コウヤ危うし?戦場はケランバータ
港の建設が確実に形になり始めた最中、ミカソウマに思わぬ衝撃が走る。
リザードマンとガーゴイルの両国がハーピィーの国に攻撃を仕掛けて来たのだ。
知らせを聞いたコウヤがキャスカ達を連れてケランバータへと向かう。
ケランバータのある森は既にリザードマンの大軍が入り込みハーピィー達が応戦するも数で圧倒されていた。
援軍に向かったバーバリアンの国からの部隊は待ち伏せしていたガーゴイルの部隊と戦闘になっていた。
コウヤはケランバータへと向かい、ラシャとミーナ達の指揮により、エレとダルメリアの部隊がバランケへと兵を進めた。
ーーなんで、このタイミングで、取り合えず急いでケランバータに向かわないと!
「ミカソウマは今より、同盟国ケランバータに向けて救援に向かう! 気を引き締めていくよ!」
コウヤの指揮により、亜人ハーフの部隊と元奴隷だったミカソウマの戦士達がギルホーンに跨がり、大地を駆け抜けていく。
ケランバータに到着するとリザードマン達の激しい攻撃に既にケランバータの城には火が放たれ激しく炎が燃え上がっていた。
「酷い、森に火を放つなんて!」
怒りを露にするコウヤの前にリザードマン達が姿を現す。
「ミカソウマのコウヤだな? お前の首を持ち帰るように王から言われている。悪く思うなよ!」
リザードマン達の手に握られた鉈のような剣がコウヤに向けられる。
「話し合いをするつもりはない!」
そう言い放つとコウヤは刀を抜いた。
互いに武器を手に睨み合う中、更に激しく炎が上がる。
「な、あれは!」
コウヤの眼に写ったのは大空を埋め尽くすように飛行するガーゴイルの群れであった。
「アハハ! お前は我等に誘き出されたのだよ! ミカソウマのコウヤ」
バランケに半数のガーゴイルを送りバーバリアンの足止めと戦力の分担、其れは宣戦布告をしないがゆえに可能になる戦術、奇襲。
しかし、魔界に於いて、宣戦布告をしない闘いは一度も行われていない。
シアン以前の魔王ですら、相手種族を根絶やしにする際には宣戦布告を行っている。
「こんな戦い方をして恥ずかしくないのか!」
コウヤの言葉に首を傾げるリザードマン達。
「我等は王の命令に従うのみ! 魔界の統一こそが我等の王の望みだ!」
そんな中、次々と地上に降り立つガーゴイルの群れ、コウヤの周りはあっという間に敵の渦が出来上がっていた。
キャスカが急ぎコウヤの元に急ごうと試みるが、周りには既にリザードマンの大軍が隙間なく取り囲む形になっていた。
コウヤは刀を握る手に力を込めると構えをとる。
其れを合図にリザードマンが次々にコウヤに襲い掛かる。
ーー殺したくない、でも、殺らなきゃ、僕が殺られる!
その瞬間、コウヤの眼に写る世界のスピードがゆっくりと流れ出す。
ーーゆっくりだ、まるで歩いてる敵を相手にしてるみだいだ……ごめん……
コウヤの刀がリザードマンを次々に葬っていく。
リザードマン達は驚愕した。一斉に襲ったのは六人のリザードマンであり、タイミングは、ほぼ同時であった。
リザードマンから見たタイミングとコウヤの見ている視界のタイミングでは、全く別の時間の世界が出来上がっていた。
コウヤはこの時、生きる為に戦うと強く思い、其れは過去の体外魔力同様に強い暗示となり、眼に対して強化魔法と体外魔力が発動した結果であった。
コウヤの眼から写し出される世界は現実の五分の1の速度で写し出されていた。
「なんなんだ! コイツ本当に獣人なのか!」
「僕は人獣だよ……」
そう口にした瞬間、既にリザードマンは絶命していた。
リザードマンが後方に下がり、ガーゴイルの群れがコウヤに襲い掛かろうとした時だった。
空から一振りの刃がガーゴイルを叩き斬ったのだ。
「大丈夫そうじゃな! コウヤ坊。さて、下がらぬかァァァ! クソガーゴイルが戦魔戦なら未だしも、戦で勝とうなど片腹痛いわ!」
其れは魔界から魔獣の背に乗り駆け付けた源朴であった。
更に空から次々と地上に姿を現した島人の集団がコウヤの盾になるように陣形を組む。
「源さん? なんで!」
源朴はボルトが魔界に報告に来たのだと教えた。
「コウヤ殿は魔界に迷惑を掛けまいと同盟国の救援に向かわれました。自分も直ぐに救援に向かうつもりです、またお会いできる事を願っています。それでは失礼致します」
報告を聞いたシアンがボルトを呼び止めた。
「私は魔界の魔王として、一つ確認したいだがぁね、間違いなく宣戦布告がなかったんだぁね?」
「ありませんでした。もし、宣戦布告あれば、コウヤ殿は話し合いを申し入れたでしょう、しかし、今、其れは叶わず敵の蠢く戦地にコウヤ殿は自ら赴き、指揮を執っておられます」
「報告御苦労様、ボルト、君はミカソウマの防衛を強化しとくんだぁね、コウヤの救援はこの魔王シアンが力を貸すからぁね」
ボルトは深く頭を下げるとミカソウマに帰還していった。
シアンがコウヤの元に源朴の島人と紅眼の部隊を送り、更にバランケには、マトンと亜人部隊を即座に進行させたのだ。
そして、シアン本人は、リザードマンの国に直接出向いていた。勿論、話し合い等と言う平和的解決の為ではなかった。
「リザードマンの王が人間の真似事かぁね? まったくもって、怪しからんねぇ」
それがリザードマンの王が聞いた最後の言葉であった。
シアンがリザードマンの王を即座に始末するとリザードマンの国から続いていた大部隊が次々に武器を捨て、戦闘を中断して投降し始めていた。
バランケも同様にマトンの亜人部隊の増援により、戦況が一気に傾きガーゴイル達が撤退していく。残る戦場はコウヤ達が居るケランバータのみとなっていた。
いつもありがとうございます。(^^)
コウヤのピンチには、やはり熱い人達が駆けつける、御約束に感じるでしょうが、そんな世界が理想な作者です。




