港が完成したら、祭りをしよう1
シアンの馬車を襲っていたのは、紛れもなくガーゴイルの元王であった。
「ミカソウマに資材を贈らせるな! 忌々しいコウヤ=トーラスを誘き出す為に派手にぶち壊せ!」
ガーゴイルの残党がミカソウマへ向かう馬車を強襲したのである。しかし、それは運命の糸を自ら断ち切る結果に他ならなかった。
馬車の後方から凄まじい速度でガーゴイルに斬り掛かるシアンに迷いは無く、更に同行していたマトン、源朴からガーゴイルが逃げられる訳は無かった、即座に鎮圧される結果になった。
「何故だ、魔王シアン=クラフトロよ。何故、獣人ごときに其処まで加担する! 魔族とは人間も獣人も相容れぬ存在では無かったのか! 答えよ魔王」
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ガーゴイルの王。
ーー名はセルバルバ=アーデン。
セルバルバは、ひたすらに人間を怨むように、獣人は魔族のしたの存在であると前王に言われながら育ってきた。
全てはバライム大陸の為、強いては魔界の王になる為に生きてきたのだった。
そんな、セルバルバの前に現れた人獣の王、コウヤ=トーラスを赦せなかったのだ。
人間と獣人の間のような姿を現した者が魔界の王シアンと肩を並べる姿が堪らなく不快でしかなかったのだ。そんな時、リザードマンの王がセルバルバにある提案をしたのだ。
「魔界から邪魔者を排除しようではないか?」
その言葉にセルバルバはリザードマンの王が同志だと信じ今回のミカソウマ襲撃に加担したのだ。
セルバルバはリザードマンのミカソウマ占領作戦に利用されたのだ。
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その問いに対して、シアンはセルバルバを馬車に縛ったまま乗せるとミカソウマの建設中の港まで馬車を急がせた。
少し離れた位置に馬車を停車させ、港造りの様子をセルバルバ自身の目で確かめさせたのだ。
多くの亜人達が集まり、笑いながら手を取り協力し合う姿が眼に入ると目を瞑り、シアンにセルバルバが頼みを口にした。
「大魔王シアン=クラフトロ。私の首を御切り下さい。そして、ガーゴイルの王は死んでいたといつか、告げて頂きたいのです!」
セルバルバの眼から流れ出した涙は後悔からなのか、悔しかったからなのかは不明であったが、シアンはセルバルバの願いを聞き届け、外に出てセルバルバの首をはねたのだ。
シアンはセルバルバの遺体を確りと布に自ら包むと源朴とマトンに資材の搬入と魔界から増援に来たもの達の事を一旦任せ、セルバルバの遺体を魔界に運ぶ為、その場を後にした。
「この事は他言無用、いいねぇ」とシアンが皆に口止めをした事もあり、この一件が露見する事はなかった。
シアンが遅れて港に到着する。
港は賑やかに作業が進められ、シアン達より先に加勢に来ていたセテヤ大陸のドワーフ達も加わっており、当初の計画を大幅に上回る速度で港の工事が進んでいった。
港が完成したのは、月の始まりの日を2回迎えた、二ヶ月後の事であった。
ミカソウマはバライム大陸で三ヶ所目の港を保有する国になったのだ。
バライム大陸の港の位置はシアンの国である『バライム大陸国家魔界』
セイレーンの商業の国である『アクアラソルト』
そして、ミカソウマの三国になったのだ。
港が完成したら次は港の街造りである。コウヤは密かに港街にある物を造ろうと計画していた。それは、唐揚げ専門の料理屋である。
以前、魔界で唐揚げを食べてからコウヤは唐揚げの虜になっていた。
コウヤは港を訪れた人達が美味しい料理を楽しく食べられるような港にしたかったのだ。そして、コウヤは港が完成したら記念にある祭りを計画した。
「魔界中から料理人の人に声をかけて、食べ物いっぱいの祭りを開こうと思うんだ」
コウヤの提案に最初、驚きを皆が露にしたが直ぐに話が決まり、魔界だけでなくバライム全土から腕に自信のある料理人達が集まる事になったのだ。
コウヤの決めた規則は
・唐揚げを出す事。※作り方は事前に参加者に配られる事になった。
・普段食してる郷土料理を出す事。
それ以外は危険な物を使わないこと等、基本的な事であった。
そして、ミカソウマ初の食の祭りが開催される事になったのだ。




