裂く姿は『ヴァルハーレンを止める物無し』と囁かれる程であった。

 戦を自ら好む性格ではないが一度(ひとたび)戦場に赴けば、自身の肉体がどれ程の刃に晒されても倒れる事をしらない事から『無痛の王ヴァルハーレン』とセテヤ大陸に名を轟かせていた。


 その事を事前にボルドアから聞かされたコウヤは、緊張した面持ちでヴァルハーレンの待つ王の間に足を踏み入れるのであった。

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