新たなる大陸その名ジュレム1
祭りが終わり、賑やかに彩られたミカソウマもいつもの落ち着いた朝がやってくる。
太陽のしたで港の状況を確認するコウヤとボルト。
「ねぇ、ボルト。港街って凄いよね!」
「いきなりですね? 確かにバライム大陸で港街を此処までの規模で造った事実は相当です」
コウヤの狙いは的中し、ミカソウマの港には魔族達が賑わい、亜人達が船を使い漁をするようになっていた。
ミカソウマは順調に国として起動していたのだ。
そんな時、コウヤを訪ねてランタンが姿を現したのだ。
「パンプキン! アハハ。久しぶりだね!」
ランタンを見て走り出すコウヤ。
「お久しぶりです。立派に成られましたねコウヤ王」
そう言うと会釈をするランタン。
「パンプキン……王何てやめてよ? 僕とパンプキンはそう言う仲じゃないでしょ!」
「相変わらずですね、嬉しく思いますよコウヤさん」
挨拶を終えたランタンがコウヤと二人で話があると言い、場所を移動する。
ミカソウマの客室の中にランタンを案内すると、コウヤは、ボルトに部屋の外の警護を任せた。
二人きりになった部屋の中、ランタンがうつ向きながら、コウヤにある真実を告げた。
「大変、申し上げ難い事ですが、コウヤさんの妹君、アイリ=トーラス様の詳細が判明致しました」
コウヤの表情が変わり、深刻な顔つきに変わる。
「妹君は、セテヤ大陸の先にある、ジュレム大陸に奴隷として売られた事が判り直ぐに足取りを追跡しましたがジュレム大陸の大国、ジュネルバからの足取りが掴めなくなっているのです」
そう語るランタンの表情は暗く何かを口にするのを迷っているようにコウヤは感じていた。
「パンプキン……何か他にあるんだよね……話してよ」
そのまま下を向いたまま「妹君は……既にこの世にいない可能性があります」と口にした。
唇を噛み締め必死に感情を堪えるコウヤの眼には涙が溜まり始めていた。
「私はもう少し調べるつもりです」
「ねぇ、パンプキン……ジュレム大陸ってどんな所なの……」
静かにそう訪ねられ、「人間が支配する大陸です」と言う言葉が小さく囁かれた。
報告を終えるとランタンは其のままジュレム大陸に向かうと言い残しミカソウマを後にした。
コウヤは皆に内緒でジュレム大陸に向かう計画を密かに進めていた。
しかし、いきなり王が居なくなれば、一大事に発展することは明らかであった。その為コウヤはボルトにロストアーツの指輪を手渡したのだ。
「コウヤ殿? これは」
「ボルトごめんね!」
コウヤはボルトに催眠魔法を掛けると自室のベットに変化させたボルトを寝かした。
コウヤは一人ミカソウマの港からセテヤ大陸に向かう船に乗り込み、其処からジュレム大陸に移動しようと考えたのであった。
ゆっくりと自室を抜け出し、門番の入れ替わるタイミングに一気に城門を駆け抜けるコウヤ。
城から度々抜け出すコウヤのテレパスを防ぐ為に夜になると城門の周りには魔力無効かの魔方陣が発動するようになっていた。その為、コウヤは用意周到に計画を練ってから事に及んでいた。
無事に城門を抜けて、走り出そうとするコウヤ。
そんな時、服をいきなり後ろから掴まれたのだ。
「え?!」
焦って振り向くと服を掴んでいたのは街で酒をのみ、酔っぱらったキャスカであった。
「何してんのよ? コウヤ」
動揺するコウヤは素直に訳を話すとキャスカが泣き出したのだ。
「辛いよな、妹がそんな目にあってるなんて! コウヤの妹は私の妹でもある! 直ぐに行くぞコウヤ」
キャスカはコウヤの手を引き上機嫌で走り出した。
そして、セテヤ大陸に向かう船を見つけるとキャスカが交渉をまとめ、直ぐに乗船する事が出来たのだ。
キャスカの交渉はシンプルに金貨数枚を散らつかせ、無事に着いたら残りはセテヤの仲間が払うと言いくるめたのだ。
キャスカの選んだ船は客船ではなく、果物等を運ぶ貨物船であった。
コウヤとキャスカは果物の積んでいない部分を自由に使わせて貰うことになり、セテヤ大陸までの五日間を過ごす事になるのであった。
次の日に目を覚ましたキャスカが状況が分からず悲鳴をあげた。
「どうなってんだい! 此処はどこだ、確か私は酒を飲んでそれから……」
そんなキャスカが横で寝息をたてるコウヤに気づく。無意識にキャスカの足にしがみついていた。
「コウヤ? 何でコウヤが」
そんな事を考えているキャスカの体をコウヤが引っ張る。
「ちょっ、コウヤ!」
コウヤに抱きつかれ、真っ赤になるキャスカは次第に昨晩の事を思い出していった。
「そうだったわ、コウヤを見つけてから話を聞いて、セテヤに向かってるんだ! って事はチャンスよね?」
キャスカの悪い大人の顔がコウヤに向けられる。
そんな時「今行くからね……アイリ、僕は諦めない」と寝言がキャスカの耳に入る。
「はぁ、私と居るんだから、妹でも他の女の名前を出さないでよね」
コウヤを起こし甲板に出た二人は広大な海と潮風を全身に感じながらセテヤ大陸を目指していく。
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