魔王に近き者達4
Aブロックの全試合が終わると続いてBブロック最終試合が開始された。
『コウヤ、源朴』対『ミーナ、ダルム』戦である。
覚悟を決めリングに向かおうとするコウヤ、そんな試合前に源朴がコウヤを呼び止めた。
「緊張するか? コウヤ坊」
「ええと、しないって言ったら嘘になります、でも、嬉しいんです」
にっこりと笑みを浮かべるコウヤ。
「嬉しいか、なら、まあ……良しとするか」
「源さん? どうしたんです、それに、『まあ……良しとするか』ってどういう?」
コウヤの顔を見て源朴が優しく微笑んだ。
「なに、この戦魔祭も、勝っても負けても残り2試合じゃ、悔いが残らないようにと思ったんじゃよ」
「大丈夫ですよ。それより、勝ちましょう源さん。もしかしたら僕と源さんが魔王になれるかもしれませんよ」
「あはは、そついはいいなぁ! そしたら、酒屋の付けをチャラにしてもらうかのぅ」
「源さん? そんなにいっぱいあるの」
コウヤの質問に指を一本立てる源朴。
「ええと……百万ロンドですか?」
…………
黙って歩きだす源朴、その後ろを付いていくコウヤ。源朴が歩きながら口を開いた。
「まあ……ざっと? 百年分くらいじゃな」
「ええーー! 百年! 駄目ですよ、魔王になっても絶対に払わないと御店の人が泣きますよ?」
「大丈夫じゃ、また直ぐに付けが貯まるからな、ひゃひゃひゃ」
そんなコウヤと源朴がリングに移動すると既にミーナとダルムが待ち構えていた。
「遅いわよ! まったく、コウヤ本気でいくわよ」
少し不機嫌なミーナと横で呆れるダルム。
ミーナは、試合前にラシャと会っていた。
「コウヤに負けたらミーナはディアの次、つまりは下から二番目の妻じゃな」
「何でそうなるのよ!」
「当たり前じゃ! 間違いなくミーナとダルムはキャスカとシャーデには勝てぬ! そして、コウヤに負けた瞬間に下から二番目決定じゃ」
「ラシャも負けたでしょうが!」
「妾は、シアンに負けたのじゃ! 他の者には負けておらぬ!」といったコウヤの知らない所で口論があったのだ。
そして、試合開始の合図がなると直ぐにミーナが植物魔法を発動する。
「さあーー! いくわよぉぉぉ!」
ミーナが一番巨大な植物の上に立つと急速に植物が成長し、そのまま天高く伸びていく。
ミーナが体外魔力を使い、ミーナの体を通して魔力を与えられているのだ。
「ミーナ! 植物魔法だと僕は倒せないよ」
そう言うとコウヤが次々に魔法植物を斬っていく。
「ふん! まあ、見てなさい」
ミーナが更に強く全身に体外魔力を集めると植物がまるで繭のように丸くなる。そして、切れ目が入ったかと思うとコウヤ目掛けて、巨大な種が勢いよく発射される。
コウヤが必死に回避するが避けた種がまた硬いリングに根をはり、ミーナから魔力を供給され一気に成長していく。
「体外魔力で見たけど、ミーナの側に入れ替われる物がないからテレパスも使えないな……! それだ!」
コウヤは体外魔力を一気に自分に集めると空に向けて連続でリボルバーを発射する。
射ち終った直は後に作製魔法を使い新たな魔弾をつくり即座に入れ替え更に連射を繰り返した。
「コウヤ、何処に撃ってるのよ!」
ミーナには掠りもしない的外れな方角に発射される魔弾、しかし、コウヤの狙いはミーナではなかった。
コウヤの連射が終わるとミーナが植物に攻撃させようとしたが、植物達はまったく反応しなかったのだ。
「なに? 何をしたのコウヤ!」
「ごめんミーナ! この辺りの体外魔力を一気に魔弾に変えさせてもらったんだ」
ミーナの魔力を超える植物魔法は体外魔力無しには動かせない、コウヤは一時的に体外魔力を無くすことでミーナから攻撃手段を奪ったのだ。
「ミーナごめん」
コウヤの刀が大木程ある花の茎を切り裂いた。
ゆっくりと倒れるにつれて花は小さくなり、ミーナと共に落下する。
「ミーナ? 魔力はないよね、僕の勝ちだよ」
「はぁ……負けたのね……」
ミーナが負けを認めると源朴がダルムを担いで戻ってきた。
ダルムは健闘虚しく、源朴の前にアッサリとやられていたのだ。
「この男は真っ直ぐだったぞ、良き友を持っとるのぉ、コウヤ坊」
試合事態は直ぐに勝負がついたがコウヤにとって、初めてミーナと本気で戦った一戦であった。
そんなコウヤと源朴は、最終試合のリングでシアンとランタン《パンプキン》と戦うのであった。
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