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亜人と歩む ~瑠璃色王のレクイエム~  作者: 夏カボチャ 悠元
第二部 魔界偏 新に掴むべきもの
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戦魔祭本戦、魔王を目指す者達1

 本戦当日の朝を迎えた一同は朝食を済ますと全員が一ヶ所に集まった。


「目指すは優勝! 誰が勝っても怨みっこなし、いくぞ!」


「「「「オオオーーォォオオオ」」」」


 コウヤ達が会場に同時に入ると会場が一斉に歓喜に包まれる。昨日までとは、比べ物に成らない観客の数にコウヤは度肝を抜かれた。


 其所には試合に負けた選手も含め数万の観客が一気に集まっていた。

 観客はコウヤ達が入るとその中から新魔王が出るかも知れないと言うただならぬ期待に胸を膨らましていた。


「スゴいやーー! こんな沢山の魔族が見に来てるなんて」


「当たり前じゃ、コウヤ坊を含め、此処に居る中から10年魔王が決まるんじゃからな」


「そう言えば何で10年なの?」


 コウヤが源朴にそう質問をすると源朴が少し難しい顔で教えてくれた。


ーー


 シアンが魔王になるまでの魔界は絶望的な状態であり、魔王バルザナムは自身の私腹を肥やすのみであり、戦魔対戦(戦魔祭)も、魔王の気まぐれで開かれる状態であり、若かれし日の源朴自身も、身を潜めて魔界に身を潜めていた。 しかし、シアンが魔王になり、突如戦魔対戦(戦魔祭)を10年に一度と定める事になる。


 今まで、でたらめに開かれていた殺戮の宴を祭りに変えるたのだ。

 源朴が実力をかわれ部下になった際にコウヤと同じ質問をシアンにした事があった、するとシアンは源朴に笑って答えた。


「私が嫌いなら? 誰かが殺しに来るだろうが、10年くらいなら待ってくれるだろうからぁね。なんせ魔族は寿命が永いからねぇ、それに魔界の島人も皆長生きにしたから、文句があれば言えるだろぅしねぇ」


 笑いながら答えるシアンは、更に源朴に話をしてくれた。


「それに、10年くらいじゃないと皆も辛いだろうしねぇ?『魔王は魔界の為にあれ』ランタンが私に言った言葉だぁよ、なのに張本人は10年に1度しか帰りゃしない、困った男だぁねぇ」


 シアンは魔界の民が自分の政策を10年なら我慢出来ると考えたのだ。


ーー


「だから、戦魔祭は10年に1度しか行われないんじゃ、シアン様なりの考えあっての祭りなんじゃよ」


 源朴の話が終わった頃、開会式が新たに開始され、シアンが皆に挨拶をする為に姿を現した。


「皆様、先ずは予選突破おめでとう、今年も新たな顔ぶれに変わっているようで驚かされました、私も気を抜かずに全力で戦わせていただくのでよろしくねぇ。それでは、今より戦魔祭本戦を開始いたします!」


「「「オオオォォーーォォォオオオ!」」」


 沸き上がる歓声が会場を揺らし本戦が開始された。


 試合形式はトーナメント、シアンが参戦する三試合迄は予選突破者で試合を行う。

 試合は一組ずつ行われる試合は合計28試合あり、そのうち勝ち進めば一人最大5試合となる。


 AブロックとBブロックに分かれており、第4試合でAとBの勝者が対決し勝った方が魔王となるのだ。


 そして、シアンはAブロックに設けられたシードとして第三試合に参加する。

 Aブロックには、ラシャとアルカが第一試合、シャーデとキャスカが第五試合となっており、勝ち進めばラシャペアが最初にシアンと対戦する事になる図式であった。


 Bブロック、第二試合にはミーナペア、第七試合にコウヤペア、そして第八にディアロッテペアとなっていた。

 勝ち進めばコウヤ対ディアロッテの試合が二回目に行われる事になる。



挿絵(By みてみん)


ーー


 そして試合が始まる。最初の第一試合、ラシャ達とドワーフ、魔族とのハーフリザードマンのペアだ。


「ほう? ドワーフとリザードマンとは、珍しい組合せじゃな、だが、ちと役不足ではないか」


「ラシャ様、少し言い過ぎですよ?  彼等も頑張っているのですから、女王なのですから、その意気を尊重せねばなりません」


 ラシャとアルカの会話を聞き激怒するドワーフとリザードマンは試合開始と同時に同時に動き出すとラシャとアルカを分断するようにリザードマンの炎の息フレイムブレスを使いラシャとアルカの間に炎の壁を作り出したのだ。


「がはは! これで1対1だ、エルフが我等リザードマンの力とドワーフに勝てると思うなよ」


蜥蜴トカゲの分際で…… 妾がお前より弱いかどうか、その身をもって知るがよい!」


 ラシャの手には分断される前にアルカから渡された黒い剣が握られており、リザードマンに対してその剣先が向けられる。そこからは一方的な戦いであった。

 ラシャがリザードマンの炎を全て剣速だけで掻き消しながら、ゆっくりとリザードマンへと歩みよりリザードマンの口が開いた瞬間に一気に駆け出し剣を目にも止まらぬ早さで横に振るい、リザードマンの口を切り裂いた。


「グワアァァァ、くひが(口が)ほへのくひが(俺の口が)ァァァ!」


「スゲェェェ! いいぞォォォ」

「リザードマンなんか! やっちまえ」

「弱い種族が魔王を夢見るな! あはは」

 その光景に興奮する観客。


 その光景を見て微笑むラシャ、リザードマンから観客に眼を向けると観客に対してラシャが一喝した。それは観客の歓声を黙らせる事になった。


「貴様らは、此れがそんなに可笑しいか! 今戦ってる戦士が口を切られたのがそんなに嬉しいか。ならば今すぐ降りてこい、貴様等にも同じように妾の剣を馳走しよう! 戦う前なら未しも、戦う戦士を侮辱することは赦さぬ」


 それと同時にドワーフとアルカの戦いもアルカのスピードをいかした剣術により勝敗を決していた。

 リザードマンとドワーフは自ら敗北を認め試合が終了した。


 その後リザードマンとドワーフはラシャに頭を下げて自分達の発言を詫びるとリザードマンの口にラシャが回復魔法を使い傷を元通りに繋ぎ合わせた。

 試合に勝利したラシャは二回戦へと駒を進めたのである。

 次の試合はいよいよ、シャーデとキャスカであり、対戦相手はバーバリアンの兄弟であった。

 会場は剣星キャスカと蟲王シャーデの登場に新たな歓声に包まれるのであった。

読んでいただきありがとうございます。

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