祭りの夜に光る華
コウヤは開かずの部屋に向かおうとする、しかし
其れを源朴とマトンに止められた。
「おい、流石に今日はやめておけ、コウヤ」
「マトンの言う通りじゃ。コウヤ坊、今日はそっとしといてやれ」
二人に説得されて考えを改めるコウヤは頷き。
その日の祭りをひたすらに楽しむ事に専念したのである。
祭りと言うだけあり、街は普段にも増して明るく彩られ煌めく色とりどりの提灯と店の看板が更に華やかに街全体を照らし出している。
他の集落や街からも次々にやって来る魔族や亜人達にコウヤの心は踊らされた。
「凄いやーー! 源さん見てよ! あれ唐揚げのお店もある!」
コウヤは出店のある街の祭りに興奮していた。
「なんじゃ? やけにはしゃぐじゃないかコウヤ坊」
源朴は余りに楽しそうなコウヤに微妙な違和感を感じていた。
「すみません、実は僕……こう言う街の祭りに来るのは初めて何です……と、言うより観るのが初めて何です」
「なに! コウヤ坊は祭りに行ったことないのか」驚き声をあげる源朴。
源朴に対して、コウヤは幼馴染みと一度だけ村祭りに行った事実。
その時は盲目であると言われていた事、其れが最初で最後の村祭りにだった事などを包み隠さず話した。
「なので……祭りを観るのも歩くのも楽しくて仕方ないんです」
そう言い微笑むコウヤ。
「おおおぉぉぉ、コウヤ坊……辛かったなぁ」
そう言い泣きながら酒瓶を一気に飲み干す源朴。
そんな時、反対側から手を振る数人の人影がコウヤ達の方に歩いてきた。
艶やかな着物に身を包んだキャスカとディアロッテ、華やかな着物を纏ったラシャとシャーデ、鮮やかな着物を着こなしたミーナ達であった。
目の前に揃った二人の美女と三人の美少女の姿、それを眼にしたコウヤは赤面した。
酒を飲み上機嫌の源朴が「いやぁ綺麗だ、コウヤ坊は幸せじゃな」と口にした。
しかし、その一言が女心に火を付けてしまったのだ。
「コウヤ、どうかな……変じゃない?」
少し恥じらいながら口にするミーナ。
「凄く似合ってるよ。ミーナ」
そう返すとシャーデとラシャがミーナの前に一歩出る。
「妾はどうじゃ! 着物は初めてだが上手く着ておるか?」
「ワタシも見て! コウヤの為に選んだ。可愛いか?」
「うん、凄く似合ってるし、凄く可愛い。僕も源さん見たいな服を着てくればよかったよ」
コウヤの言葉に満足したのかシャーデが胸を張る。それに対してラシャは少し不満げであった。
「コウヤ? 因みに誰が一番、似合っておるのじゃ、全員なんて答えは無しじゃぞ?」
ラシャの言葉に、その場にいた全員が耳を清ました。
そして、最初に動いたのはキャスカであった。
いきなり胸元を“グッ”と開きコウヤにセクシーアピールをしたのだ。
「まだまだ、熱いわね~? コウヤもそうは思わないか?」
反則級のキャスカが見せた行動、負けじと次にアピールをしたのは、ディアロッテであった。
「そうですね! キャスカ様、ですが幾らなんでも、露出し過ぎです」
ディアロッテも負けじとキャスカに対向する。
そんな光景を見て、コウヤの眼を直ぐに隠すマトン。
「ディア! キャスカ様、お戯れが過ぎます」
マトンの慌てぶりを見て笑う源朴。
「ひゃぁははは、いやあ、若いのぉ」と楽しげに酒を飲んでいる。
そんな時、空に撃ち上がった花火。
「うわぁアハハハ! 綺麗ーーッ!!」
大空一面に打ち上げられた色とりどりの花火が夜空の星と共に花開き、鮮やかに暗闇に光る星とダンスをしているようであった。
魔界の火薬を使った花火と、ダルメリアの魔法を使った花火が彩る夜の魔界の空に誰もが心を奪われていた。
「僕は、皆が一番がいいんだ。誰かじゃなくて、皆が輝いてるのが一番なんだよ」
そう口にしたコウヤの後ろから、シアンとランタンが声をかける。
「いやぁ! 綺麗じゃないかぁ、ダルメリアの魔法を使った花火、実にすてきだぁね」
シアンがコウヤの横に立つ、そして、耳元で囁いたのだ。
「部屋に入ったら、先ずは挨拶を忘れないように、いいねぇ」
そして、シアンは源朴と共に酒を飲み始めるのであった。
シアンが移動すると、ミーナ達がコウヤの周りに集まり空を見上げる。そこには素敵な光の華が咲き乱れていた。
150話になりました。
毎日更新を目標に頑張っていきます。
これからも宜しくお願いします。




