『ミカソウマ』の先へ
ミカソウマは一年の間に大規模な変化を遂げていた。
ミカソウマから遠くない平原の地域。その場所には立ち入り禁止の地区が存在していた。草原を半日程、馬を使い進むと海が存在する。
コウヤはこの一年の間に立ち入り禁止の草原に住むバーバリアンの元に何度も足を運んでいた。
ーー
「コウヤ殿、話を聞けばバーバリアンとは、狂暴な蛮族だと言うでは有りませんか! 王自ら行かれるのは危険です! お考え直しください」
必死にコウヤを止めるボルトの姿。
「心配しないで、直ぐに戻るから、あとキャスカとディアには内緒ね、バレると怒られるからさ、其じゃあ行ってくるよ」
コウヤは自身のギルホーンに跨がり走り出した。
「御待ちください! コウヤ殿ォォォ!」
ボルトが慌てて、ギルホーンに跨がり追いかける。
「あれ? ボルトも付いてくるの?」
「当たり前です! もしコウヤ殿に何かあれば、キャスカ様達でなく、シャーデ様に鍋にされますからね」
本気でそう語るボルトの顔を見てコウヤは笑いを堪えるのに必死だった。
草原までは、ギルホーンの足で三時間程度、然程遠くない距離に創られた境界線を知らす為の杭が無造作に地面に数十メートル間隔で打ち立てられている。
コウヤはクロバから降り、その場に繋ぐと歩いて草原の中を進んでいく。その後ろにボルトが続き、周囲を警戒する。
草原を進むとコウヤ達に殺気が向けられ、コウヤとボルトが一旦立ち止まる。
「お前達は何者だ!」
「行きなり来てすまない。僕はミカソウマのコウヤ! 君達の新しい王に会いに来た!」
バーバリアンの声に即座に反応したコウヤを見てボルトは驚いていた。
「私には、叫び声にしか聞こえませんでしたが……コウヤ殿には言葉がわかるのですか!」
「え、ああ、戦魔祭の時から解るようになったんだよ、でも獣人にも聞き取れるみたいだよ?」
ボルトと話していると辺りを夥しい数のバーバリアンがテレパスを使い囲むようにして姿を現した。
「コウヤ殿! 御下がりください」
ボルトが剣を片手に握り前にでる。
「ボルト、いいから大人しくしてて」
ボルトの剣を収めさせるコウヤ。
「ごめん、僕達に敵意はないんだ。連れが失礼をしたので謝罪する」
コウヤがそう言うと後ろからバーバリアンの王が姿を現した。それは戦魔祭でコウヤが戦ったバーバリアン王子であった。
「謝罪には及ばない、此方が敵意をむき出しにしていたのだ、許されよ、コウヤ=トーラス」
「戦魔祭以来だね、そうだ名前を聞いてなかったんだ! よかったら教えて欲しいんだけど」
「俺は、現バーバリアンの王、テルガ=イストムだ」
そう言うとテルガがコウヤに手を差し出し、互いに握手を交わした。
二人はテルガに案内されてバーバリアンの郷に足を運んでいた。
外からは小さな村に見えたが、家の中から地下に続く階段を降りるとコウヤとボルトは驚いて目を丸くした。
地下に創られた巨大な空間に活気溢れる街が創られていた。壁は火山灰から創られた煉瓦で確りと補強され、至る所に空調が作られているのが見てわかる。足元には水路があり、雨水を流す設備すら整っていた。
「うわぁ、スゴいや! テルガ達が此れを創ったの?」
「我等ではない、元々この遺跡都市『バランケ』は此処にあったのだ。何前年も前に発見されたとあるが、それよりも遥か昔の古代人の物だろう」
テルガがコウヤの質問に答えるがボルトは言葉が理解できずに困り果てていた。
「コウヤ殿、テルガ殿は、なんと?」
「あとで話すよ、それより、はぐれないでねボルト」
テルガが案内した先に大きな銅像が立っており、銅像の額には巨大な宝石が一つ付いている。
「この遺跡が崩れないのは、この像のお陰だ」
像の額に埋め込まれるように付いている宝石がロストアーツであり、依然宝石を取った際に遺跡は崩壊し始め、宝石を戻すと元の形に戻ったと言う記録がバーバリアンの言い伝えに残されていた。
「何でそんな大切な物を僕達にみせるの?」
「俺は愚王ではない、わざわざミカソウマの王が自ら我等の土地に足を運んで来たのだ、戦争をする気でも無いようだしな、ならば選択肢は一つであろう?」
テルガとコウヤの考えは同じであった。
同盟を結ぶ為にコウヤはバーバリアンの郷にやって来たのだ。
「残念だが、我等は同盟を結ばない」
そう語るテルガはコウヤに新たな条件を提示した。それは試合をして、勝った方が負けた方を吸収すると言うシンプルな方法であり、バーバリアン達は王の命令にしか従わない、その為同盟を組んでも意味をなさないと考えたテルガからの提案であった。
「同盟ではなく、吸収するって事?」
テルガに再度聞き直すコウヤの顔は険しかった。
「そうなる、しかし、其れを拒むなら、それも構わぬ。互いに揉めて得する相手でもないからな」
「わかったよテルガ、何処で戦うの?」
コウヤの目付きが鋭くなり先程までの和んだ変異気は一変する。
「ボルト、僕の刀をテレパスで取ってきて早く!」
「え、あ、はい! 直ぐに」
コウヤはボルトに刀を取りに行かせてる間にテルガと話をすることにした。
「テルガ、そっちが勝った時、ミカソウマをどうするつもり?」
「どうもしないな、何かあればコウヤに援軍に来てもらう、只それだけだ」
テルガはコウヤにそう言うとコウヤをじっと見つめる。
「コウヤは我等バーバリアンをどうするつもりで同盟を望む?」
「僕はバーバリアンの協力の元、港を造ろうと思います!」
テルガは驚いた。目の前の子供が本気で港を造ろうと口にしたのだ。
「本気か? コウヤ、我等バーバリアンを戦争以外で使うつもりだったのか?」
「使うと言うより、協力! 港の管理等をしながらミカソウマ、バーバリアンの郷を連合国にするのが目的です!」
コウヤはディアロッテの家庭教師により、得た知識を使いミカソウマを強くて楽しい国にしたいと考えていたのだ。
その先駆けがバーバリアンの郷であった。
そして、話半でボルトが刀を手に戻ってきた。
刀を受け取るとコウヤはテルガの後ろに付いていく。
階段を上がり地下から地上に出ると巨大なリングの中に繋がっていた。
「此処はバーバリアンの王を決める際に戦う為のリングだ、今回このリングで戦う意味は理解できるな」
「わかるよ、テルガ。あの時と同じくらいワクワクするよ!」
二人がリングに姿を現したと同時に会場内に次々に現れるバーバリアン達。
バーバリアンは蛮族と呼ばれるのは徹底した上下社会だからに他ならない。新たな王が別の種族であってもそれは変わらないのだ。
バーバリアンの王を前に立つコウヤが勝ったとしても王として認める覚悟を確りと持っている種族でもあった。
いつもありがとう♪ヽ(´▽`)/




