戦魔祭本戦、魔王を目指す者達3
Bブロック第一試合の第二回目に戦うのはミーナとダルムペアであり、対戦相手はラシャが倒したリティオロのエルフ達の一組であった。
試合は一瞬であった。ダルムの“アシスト”を使った一撃でエルフ達が気絶し第一試合最速で試合を終了させた。
第七試合、コウヤと源朴はCブロックの勝利者である、ガーゴイルとマトンと同じ種族であるレッドシープの女のペアとの対戦になった。
ーーガーゴイル。
元はガルグイユと呼ばれる竜の仲間であり独自に進化を繰り返した種族である。
羽の生えた竜と怪鳥から産まれたとする説もあるがその進化の仮定は何故に包まれている。
一説には、古代人の生物兵器の生き残りとも言われるガーゴイルは岩のように硬い皮膚と鋭い爪、しなやかな羽を持つ怪物であり、魔族と魔獣の中間のような存在であり知力は低い。
ガーゴイルと共に試合に勝利したレッドシープがリングに上がると直ぐに試合開始の合図が会場に鳴り響いた。
試合開始直後から、羽を大きく広げ遠距離の風魔法を使いガーゴイルがコウヤ達に攻撃を仕掛け始める。
コウヤと源朴が近付けば風を防御に使い一定距離に離れると攻撃として使うガーゴイルの攻防はかなり強力であった。
更にガーゴイルが防御に転じるとレッドシープの女が飛び道具を使い攻撃を仕掛けてくる二段構えの防御と攻撃を両立した守りを見せる。
「源さん、意外に厄介だね? しかも、魔弾も、この距離だと命中したら致命傷だし、どうしよう」
「余裕じゃのぉ、まったく、若いもんには敵わないのぉ」
「やっぱり、あれしかないよね? 源さん行くよ」
そう言うとコウヤが勢いよく走り出した。
「やれやれ、年寄り使いが荒いのぉコウヤ坊」
「必殺ゥゥゥ!電光石火ァァァ!」
コウヤが走り出し、一気にテレパスを使いレッドシープと位置を入れ替えると其のままの勢いに更にアシストを掛けた刃がガーゴイルに襲い掛かる。
ガーゴイルの強固な皮膚を切り裂き体内に剣先が通るとガーゴイルが痛みから羽を動かすのを止める。
更にコウヤと場所を入れ替えられたレッドシープに源朴が走り込み、無防備のレッドシープの腹に強烈な一撃を加えると、一瞬で試合は終了した。
コウヤと源朴の攻撃は殺さない為に力を抜いたものである事は選手達には直ぐに理解できたが観客の目には度々使われるテレパスは、まるで高速で移動しているようにしか見えていなかった。
審判ですら余りに高速で行われたテレパスと凄まじい早さで繰り出されたコウヤと源朴の一撃に言葉を失う程であった。
それから直ぐに試合終了の声が会場に響くと観客の声が鳴り響く。
第八試合のディアロッテとマトンは、ハーピィと戦う事になるがディアロッテの魔弾がハーピィの羽を全て撃ち抜きハーピィが降参する形になり、ディアロッテとマトンの勝利で終了した。
ーーハーピィ。
女ばかりの種族であり、別の種族の雄を拐い繁殖する種族。
見た目と一般的な女性顔に手の代わりに巨大な羽があり、足が鉤爪になっている。
空中戦を得意とし、空から地上の敵に対して急降下からの鉤爪を使った奇襲を攻撃手段とする狩猟種族でもある。
Bブロックの一回戦も全て終わり、一時間の休憩が与えられた。
コウヤ達は1度集まると互いの第二回戦進出を喜びあった。
軽い昼食を済ませるとAブロックの試合開始が近付き、ラシャとアルカが会場に入る為のゲートへと向かっていく。そして、皆が自分のゲートへと向かう中、コウヤと源朴、マトンとディアロッテが最後まで残っていた。
第二回戦では、コウヤかディアロッテのどちらかのペアが確実に試合からいなくなるのだ。
「コウヤ、源朴さん、すまないが次の試合は俺とディアが勝たせてもらう」
マトンの言葉にコウヤも確りと受け答えをする。
「マトンさん、僕も源さんも優勝まで負ける気ないですよ! 全力で勝ちにいきます」
マトンとコウヤが互いに微笑むと互いに反対側に設けられたゲートへと歩き出したのだ。ゲートへ向かう互いの顔は、既に戦士の顔になり、互いに本気で戦うことを心に決めていたのであった。
コウヤ達がゲートへと向かう間に始まったAブロック第二回戦は、やはりラシャとアルカの圧勝に終わった。続くキャスカとシャーデの試合では、傷を回復魔法“リペルト”で復活したばかりのキャスカが剣星としての実力を発揮して、大会最速記憶を練り変える結果となった。
Bブロックのミーナとダルムも難なく試合を進め、明日の第三回戦に駒を進めた。
いよいよ本日最終試合、コウヤペア対ディアロッテペアの試合が始まる。
互いに魔王シアンの直の部下である事実を知る観客からすれば、期待の一戦であり、両者がゲートから姿を現すと会場の熱気が一気に上がり、歓声が会場中から沸いた。
「いよいよですね、マトンさん」
「寧ろ早すぎるくらいだ、だが! 勝つのは俺とディアだ!」
マトンの全身から闘志が溢れだし、マトンの角が一気に頭に姿を現すとコウヤも直ぐに刀を構え、試合開始の合図を待つのであった。
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