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亜人と歩む ~瑠璃色王のレクイエム~  作者: 夏カボチャ 悠元
第二部 魔界偏 新に掴むべきもの
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戦魔祭予選1

 あっという間に二日間が過ぎ、戦魔祭せんまさい当日。

 その日、バライム大陸中から、参加者が戦魔祭用に造られた試合会場に集まっていた。


 参加条件は、二人一組である事、魔界に住んでいること(バライム大陸)


 ・ルール。


 ・1、二人一組での大戦を行う、場外などの規則は無し。


 ・2、武器の使用を認められているが、毒などといった薬品は禁止とする。


 ・3、大戦相手を殺す事を禁止する。大戦相手が死んだ時点で例外なく敗北となる。大戦相手側が望めば一人でも次の試合に進む事が許される。人員追加は禁止とする。


 ・4、パートナーの変更は禁止とする。


 ・5、制限時間は存在しない。どちらかが二人戦闘不能になるか、審判が戦闘不能と判断した時点で勝敗が決まる。


 ・6、誇りを持って戦うこと。


 ・7、戦魔祭参加者は、試合以外の戦闘は禁止とする。


 コウヤは前日に渡されたルールを再度確認しながら源朴げんぼくと供に会場へと来ていた。

 源朴は慣れた手つきで書類を記入すると選手カードを受け取りコウヤへと手渡した。


 そして、受付の魔族が入り口に案内する。


ミーナ、ラシャ、シャーデ、ディアロッテの四名がパートナーを連れて会場に別々に入ってくるのが見えた。


 やはり自信満々なのは、ラシャとシャーデの二組だった。試合前から既に周囲の注目を集めている。


 ラシャの全身から放たれる危険な雰囲気は、まさに()()()と言われて要るだけあり、皆が其れを本能で感じているように見える。


 だが、そんなラシャと同様に注目を集めるのが、やはりコウヤの師匠である、剣星のキャスカ=マーブルであった。

 ダルメリアの守護の為にバライム大陸を離れていたキャスカが試合に出ると聞き参加を急遽きゅうきょ決めた者も多く、開催二日前の申し込みに魔族達が殺到して大変な騒ぎに成っていたのをコウヤも知っていた。

 そんなキャスカがシャーデの後ろに付き人のように歩く姿はキャスカのみ為らず、シャーデにまで注目を集める事に成っていた。


 少し遅れて会場に到着したのは、マトンとディアロッテであった。優勝候補の一角を担うマトンは普段通り落ち付いた様子でありディアロッテもメイド服ではなく真っ赤なドレス姿でマトンと供に姿を現した。


 ミーナとダルムのペアもその後に到着した。戦魔祭に獣人のペアが参加するのは初めての事であり、無名の二人への視線は少しいびつな物も含まれていたが、そんなミーナに次々にコウヤを含め、皆が挨拶をする姿を見ると皆が直視するのをやめた。


「今日は妾が勝ってコウヤを手に入れさせてもらう、負けても恨みっこ無しじゃ良いな!」


 自信満々にそう語るラシャは、Aブロック。


 ブロックの数は全部で7個に分かれておりA~Gの会場が造られている。

 このブロック分けが予選になる、そして各ブロックから四組が本戦に上がり、二日目の戦魔祭本試合で戦い最後の7組に成った時点で魔王シアンが参戦しての8組となり、最後の勝者を決める。


 優勝者が魔王となり魔界の全支配権を手に入れる。これは、バライム大陸の王を決めると言っても過言ではない戦いであり、それに参加したコウヤ達、更に他の魔族やエルフ、島人、参加者全員が魔王になりえると言う事であった。

 バライム大陸の未来を大きく左右する戦いになると改めてコウヤは感じていた。


 戦魔祭、参加者総勢4788名、2394組が戦魔祭に参加した。


 1ブロック辺り、342組ずつに振り分けられている。


 幸いなのは、ラジャがAブロックであり、ミーナがB、シャーデはGでディアロッテはDと言う形に振り分けられていた。

コウヤはEブロックであり、全員が会うとなればそれは本戦であった。


「全員、本戦で会おうね! 僕と源さんは先に行くね。約束だよ!」


 コウヤの言葉に各々が頷く。そして、各自会場へと移動して行く。

 皆が会場に到着した事を係員が確認し終わると直ぐに予選開始前の挨拶が始まり、観客達は次々に応援する選手や興味のある選手の会場へと向かっていく。


 そんな中、最初に歓声が湧いたのは、Gブロックであった。予想通り、キャスカとシャーデ ペア が勝利した。しかし、この勝利はキャスカの力ではなかった。全てを決めたのは、シャーデであった。


ーーGブロック予選開始時。


「さぁシャーデ、勝つわよ!」


「うん。勝ってコウヤをワタシのモノにする」


「本当にコウヤが好きなんだねぇ? まぁどちらにしても勝てばいいだけだから、気合い入れるわよ」


 そんなキャスカとシャーデの会話を聞いていた他の魔族達が笑ったのだ。


「剣星のキャスカが御守りか? あはは、生きる伝説がいつの間にか、生きるベビーシッターになった訳だ!」


「あはは! いいすぎだょ。アニキ、生きる剣星のママに失礼だよ、あはは」


 シャーデとキャスカを二人の男がバカにしたのだ、軽い挑発でありキャスカは気にもしなかった。

 しかし、シャーデは違った…… グーラ族は家族つまり、仲間を侮辱されることを赦すような種族ではなかった。


 そして、『ッカン』と、試合開始の合図が会場に鳴り響く。


 予選は一定の広さの森や草原を思わせる広いフィールドを使かい、審判員が選手達の動きを確認し最後の四組になった時点で試合を止めると言う物であった。

 Gブロックは、森のフィールドであり試合の合図を聞き次々に指定のゲートからフィールドに入っていく選手達。


 合図を聞いた途端シャーデの表情は変わり本来の獲物を食らう食人種、グーラの本能を見せつけたのだ。


「ワタシは仲間をけなされるのも嫌だ、でもキャスカをバカにされるのは、もっとイヤ!」


 シャーデが感情をむき出しにして蟲壺を両手に握り封を解放する、中から解き放たれたサンドワームの大群が一斉にフィールドを移動していく。

 シャーデが “蟲王ちゅうおうささやき” を使い蟲達に殺さずに丸飲みにするように伝えるとフィールドの中は地獄と化した。

 そして、試合開始から、僅か10分でフィールド内が四組になり、試合終了となったのだ。

 残念なことにキャスカとシャーデをバカにした二人は悪運が強かったらしく、試合終了まで残っていた。

 二人の前には大きく口をあけたサンドワームがギリギリで止まっていた。

 あと10秒早く辿り着いていたなら二人組はサンドワームの腹の中に居たことだろう。

 試合終了後に吐き出された選手達は怯えきっていたが、皆無傷であった。


 シャーデは、この予選で『蟲王シャーデ』と言う印象を会場に居た全ての者達に植え付けたのだった。それと同じように会場を湧かせていたのは、Aブロックのラジャ=ノラームであった。

読んでいただきありがとうございます。

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