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亜人と歩む ~瑠璃色王のレクイエム~  作者: 夏カボチャ 悠元
第二部 魔界偏 新に掴むべきもの
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戦魔祭本戦、魔王を目指す者達2

 シャーデとキャスカがリングに上がると直ぐにバーバリアンが二人をじっくりと観察し始めた。

 まるで舐め回すように向けられる視線、それを不快に感じたキャスカは、全身から殺気を放つとそれをバーバリアンに対し向ける。

 視線に気づくとバーバリアン達は即座に眼を逸らしたが獲物を決めたかのように話し合っているようであった。


 試合開始の合図を聞いたバーバリアン達が一斉にシャーデ目掛けて襲い掛かろうと走り出すとキャスカが即座にシャーデの前に移動し剣を構えた。

 その直後、キャスカの予想外の行動が起きた。バーバリアン達がテレパスを使いキャスカの背後へと瞬時に移動するとシャーデに対して攻撃を開始したのだ。


ーーバーバリアン。


 バーバリアンとは、野蛮人と言う意味を持つ、武器は岩や石、木等を加工した棍棒等を好んで使い、集団で獲物を追い込み なぶり殺しにする残虐な狩りを楽しむ種族である。

 バーバリアンは、縄張り意識も強く、自分達の縄張りから離れず、縄張りに近付く者は全てを敵とする事から詳しい生活環境は未だに謎が多く、バーバリアンの住む地域には、ヨミ砂漠と同じように立ち入り禁止のラインが引かれている。


ーー


「まさか、テレパスを使うなんて、予想外だよ」


 キャスカは即座に反転し後ろからバーバリアンを攻撃しようと剣を突き出した。


 バーバリアン達がキャスカに対して下卑た笑みを浮かべた、そしてキャスカの剣がバーバリアンに接触する寸前、バーバリアンとシャーデの位置が入れ替わったのだ。

 キャスカの剣先がシャーデに触れる寸前にキャスカが更にシャーデとテレパスを使い位置が入れ替かわる、観客からはキャスカの剣がシャーデを貫いたように見えたのか、手で口を隠している姿が一瞬キャスカの眼に入った。

 キャスカがテレパスで入れ替わるのを予想していたかのようにバーバリアンがキャスカ目掛けて走り込んで来ており、キャスカの脇腹目掛けて棍棒が叩き込まれる。


「ガハッ、く……」


 その直後、シャーデにもう一人のバーバリアンが襲い掛かり棍棒をシャーデ目掛、振り下ろしたのだ。


「シャーデェェェ!」


 キャスカは無意識にテレパスを使いシャーデと位置を入れ替える。

 その直後、キャスカに棍棒が激しく振り下ろされ、肩に鈍い音と激痛が走り、棍棒がめり込む。


「キャスカァァァ! キャスカ、大丈夫」


 慌ててキャスカに駆け寄るシャーデ、キャスカがシャーデに対して笑いかける。


「私は大丈夫だよ、ごめんね。へましちゃったみたい、カッコ悪いママでごめん」


 そのやり取りを見ていたバーバリアンが笑ながら棍棒を手にキャスカとシャーデにゆっくりと歩み寄っていく。


 シャーデの泣き顔を前にキャスカは立ち上がった。

 キャスカの体は、片方は脇腹を砕かれ、力を入れるだけで激しい激痛が走り、もう片方の手は肩を砕かれ剣すら握れず宙ぶらりんの状態であり、戦える状態ではなかった。


「キャスカ……」


 シャーデはそんなキャスカの姿を前にキャスカの前に移動するとバーバリアン達に対して睨むように眼を向ける。

 バーバリアン達がそんなシャーデを鼻で笑うとシャーデ目掛けて攻撃を開始する。


「くそ、シャーデ待ってろ」


「キャスカは待ってて! ワタシ頑張る、勝ったら頭を撫でてほしい……」


 シャーデがキャスカに少し照れくさそうにそう言う、そんな時バーバリアンの棍棒がシャーデに襲い掛かった。


「シャーデーー!」

 キャスカが叫んだ瞬間、シャーデの喉元が光輝くそれは“蟲王の囁き”の輝きであった。


 光はシャーデの身体全体を包み込んだ、そんなシャーデに振りかざされた棍棒が“ガギンっ”と激しく音を発ててシャーデに振り下ろされた。

 ニヤリと笑うバーバリアン、しかし、その笑みは直ぐに驚きに変わる。


 シャーデの全身は鎧蠍よろいサソリの鎧に覆われ、殴りかかった石の棍棒が砕け散っていたのだ。

 シャーデは更に驚き動きが鈍ったバーバリアンに対して反撃を開始した。

 最初の反撃を難なくテレパスを使い交わすバーバリアンに対して、シャーデは凄まじい瞬発力でバーバリアンの後ろに移動したのだ。

 シャーデの動きに反応できなかったバーバリアンが次々にテレパスを使い移動を繰り返すがそれに難なく追い付くシャーデ、そして次の瞬間、勝負は決まった。

 バーバリアン達の魔力が底をついたのだ。

 敗けを口にしようとしたバーバリアンに対してシャーデがバーバリアン達に針を打ち込む、微量の神経毒が全身に回り動く事も喋る事も出来なくなったバーバリアン達に対してシャーデが蟲壺を開く。

 中からサンドワームが姿を現すと会場から声が鳴り止んだ。

 シャーデの冷たい視線とそれに乗せられた殺気がバーバリアン達の全身に突き刺さる、それは確実に肉塊に変えるといい放つかのようであり、バーバリアンのみならず、会場と審判人にすら緊張が走っていた。


 そんな緊迫した空気の中、シャーデの後ろからキャスカが頭を撫でた。その瞬間、審判団の判断が決まりシャーデ、キャスカペアの勝利が宣言された。


「良くできました、蟲王の力をちゃんと使えるのはよくわかったわ、偉いぞシャーデ。さすが私の娘だ」


 シャーデがその言葉ににっこりと笑ながらキャスカに抱きつく。



「痛いよ、私の蟲王様は強いわね」


「違う! キャスカ、ワタシ、『蟲姫チュウキ』何だって? “蟲王の囁き”がそう言った」


「そうかい、なら私の可愛い蟲姫むしひめ様これからも宜しくね」


「だから、蟲姫むしひめじゃなくて、蟲姫チュウキ! キャスカ意地悪はダメ」


 シャーデはこの戦いの中で“蟲王の囁き”に事実共に認められ、蟲王の名は蟲姫に代わり、“蟲姫の囁き”として新たに力を得たのであった。

 そして、Aブロックの第一試合が終わり、いよいよBブロックの戦いが開始されるのであった。

読んでいただきありがとうございます。

感想や御指摘、誤字などありましたらお教えいただければ幸いです。

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